虎は飛ぶことができたのか

虎に翼の最終回を見た

 朝ドラの虎に翼が終わったみたいだ。私はこのドラマを大体見たけれど話は知らない。訳のわからないことを書いているけれど、飛ばし飛ばしで見ていたのでこんな表現になる。なぜこうなったのかというと、会社の昼休憩の時間に見ていたからだ。しかも私の職場では仕事の状況によって休憩の開始時間はある程度個人に任せているため、毎回決まった時間にとるわけではない。そのため毎日どころか場合によっては数週間ぶりに見る、ということもあった。そんな中先日、(おそらく)最終回をたまたま目にした。

 ここから先は自分の見た情報と妄想で虎に翼のあらすじを書く。また、その上で最終回の感想を書く。しかも最終回でさえラストの5~10分見たという半端な情報だ。こういう虚実入り混じった感想文になるためネタバレや本気で好きな人はここで読むのをやめてほしい。もしかしたら不快な気分にさせてしまうかもしれない。ただそれでもこの文章を書こうと思ったのは、垣間見てきた寅子の人生の結果がこの最終回なのかと思った時に感動したからこの気持ちを残しておきたいと思ったからだ。

 *ネタバレと妄想が入り混じった内容です、お目汚しになる可能性があると少しでも感じた方はブラウザバックを推奨します。

私の妄想という補完ありきのストーリー

 幼少期は見ていないのでよくわからないが、中流家庭に生まれた寅子は何かのきっかけで法律学校に進学した。当時、女性の法律家というのは存在せず、教養として法律学校の女子の部があった。そこでは共に法律家を目指す友がたくさんおり、お互いの意見がぶつかることもありながら勉学に励んでいた。それぞれが弁護士になるのか、検察官になるのか夢見ながら将来を考えるも、当時の世相が彼女たちの未来への道を阻む。金銭的な理由で断念する者、実家に嫁げと言われ家庭に入る者、己が信念を曲げるずに厳しい道を進む者。いずれにせよ女性ということが大きな障害となっていた。寅子はそんな中でも弁護士になることを志し、ついに弁護士となった。
 
 しかし弁護士になっても女性という理由で弁護にはつけない。厳しい道を選んだ女学友も法律相談をしながら弁護士の道を模索したり、学校の同期の男(寅子やこの女学友と恋仲ではないようだ、ということしか知らない)と昼に集まり今の問題や夢の話をするのが関の山だった。そんなことが1~2年続いたが、とうとう寅子は弁護につけることになった。弁護人は女性で保険金が降りるのかどうか、というのが論点の裁判。見事寅子は勝訴することができた。しかし依頼人には嘘の供述があり、寅子さえ騙していた。依頼人は女はこういうことをしないと生き残れない、と言い残す。女性であるが故に弁護士として苦労してきて、やっと弁護ができたと思ったらその女性に裏切られる。更には女なんだから仕方がないでしょ、見逃してよね、だってあなたもそうでしょ、と言われたようなもの、寅子は見抜けなかった自分への後悔、そして女性として弁護士をすることの失望(作中ではこういった苦労を"地獄"と表現している場面があった)から弁護士の道を諦めることにした。そして時代は第二次世界大戦へと突き進んでいく。(この時点で寅子はいつの間にか結婚していたが経緯は見ていなかったため不明)
 
 戦争が始まり寅子の夫も出征することになった。見送りのシーンで夫は寅子に好きなように生きてくれ、という。それは諦めた弁護士という仕事に対して向けられたものではなく単純に寅子が楽しく生きてほしいという夫の願いの言葉だった。(印象に残っているシーン。正直この夫の情報を何も知らないが役者さんの演技が凄いのか、寅子にこの人がいなければ弁護士を辞めた後、もっと自堕落になっていたのではないかと思ってしまう)そして戦争は終わったがこの夫は帰ってくることはなかった。
 
 ここから先は見る頻度がランダムになりすぎて話の補完ができないくらいだった。同期の男は戦争から戻ってくることができたこと(自殺してしまった友人について女学友と会話するシーンが印象的)、寅子がいつの間にか有名になっていたり、かと思ったら先生にブチギレていたり、なんか左遷されていそうだったり寅子には色々あったようだ。しかしそれらを見ていて常に寅子には法に向き合う者として正しさとは、そして幾度となく苦しめられている女性の権利ということについて悩みながらも考え続けているようだった。
 
 ここまでが私の知っているストーリーだ。昼休憩のテレビの音量は周囲の喧騒にかき消され、あまり聞こえない。字幕を見ながら雰囲気で見ていたため登場人物の名前さえ覚えていなかった。覚悟してここまで読んだが想像以上の不出来で不快な気持ちになる方がいれば申し訳ない。

寅子は何を成したのか

 最終回、私は毎日のように食べているカレーとサラダを取り席についた。テレビには松山ケンイチ扮する役の人物がいた(これまた名前はわからない)。彼は寅子と一時期一緒に仕事をしていたが意見が合わなさそうな場面が多々あった。それから時間はかなり進んだようで彼は法律界の重鎮になったようだった。そして寅子が向かい合っている。途中から見たので内容はよくわからなかったが女性の権利について会話しているようだった。寅子とまたもや意見がぶつかっているようだった。会話の最中、途中で割って入って助け船を出したのは女学友だった。ここで左胸の襟に弁護士バッジが付いていた。彼女がどういう経緯でここまでくることができたのはわからなかったがそれまでの苦労を考えると目頭が熱くなりかけた。と思っていたら周りにはかつて弁護士を諦めた仲間たちが勢揃いしていた。もうやばかった。彼はふっ笑い、「君は特別だったな。」と寅子へ。返した言葉は「私が特別だったのではなくて時代がそうさせていただけなんです。」と。この場の、この状況を作るまでに寅子はどれだけ苦労したのだろうか。何があったのかは知らないが、おそらく彼女はやり遂げたのだ。自分の信念の思うままに、自分が正しいと思う方に世の中が良くなる方に。
 社会的に弱者だった彼女たちが成し遂げたこと、その場面が見れたことが単純に嬉しかった。ハッピーエンドは言い過ぎなのかもしれないが最後に彼女たちが一度は離れざるを得なかった法について議論する場があることだけで私も満足した。
 このシーンの後に寅子の母から「地獄はどう?」と問われる寅子。上述した女性という立場で弁護士の道を選ぶことの厳しさ伝えているこの問い。寅子は「最高です!」と笑顔で返した。なんてカッコいいのか。

自分へのネタバレと後書き

 ここまで書いた後に虎に翼について軽く調べたら自分が思っている以上に全然違うのでは?と思い、これ以上自分の恥を知ることに耐えられないので調べるのをやめた。どれくらいの無知かというと、寅子のモデルの方がいらっしゃったことも知らなかった。(昔授業で習った男女雇用機会均等法の礎も作ったと知り驚いた)また主題歌の米津玄師の「さよーならまたいつか!-Sayonara」も聴いてみた。もっと暗い曲かと勝手に想像していたが明るく軽い曲調でプレイリストの仲間入りをした。
 こんなにざっくりとしか見ていないのに面白い朝ドラはやはり凄い。次回作もまたフルで見ることはないがyoutubeにNHKが投稿しているその週のあらすじくらいは毎回見てもうちょっとましな感想が書けるくらいにはしようかなと思った。

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