東電福島原発事故12年目 今も広がる放射能被害① チェルノブイリ法日本版を!
切り捨てられる福島・東日本 国 東電は人権を守れ! いまこそ健康と生活を保障しろ
市民立法「チェルノブイリ法日本版」をつくる郡山の会(しゃがの会) 郷田みほ
これまで、そしてこれからの福島を考えると、胸が苦しくなり、無力感に襲われる。こうなって欲しいと少しの望みを持とうものなら、ことごとくつぶされてしまう。人権を無視され、棄民化されることに終止符を!
私たち被害者は、10年経とうが100年経とうが、この辛い苦しい気持ちは薄れない。簡単に国民を切り捨てる国。県民の味方であるべき県も、国に右へ倣えの姿勢だ。月日が経つごとに悲しみは募る。(郷田)
「もっと被ばくしろ」と言うのか?
今年に入ってからも、次々と重要な問題が起きている。国は汚染水海洋放出反対の民意を無視し続け、「コロナまん延防止」で住民に自粛を押し付ける中、IAEA調査官が来日し、現地調査をして「安全」のお墨付きを出し、何が何でも汚染水の海洋放出をしようとしている。
経産省や復興庁は、公平な教育をするべき学校現場に「放射能、トリチウムは安全だ」と、子どもたちに新たな放射能安全神話を植え付けようとチラシや副読本を配る。チラシには、「誤った情報に惑わされないために、誤った情報のために苦しむ人を出さないために」と書かれている。子どもたちを惑わす情報を流すとは。
当時6歳から16歳で被ばくした若者が、10年もの長い間苦しみ続けた末に、後に続く子どもたちの希望のためにと「甲状腺がん裁判」に踏み切った。
「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」とEU欧州委員会に書簡を送った小泉純一郎氏や菅直人氏など元首相たちを、岸田首相は「適切でない」、内堀岐阜県知事は「科学的知見に基づいているので、誤った情報を流すな」と批判した。この子たちの苦しみが、あなたたちは聞こえないのか。「もっと被ばくしろ」と言うのか。
廃炉作業は順調? いや、何も進んでいない。デブリも取り出せない。溜まり続ける汚染水。毎日吐き出される放射能。「帰還希望者の住宅は除染します。隣は帰らないので除染はしません」と、うわべだけの除染で帰還を迫る。
国は空間線量だけ測り、線量が下がったから「安全だ」と言う。土壌線量は測らないという落とし穴がある。公衆被ばく限度の20倍の20mSvを強要。そして今、現存被ばく状況としての年間1mSvの基準すら消そうとしている。また、食品の放射性物質濃度基準を緩和しようとしている。「もっと被ばくしろ」と。あってはならない話である。
「チェルノブイリ法日本版」を!
11年という歳月の中、消されて行く記憶に全身で抗いながら、私たちは次のステップに移ろうとしている。
日本には原発事故の住民救済に対応する法律がない。そのため多くの原発事故関連の裁判が滞っている。
そこで「チェルノブイリ法」のような法律があれば、保養の権利が確立され、子どもたちは被ばくを避け、健全な体と心を維持し生活ができる。移住・避難の権利で、安心で安全な生活と居住が確保され、追い出されずにすむ。生存の権利で、原発作業従事者が被ばくにより健康被害を受けても医療が確保される。住民同士が差別や分断を起こさずに生活できる。
国は救済の基本理念を確立し、人権を守る法律を作り、責任と義務を負うべきだ。私たちが「チェルノブイリ法日本版」を!と声を上げるのは、助けを必要とする被害者と、未来の子どもたちを守りたいからだ。
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