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本当は神社マニア。 [神社izm]→https://jinjaizm.com 【物事は是々非々】 読書記録。 過去2、3年〜最近の間に読んだものをちょこちょこ追加しています。 それ以前のものは、気が向いたら掲載します。

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最近の記事

読書記録|山本七平 『渋沢栄一 日本の経営哲学を確立した男』

読了日:2024年10月13日  今年の7月3日から、日本の紙幣が新しくなった。千円札は「近代日本医学の父」と呼ばれる北里柴三郎、5千円札は日本初の女子留学生としてアメリカへ渡り、女子高等教育の先駆者と謳われる津田梅子。そして1万円札は渋沢栄一。  聖徳太子が1万円に載っていたのはなんとなく覚えていて、この人生で長年福澤諭吉に馴染んできた私にとって、今回のことは「渋沢栄一?誰それ?ずっとユキチいいのに!(顔もなんかイヤ!)」という稚拙な感想を抱いた。それは単に自分の勉強不足

    • 読書記録|松岡亨 『お袖狸と大蛇の話』

      読了日:2024年9月16日  2024年9月某日、四国の愛媛県と香川県に行ってきた。目的はいつもの神社巡り・歴史探訪であるが、今回は少し内容が違っていた。四国といえば狸!ということで、できる限りお狸様を祀る神社を巡ろう!というのが主な目的だった。  四国に点在するお狸様を祀る神社のうち、愛媛県の松山城のお堀の傍にひっそりと佇む八股榎お袖大明神(やつまたえのきおそでだいみょうじん)なる神社がある。通称「お袖(そで)さん」と呼ばれたりもするこの神社の御祭神は、呼称の通り「お袖

      • 読書記録|田坂広志 『死は存在しない』

        読了日:2024年9月14日  「量子力学って知ってる?この本おもしろいよ!」と知人に紹介れた。タイトルからして、最愛の人に先立たれたり、これから死を迎える人に向けられて書かれた本という印象を抱いたが、読んでみることにした。  内容は、死や我々の存在を科学的に、殊更”量子力学”の観点から説明をするのが主旨のものだが、全体的に著者の「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」に基づいて展開されていくため、結果的に科学的というよりはゼロ・ポイント・フィールドありきの世界を描いている、とい

        • 読書記録|司馬遼太郎 『空海の風景』

          読了日:2024年8月27日  日本の僧でおそらく一番に著名な人物は、空海であろう。変な話、なぜかスピリチュアル界隈でも人気で、「あなたには空海が”ついて”います」と、商売にもよく使われる人物である(いったい空海はどれだけの人に”ついて”いるのか笑)。  本書は、司馬遼太郎が、そんな空海の軌跡を辿りつつ「こんな人だったんじゃないかなぁ」と想像を膨らませながら、その入定(入滅)する瞬間までを描く。  歴史を辿る上で、神社の方が専門の私にとって空海については実はあまり詳しく知

        • 読書記録|山本七平 『渋沢栄一 日本の経営哲学を確立した男』

        • 読書記録|松岡亨 『お袖狸と大蛇の話』

        • 読書記録|田坂広志 『死は存在しない』

        • 読書記録|司馬遼太郎 『空海の風景』

          読書記録|福沢諭吉 齋藤孝=訳 『現代語訳 学問のすすめ』

          読了日:2024年5月26日  古くから語り継がれる名著には、未だ読んだことがないものが数多くある。その中から今回は『学問のすすめ』を選んだ。明治初期、教育者で啓蒙思想家、そして慶應義塾の創始者でもある福沢諭吉が書いた『学問のすすめ』は、当時、大ベストセラーとなり、これまで多くの人に読み継がれてきた。文語体で書かれた『学問のすすめ』を齋藤孝氏が現代語に改めてくれたおかげで、福沢諭吉スピリットは残したまま、現代の私たちにとってとても読みやすい文章となっている。もし「天ハ人ノ上

          読書記録|福沢諭吉 齋藤孝=訳 『現代語訳 学問のすすめ』

          読書記録|養老孟司 『バカの壁』

          読了日:2024年5月17日  2003年の著作。著者の養老孟司氏は解剖学者で医学博士。学者が書く本は硬い内容のイメージが強いが、こちらは肩肘張らずに読めるような文章と構成になっている。  ”日本語は通じてるのになぜか話が通じない人”は、どうして話が通じないのか、それを「共同体」「無意識」「身体」「個性」「脳」の視点から紐解いていく。  一箇所、とても予言的だと感じた部分があった。 「今後、行政に科学そのものが関わっていくことが多くなる可能性がある。その時に科学を絶対的な

          読書記録|養老孟司 『バカの壁』

          読書記録|マルクス エンゲルス 『共産党宣言』

          読了日:2024年5月12日  現代において共産主義といえば例えば旧ソ連のような独裁国家、独裁的な感覚や、中国共産党やカンボジアのポル・ポト率いるクメール・ルージュなどを思い浮かべる人が多いと思うが、プロイセン王国時代のドイツの哲学者カール・マルクスや同国思想家フリードリヒ・エンゲルスが唱えていた、本来の共産主義とはかけ離れたものになっていることを知らない人は意外と多い。なんなら「共産主義」と聞いただけで、アレルギーのように嫌悪感を顕にする人は少なくない。その人々は、「共産

          読書記録|マルクス エンゲルス 『共産党宣言』

          読書記録|小坂井敏晶 『社会心理学講義 <閉ざされた社会>と<開かれた社会>』

          読了日:2024年4月28日  社会心理学とは、その名の通り「社会学」と「心理学」を織り交ぜたもので、個人と社会がどのように影響しあっているのかを学ぶ学問。身近な例でいうと、職場の人間関係、販売戦略(マーケティング)なども社会心理学の範疇だし、広義であれば政治のあり方や国民へのある種の”支配”も社会心理学で紐解ける。つまり、人がいて社会があるところ全てにおいて、社会心理学を用いることができる。  「合理性」ばかりが重要視される時代の今、哲学だとか社会心理学だとかは「役に立た

          読書記録|小坂井敏晶 『社会心理学講義 <閉ざされた社会>と<開かれた社会>』

          読書記録|アダム・ハート=デイヴィス 『パブロフの犬 実験でたどる心理学の歴史』

          読了日:2024年3月31日  「心理学」の起こりから現代に至る発展を、歴史の流れとともにたどる。蘊蓄を述べるというよりも、これまでに行われたメジャーな実験を淡々と紹介していく内容となっているため、心理学に少しでも触れたことがある方には、既知な部分は少々退屈な部分があるかもしれない。その場合はその項目を飛ばして読んでもいと思う。逆に、これまであまり心理学を知る機会がなかった方にとっては、堅苦しくなく読める上に、身の回りに思いを巡らし「ああ、これってあのことかぁ」という発見も

          読書記録|アダム・ハート=デイヴィス 『パブロフの犬 実験でたどる心理学の歴史』

          読書記録|山口周 『武器になる哲学』

          読了日:2024年3月18日  昔、CDのジャケットを見て、インスピレーションで「なんとなく良さそう」と感じて買ってみたら大当たりだった!……という、所謂”ジャケ買い”(死語かもしれない)的に軽い気持ちで買ってみた本。これが実に面白かった。  数ページずつに分けて50名の哲学者を紹介しつつ、キーコンセプトを踏まえた上で現代に活かす術を伝えている。登場する哲学者は、知らない人はいないであろう人物から、名前を聞いたことのない人物まで様々だが、「この理論は知っている!」と、どこ

          読書記録|山口周 『武器になる哲学』

          読書記録|小室直樹 山本七平『日本教の社会学』

          読了日:2024年3月2日  社会学の宮台真司氏が「極右の師匠」と表現する小室直樹氏と、代表作『「空気」の研究』で知られる元帝国陸軍将校の山本七平氏2人による『日本教の社会学』。  日本という(特に外国人から見ると理解し難い)奇妙奇天烈な国について、テーマごとに対談形式で徹底分析をしていく。本書の発端として、山本七平氏の「空気」問題を、小室直樹氏が社会学の視点から的確に整備して誰でも理解できるような形にできたら……という発想に基づく。  日本には「空気」という絶対的

          読書記録|小室直樹 山本七平『日本教の社会学』

          読書記録|山本七平『一下級将校の見た帝国陸軍』

          読了日:2024年2月11日  日本という稀有な国の本質を突いた『「空気」の研究』の著者、山本七平氏が、ルソン島で日本陸軍の砲兵隊本部の少尉として体験したことを、どんな戦史よりも生々しく語る。  いったい「帝国陸軍」とは何だったのか、何がゆえに敗戦に至ったのか、戦場を目の当たりにした山本七平氏が徹底的に分析する。  本書の中で一番印象に残ったのは、日本的組織の在り方の根本にある員数主義と事大主義である。  「数さえ合えばそれで良い」といった、実数よりも員数優先の空洞状態。

          読書記録|山本七平『一下級将校の見た帝国陸軍』

          読書記録|『韓非子 全現代語訳』本田済 訳

          読了日:2024年1月27日  古典的な中国の書物は、経(中国の国教、儒教の経典)・史(歴史書)・子(諸子百家の書)・集(文集・詩集)の4つに分類される。「子」とは男子の美称で、孫武を「孫子」と呼び、孔丘を「孫子」と呼ぶ其れである。韓非も元は「韓子」と呼ばれていたが、唐の時代の詩人、韓愈を韓子と呼ぶようになったこともあり、韓非を「韓非子」と呼ぶことが一般化した。  韓の公子であった韓非子の生まれは紀元前280年頃。紀元前233年、使者として隣国の秦に赴いた際に、性悪説を唱え

          読書記録|『韓非子 全現代語訳』本田済 訳

          読書記録|『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』

          読了日:2023年12月18日  大東亜戦争における日本軍の失敗を、組織論という視点から分析し、現代社会にも根付いている日本の組織の”悪いクセ”を浮き彫りにし、教訓へと繋げていこうという一冊。著者は、戸部良一氏、寺本義也氏、鎌田伸一氏、杉之尾孝生氏、村井友秀氏、野中郁次郎氏の6名で、それぞれが軍事、戦史、政治、組織論等のスペシャリストという面々。  第一章は「失敗の事例研究」として、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦、以上

          読書記録|『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』

          読書記録|司馬遼太郎『関ヶ原』

          読了日:2023年12月2日  筑後川の戦い、川中島の戦い、と共に語られる日本の三大合戦の三つ目、関ヶ原の戦いを、司馬遼太郎が見事に書き上げた歴史小説『関ヶ原』。西軍の石田三成からの視点が主だが、対する東軍の徳川家康、そして二人を取り巻く人々の心の動きまでもが生き生きと描かれている。  私個人としては、石田三成のような”義”に篤い人物が好きだ。三成は豊臣秀吉を心から慕い、その死後も未来永劫豊臣家を守ろうとした。『関ヶ原』での三成は、ただそのシンプルな思いの上に言動が発せら

          読書記録|司馬遼太郎『関ヶ原』

          読書記録|明智憲三郎『明智家の末裔たち』

          読了日:2023年10月15日  『光秀からの遺言 本能寺の変 436年後の発見』の後に、同じ著者の『明智家の末裔たち』を読んだ。  まず、明智憲三郎氏の研究熱心さに脱帽する。御先祖である明智光秀の真の姿を探り、この結論に辿り着くまでに、古い文献を読み、資料をくまなく漁り、検証し…これまでいったいどれほどの時間を費やしたのだろうか。果ては光秀の末裔それぞれの足跡までも追い、今では明智氏同様に「自分は明智光秀の子孫である」という方々にも会いに行きヒアリングをしたり、明智光秀の

          読書記録|明智憲三郎『明智家の末裔たち』