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世界が終わると言うのなら僕はあなたが作ったステーキが食べたい
もし、世界が終わると言うのなら。空を見上げて考える。
青い空は今日も雲を流していく。
止まっているように見えるのに形をかえ続けている。白い雲がふわふわと漂う。
ひとつ、ひとつと流れる雲は、やがて形を保てず崩れていく。
世界もあんな感じで終わるのかな。
霧のように消える雲をぼんやりとみつめた。
ああ、そうだ。昨日の晩ごはんはあの子が作ったステーキだ。厚切りのそのステーキから流れでる肉汁はソースと絡み部屋をあたたかいなにかでみたしていく。
君が作った特製のソース。甘い。甘いのに少ししょっぱい。
それがいい。とてもおいしい。
「今日は給料日だったからね。」って満面の笑みで皿を並べてくれた彼女。
高くはない。
どこででも買える牛肉だ。
それでもこれが僕にとっての細やかな幸せ。
この幸せがずっと続けばいいのにな。
このまま世界がとまってしまえばいいのに。
ふと我にかえり、家へと向かう。
今日のご飯はなにかな。
多分、ステーキじゃないな。
それでも君のご飯ならなんでもいい。
あぁ。
「終わってほしくないな。」
空から大きな隕石が降ってきた。