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第4ー1話 抗がん剤治療開始

私が受けた治療はMAP療法というものだ。
骨肉腫は手術前化学療法→手術→手術後化学療法というスケジュールで治療する。

穴が開くほど見たスケジュール表

使う抗がん剤は、シスプラチン、ドキソルビシン、メソトレキセート。
ネットで一番きつい抗がん剤と検索するとこの3つが出てくる。

2023年9月7日、抗がん剤治療をするために入院した。

その日は抗がん剤を入れる『CVポート』を入れる手術を行った。腕から心臓にかけてカテーテルという管を入れることで安全に抗がん剤を投与するものだ。

100円玉くらいのcvポートが入っている

腕の血管から心臓に管が入るとき、それは怖かった。管が血管を通っていくことはもちろん、その管が心臓を貫いたりしたら、、と恐怖におびえた。

その日の夜ご飯はチキンカツだった。手術頑張ったご褒美だと思って味わって食べた。

そして、治療開始の前日に衝撃の事実を告げられる。
私の場合、移動は車いすになるためトイレに行きづらいという難点があった。さらに、抗がん剤を入れると同時に一日約6リットルの点滴で水を入れるのであった。もちろん、口から水を飲む分も追加される。

この状態では15分に一回はトイレに行かないといけないことになるという。それは厳しいので導尿をするというのだ。

男ならば一度は考えて、もだえたことがあるだろう。この尿道に異物が入るという身が凍るような恐怖。以前YouTubeショートでその体験談をみて絶対にこの体験だけはしたくないと考えたことを思い出した。

拒否権はなく、されるがままに尿道に管を入れられた。痛いというより、圧倒的な不快感が強かった。

入れられた直後、とてつもない尿意が襲ってきた。しかし、おしっこはその管を通して出ている。わけがわからない状態にパニックになった。看護師さんをナースコールで呼んだ。

「トイレに行きたいんですけど(?)」

出てるから大丈夫だからねとさらっと言われ、痛み止めの薬をもらった。
これは拷問でも使えるなとパニックながら考えていた。自分でトイレに行けるという幸せに気づく人間は世界でどれほどいるのだろうか。

その拷問に耐えて朝を迎えた。朝になったら急に尿意はおさまった。
脳みそがやっとおしっこ出てるやんと処理してくれたのだろうか。助かった。

看護師さんが毎回メッセージを書いてくれました。

2023年9月12日、吐き気止めの『イメンド』を飲んで抗がん剤が始まった。

一回目はシスプラチンとドキソルビシンの点滴。3日間続く。

抗がん剤という未知の薬、ドラマなどでよく見る壮絶な治療を想像していた。しかし1時間たっても、3時間たっても何も変化がない。

「なんだ、余裕じゃん」

副作用には個人差があると聞いていたし、自分は副作用ないんだ。

足元に投げ捨てられた吐くとき用の洗面器(ガーグルベースン)と余裕の自分

何も副作用を感じないまま就寝の時間になり、心地よい夢でも見ようと目をつぶった。

~自分は今どこにいるのだろう。体の中をめぐっている?血管の中に入って体中をめぐっているのか?

なんか臓器がバラバラになっていく感じがする。肝臓も、胃も、心臓もバラバラになって飛び散っている。やばい!~

と目を覚ました。体はくっついている。よかった。

しかし、起き上がろうとしたとき体が動かなかった。さらにとてつもない吐き気が襲ってきた。食道がぐるぐるとうごめいている。

やばい。それしか考えられなかった。


次回「第4ー2話 最強の敵 シスプラチン」です。よろしくお願いします。

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