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実は日本初の女帝?神功皇后にまつわる『【邇保姫神社】のご由緒』

 令和七年一月十三日、年初来の大寒波の狭間にぽつりとやってきた暖かい日、小春日和とまでは言えないまでも陽気の良い祝日、広島県広島市南区の邇保姫神社へお詣りしてきました。

邇保姫神社の大鳥居前

 邇保姫神社の主祭神は爾保都比賣神(にほつひめのかみ)とおっしゃられる女神様です。それでは本題を切り出す前にまずは由緒書きをば。

邇保姫神社の由緒書き

御祭神
爾保都比賣神[にほつひめのかみ]
帯中津日子神[たらしなかつひこのかみ](仲哀天皇)
息長帯比賣神[おきながたらしひめのかみ](神功皇后)
品陀和氣神[ほんだわけのかみ](応神天皇)

配祀末社四前
天室社 大穴牟遅神
曽我社 須佐之男命
稲生社 宇迦御魂神
大歳社 事代主神 大年神

摂社七前
渕崎 竈神社
日宇那 新宮神社
丹那 穴神社
大河 真幡神社
十軒屋 稲生神社
元宇品 住吉神社
似島 竈神社
以上七前は各町に斎祀している

由緒
第十四代仲哀天皇の皇記神功皇后が三韓御征罸を終え御帰りの時、此所に一夜御宿陣になり、霊験を賜った爾保都比賣神を御鎮祭、報賽の礼と鎮護綏撫の神祐をお祈りになった(三九〇年頃)、翌日御出発の際、邪氣祓いのため白羽の征矢をお放ちになったところこの山に止った。その矢も納めて島の鎮守とした。第五十八代光孝天皇の御宇、仁和元乙巳年(八八五年)八月上旬大いに造営し、豊前國宇佐八幡宮を勧請して、正八幡宮と穪した。合祀した御神は仲哀天皇、神功皇后、應神天皇、以上三座である。第九十二代伏見天皇の御宇正應元戊子年(一二八八年)三浦公の特意をもって、社領三十石を附せられたが、慶長年中福島公の時、盡く召し上げられた。明治四十二年二月神饌幣帛料供進神社に指定された。昭和二十七年五月宗教法人神社本庁包括下に入る。

邇保姫神社の由緒書き より

主祭神は謎の女神さま

 爾保都比賣神は神功皇后が三韓征伐に向かわれる際に航海の安全を守護したという言い伝えがあるそうです。しかしながらこの女神様について詳しく記された記録はなく、記紀にも記載はなかったと思います。一説には播磨の丹生都比売神[にうつひめのかみ]と同義とも言われているようで、太古には黄金山から朱丹(水銀)が取れたのではと想像させるところです。この辺りの説話は以前、摂社の真幡神社の記事でも触れました。

正八幡宮としての御祭神

 残り三柱の御祭神は八幡信仰でお馴染みの第14代仲哀天皇、そのお后様の神功皇后、そして御二方の皇子の第15代応神天皇です。仁徳天皇陵(大仙陵古墳)でお馴染みの聖の帝、第16代仁徳天皇のお父上で、その応神天皇が神格化された神様が八幡大神と言われ全国の八幡宮で信仰を集めています。

戌の日の腹帯の起源にもなった神功皇后

 神功皇后がホムダワケを身籠っている時に仲哀天皇が崩御あそばされました。仲哀天皇は三韓征伐の御神託をお疑いになられたことで突然病死なされたとのことです。突然に未亡人となられた神功皇后、しかし皇子を宿した状態で三韓征伐の大偉業をなしとげます。そのご出発の際に「帰国したら産まれてくるように」と願を懸けて腰に石を巻き出発なさったそうで、これが帯祝い(妊娠5ヶ月目の戌の日に安産を祈願して腹帯を巻く風習)の起源になったと古事記に記述があります。また日本書紀の仲哀紀にはかなりの紙面を割いてご事績が記載されています。現在では称制(または摂政)としての扱いで最初の女帝は第三十三代推古天皇と習いますが明治時代までは一部の史書(『常陸国風土記』『扶桑略記』『神皇正統記』)において最初の女帝とされていました。大正時代に正式に歴代天皇から外されました。(皇統譜令/大正15年皇室令第6号)

仁保島を治めていた武将

 由緒書きの終盤に『三浦公の特意をもって、社領三十石を附せられ』とあります。黄金山は江戸時代まで瀬戸内海に浮かぶ仁保島という島でした。1198年に三浦大之助平重経という武将が仁保島をもらい受けたそうです。それから1288年に至るまで重経の子孫が仁保島を守っていたのでしょう。

この日の写真

青空に吸い込まれそうな石段を登ると
整備された境内

2007年(平成19年)9月に不審火により旧社殿が全焼する火事があり、現在の社殿は2010年(平成22年)に再建されました。

投函した皆様に御利益があるといいね
応神天皇と気比大神かな?
筆者は大河小学校の昭和61年度卒業生です

まとめ

 四世紀末からという古い由緒を持つ当社。神功皇后のご事績にあやかって安産祈願や交通安全の祈願に訪れる参拝者の方も多いと聞きます。
 私が小学生の頃には秋のお祭りで沿道に縁日の出店が賑やかに並び、毎年それを楽しみにもしていました。
 社殿が全焼してしまった時には驚きましたが建て替えにより装いも新たになり、今も活き活きとたくさんの人がお参りに訪れる、温かい神威の感じられる神社だと思います。

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