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人は川沿いを走る、走る。

 もっぱら、ランニング中である。
 もちろん、走りながら書いているわけではない。けれど、もっぱらランニング中なのである。
 走るのは好きだ。けれど走り出すまでがとっても面倒臭い。やる気になるまで腰が重い。ただ、走り出したら後は気持ちがいいだけ。そうなんだ、走り始めるのが難しいだけなんだ。
 だからこそ運動てーのは、なかなか続かないもんで、そしてこのnoteも中々続かず、結構期間が空いてしまった。書くのも運動と一緒で、始めたらすらすらと気持ちよく書けるものなのだが、中々、書き出そうと思うまでが大変だ。
 しかし、今年は違う。今年は走り始め続けるし、書き始め続けようと、そう心に決め始め続けた。心身の健康のために走り、心身の健康の為に書く。
 竹原ピストルさんの『オールドルーキー』を聴きながら今日も走り始め続ける。汗をかいたら文を書く。そしてゆっくり風呂につかる。今日もつかれたと湯船につかる。またなにか思いが浮かぶ。ぷかぷかと浮かんでシャワーで流す。

 呼吸が苦手だ。
 慢性鼻炎というのもあるが呼吸がとにかく下手なのだ。下手というのか、とにかく浅い。マスク社会になるずっと前から、呼吸が浅いので困ったもんだ。だけれど、ランニングをすると、自然と呼吸が増えるので酸素が回って気持ちが良くなる。
 俺は家の近くの川沿いの道を、よく走る。すると酸素くんも俺の体の中で、血が流れる道を走り回ってくれる。酸素くんと息を合わせて、二人三脚で川沿いを走る、走る。
 しかし、運動していない時はやっぱり呼吸が浅い。特にネタを考えている時なんか、頭の中でぐるぐるぐるぐる道をはずれ、遭難して、高山病の如く酸素が足りなくなる。
 そういう時、タバコを吸っている人が羨ましくなる。俺はタバコを全く嗜好してこなかったので、今さらタバコを吸い始め続けようとは思えない。タバコは酸素を吸うわけじゃないが、「一息つく」というその時間、その深く吸って深く吐くという行為をとても羨ましく思うんだ。潜在意識で吸いたすぎたのか、一度、恵方巻きくらい太いタバコを、南南東に向かって黙々と吸う夢を見たことがあるくらいだ。
 気づいたら俺は、現実で『エアータバコ』を吸うようになってしまった。エアータバコ。人差し指と中指の間にタバコを持った時のようなその手を、口元に持ってきて、深く吸う。そして吐く。もちろん手にはなにも持っていないから、ただ空気を吸って吐くだけだが、なんだかタバコを吸う動きをするだけで呼吸が深ぁ〜くできるのだ。最初は相方の前で、ふざけてやっていただけだったんだけど、それをしないと深呼吸ができない体になってしまった。気づいたら1人の時も無意識に口元に手を持ってきていた。喫煙所に行く必要もないから、カフェの禁煙席で普通にエアータバコを吸ってしまう。もちろん隣の席の人に冷ややかな目で見られる。でもそんなの気にしない。もう空気の病気なのだ。
 タバコはスペイン語やポルトガル語の「tabaco(tabacco)」が語源らしい。スペイン語で「空気」をなんて言うのか検索したら「aire」と言うそうだ。俺は自分のエアータバコを、加熱式タバコの「IQOS」の如く『アイレ』と名付けた。空気を吸って愛を吐く。愛Re。よかったら一本どうぞ。

 そうそう、慢性鼻炎で思い出した。慢性的なもんは本当に嫌なもんで。
 数年前まで、電車賃をうかせたくてバイト先まで自転車で通っていた。環状8号線を片道1時間かけて真っ直ぐ下る。チャリンコでキコキコと。それのせいかある日、鼠蹊部というか、股関節あたり、お股らへんがなーんか痛くなって、終いには自転車に乗ってない時でもどんより痛くなった。
 なんだろうこれ…。と、病院に行ったら、先生に「慢性的な前立腺炎ですね」と診断された。慢性前立腺炎。前立腺ていうのは、男にしかない臓器で、膀胱のすぐ下あたりにあるんですわ。そいつが延々とえーんえーんと炎症を起こしちゃってるわけですな。
 ストレスや座ってる時間が長いと、慢性的な前立腺炎になる人が多いみたい。最近は在宅ワークなどでなっちゃう方も多いらしい。俺は完全に自転車に乗りすぎてなっちまったと思う。お股のいろんな部位が鈍く痛いような重いようなかんじ。いやーな感じ。
 慢性的なもんは中々治りづらい、と言われた。治療法は何なのか聞くと、「ストレスを溜めずに、座る時間を減らした方がいい」とのこと。俺が、えーと…それ以外には…?という顔をしていたのを見兼ねたのか、先生が
「他は特にやれることがないんだよね〜」
え?
「実は慢性前立腺炎は50年くらい前から、もう研究がストップしてるんだよね〜」
と、付け足した。
 ご、50年!?もう今は研究している人がいないそうだ。今まさにコロナ禍でオンラインなどにより座る時間は多くなり、全国的にも患者は増えているというのに…。50年前から研究がストップしているだと…。50年前…高度経済成長期の頃から、この病気の研究は成長を止めていたというのか…。お願いします。日本のこれからのお医者様そして研究者の方々、誰か、今すぐ慢性前立腺炎の研究をし始め続けてください。急性的に。
 会計を待っている間に、『アイレ』に火をつける。深く、吐いてから、深く、吸った。病院でもアイレは吸える。

 そして俺は川沿いを走る、走る。慢性的に走り始め続ける。

 読んでくれてありがとうございます。

 上の写真は川沿いじゃなくて、高速道路沿いの道です。
 ちなみに、体育座りしてる動物たちはですね、昔なにかの企画でオリジナルの封筒と便箋をデザインして作ったんですよ。その時の絵です。地元のお店で少しの間売られていたんですよ。どんな人が買ってくれたんだろう、そしてどんな事を書いて、誰に送ったんだろう、と想像をふくらませていたのを思い出しました。

 今年はそんな感じでnoteも書いていけたらと思ってます。
 よかったら、読み始め続けてください。

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