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寓話的な実話

数年前のある夏の日、僕は一人で長野県阿智村の山にペルセウス座流星群と天の河の写真を撮りに行った。その日は晴れの予報だったのに、僕が山につくのとほぼ同時に濃霧に覆われてしまい、雨も降ってきた。片道3時間もかけて行ったのでなんとか晴れてほしいなと願いながら翌朝まで待った。しかし霧は晴れず、星を見るのを諦めて帰った。

……帰宅後、ふいにこう思った。

『あのままもう少し明るくなるまで待っていれば、もしかしたら山頂に続く道を覆う霧の幻想的な光景が見られたかもしれない。それはもしかしたら、晴れさえすればいつでも見られる星空よりもっとレアで美しい光景だったかもしれない。「星を見に来た」という思考が邪魔をして、あの霧を見る目が曇っていたんだ。本当に曇っていたのは空ではなく僕の目と頭だった』

この時、思考や知識に偏りすぎず物事をありのままフラットに見ることの重要性を学んだ。

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