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コミュニティ設計の新常識!「16分類」で見つける最適な形と運営方法

こんにちは! コミュニティ運営初心者の若林です。

今回は、JINEN株式会社(以下、JINEN)のコミュニティディレクターである藤田に「コミュニティの16分類」について話を聞いていきます。

JINENでは、コミュニティを16種類に分類しているそうですが、「そもそもコミュニティを分類するとはどういうことなのか?」「16種類をどのようにコミュニティ設計や運営に活かせるのか?」など、様々な角度から掘り下げていきます!

最後には、コミュニティ運営や自己理解に役立つ「コミュニティ診断テスト」もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください!


「コミュニティを16分類する」とは

JINENによる「コミュニティの16分類」

若林:今回は「コミュニティの16分類」がテーマです。「コミュニティを分類する」という考え自体、一般的にはあまり馴染みがないかと思いますが、具体的にどのようなことかご説明いただけますか?

藤田:そうですね。「コミュニティを分類する」という考え方はたしかに馴染みが薄いですが、これまでもいくつかの方法は提唱されているんです。

たとえば、ドイツの社会学者テンニースは、人の繋がりを「機能体」と「共同体」に分けました。「機能体」は目的や目標達成を追求する繋がり、「共同体」は居心地の良さを重視する繋がりを指します。ドイツ語ではそれぞれ「ゲゼルシャフト」「ゲマインシャフト」という言葉で表現されます。

また、アメリカの社会学者マッキーバーは「アソシエーション」と「コミュニティ」の違いを提唱しました。「アソシエーション」は目的や目標を共有する集まり、「コミュニティ」は地域や共通の特徴によって形成される集まりとされています。

こうした理論を踏まえつつ、私たちJINENでは、より具体的にコミュニティを分類する必要があると考えました。なぜなら、目標達成を重視するコミュニティにも良い面と悪い面があり、居心地を追求するコミュニティにも同様に正負の側面があるからです。その結果、4つのカテゴリーに整理しました。「価値共創型」「成長促進型」「相互扶助型」「共感型」です。

テンニースの言う居心地の良さを追求する文脈に近いのは「共感型」と「相互扶助型」です。「共感型」は、交流や親睦を目的としたコミュニティを指します。たとえば、趣味を共有する「趣味友」や、特定のリーダーや思想に依存しつつ楽しく活動する集まりなどがこれに該当します。一方、「相互扶助型」は、個々が特別強いわけではないけれど、皆で協力して地域を盛り上げたり、NPOのように役割を分担しながら精神的な豊かさを得るコミュニティです。

一方、目的や目標達成を重視するのが「価値共創型」と「成長促進型」です。「成長促進型」は、自己実現やスキルアップ、社会の発展を目指すコミュニティです。さらにその先にあるのが「価値共創型」で、新しい価値や唯一無二の基準を生み出そうとするタイプです。たとえば、イノベーションを追求する集団などがこれに当てはまります。

ただし、どのコミュニティにも正と負の側面があります。「価値共創型」は新しいことを生み出せますが、失敗すると大きなリスクを抱えたり、伝統にとらわれて新たな挑戦がしにくくなる場合があります。

「成長促進型」は、成長が社会発展に繋がれば良いのですが、成長そのものが目的化してしまい、金銭や名誉を追い求める集団になる恐れもあります。

「相互扶助型」は、居心地の良さを重視しすぎて、社会課題に向き合わず、逃避的なコミュニティになってしまうことがあります。

「共感型」は、逃げ場を提供する良い面がある一方で、トップダウン構造が強くなりすぎて洗脳的になり、最終的には崩壊する可能性もあります。

こうした正負の側面を考慮し、4つのカテゴリーをさらに細かく分類する必要があると考え、最終的に16分類に落とし込みました。

若林:ありがとうございます! とてもよく分かりました。コミュニティには良い面も悪い面もあるからこそ、大きな分類ではなく16分類で細かく見ることが必要なんですね。

悪いコミュニティの方が多い!?

若林:ちなみに、悪いコミュニティと良いコミュニティは、1対1の割合で存在しているんですか?

藤田:そういうわけではありません。むしろ、悪いコミュニティの方が多いです。たとえば、交流や親睦の要素が強まるほど、悪いコミュニティが増える傾向もあったりします。

若林:そうなんですか!? 少し意外です。

藤田:実は、交流や親睦を目的としたコミュニティで良いコミュニティになるのは、2つのパターンしかありません。

1つ目は「結束型」です。このタイプでは、交流や親睦が課題解決や目標達成に結びついています。たとえば、会社の同期会などで、仕事の苦労を共有する中で「あの人が頑張っているから自分も頑張ろう」といった前向きな気持ちが生まれるような場合です。単なる親睦だけでなく、目的達成に向けた結束が見られるのが特徴です。

2つ目は「熱狂型」です。これは、個人が好きなことに没頭し、その結果として新しい価値が生まれるコミュニティを指します。たとえば、プログラミングが好きすぎて新しい技術やツールを開発したり、アニメのキャラクターに熱中した結果、新しい創作物が生まれるといったケースです。ただし、この価値が評価されるためには「第三者の視点」が必要です。第三者の視点がない場合、単なる親睦だけで終わり、「何のための時間だったんだろう?」と感じてしまうことが多いです。この場合、良いコミュニティとは言えません。

若林: 以前*、コミュニティを評価する際に、第三者、つまり外部から見たときに良いコミュニティと評価されるかどうかが重要、というお話がありました。その視点がしっかりあれば良いコミュニティになれるけれど、その視点が欠けていて、ただ親睦や交流を深めるだけだと悪いコミュニティになってしまう、ということですかね?

藤田: まさにその通りです! 一方で、課題解決や目標達成を目的とするコミュニティの場合、外ばかりを意識して、内部の繋がりを軽視してしまうと悪いコミュニティになりがちです。

内側の結束と外部からの評価、どちらもバランスよく持っているコミュニティこそ、良いコミュニティと言えます。

*以前の記事はこちら

コミュニティを分類するメリット

若林:次に、コミュニティを分類するメリットについて教えていただけますか?

藤田:コミュニティを分類するメリットは、目指す町や企業のコンセプトに合わせて、適切な形を「選択」できる点にあります。

たとえば、町づくりの文脈では、住民のウェルビーイングを高めたいという目標がある場合、「結束型」のコミュニティを作ることが効果的です。一方、推し活とのコラボなど、エンターテインメント要素を取り入れる場合には「熱狂型」のコミュニティが適しています。また、最先端技術やスタートアップを積極的に誘致したい場合は、「発展型」や「革新型」のコミュニティが必要になるでしょう。

このように、「どのような町を目指したいのか」というコンセプトから逆算して、適切なコミュニティを選ぶことができるのです。

企業においても同様です。社員の成長を目指すのか、それとも心の拠り所を作りたいのかによって、課題解決を重視したコミュニティを作るべきか、交流を重視したコミュニティを作るべきかが変わってきます。

若林:16分類があることで、目的に応じたコミュニティを設計しやすくなるんですね。

藤田:そうですね! 16分類があることで、目的に沿ったコミュニティを選びやすくなります。基準が明確になることで、考えを整理しやすくなるのが大きな利点だと考えています。

種類ごとに設計・運営方法は変えるべき?

若林:16種類の中で、コミュニティを作る際の設計方法や運営方法は、それぞれ異なってくるのでしょうか?

藤田:そうですね、まったく異なります。これまで「課題解決」や「交流・親睦」という軸でお話ししてきましたが、もう1つ「役割が固定化されているか、それとも変動するか」という軸も重要なんです。

たとえば、「成長型」のコミュニティを作る場合は、役割を固定化して、その中で努力を促す設計が求められます。役割を固定化すると、個人のスキルアップがしやすくなります。部活動を例にすると、「サッカーのフォワードとして1年間頑張る」といったように、特定のポジションを極めることで成長できるイメージです。そのため、「成長型」のコミュニティでは、役割ごとの権限や責任範囲を明確に定めることが重要です。

一方、「革新型」のようなイノベーションを生み出すコミュニティでは、役割を頻繁に変動させる仕組みが求められます。「この人はこの分野が苦手だったけれど、別の分野では活躍できる」といったサイクルを回すことがポイントです。この場合、採用基準を明確にしたり、所属条件をしっかり言語化することが鍵になります。

また、イベントの設計についても違いがあります。「成長型」の場合は、表彰式のように成果をみんなの前で称えるイベントが効果的です。一方で、親睦を重視するコミュニティの場合は、文化祭のようにみんなで楽しく出し物をするイベントの方が喜ばれるでしょう。

JINENが開発!コミュニティ診断テスト

JINENの「コミュニティ診断テスト」

若林:最後に、JINENで開発された「コミュニティ診断テスト」についてお聞きしたいです! 約60の質問に答えることで、自分が16種類のコミュニティのうちどこに属するのかがわかるテストですが、どのような背景で作られたのか、またどのように活用してほしいと考えているのか教えてください。

藤田:背景は2つあります。1つ目は、コミュニティ運営者の視点です。コミュニティを作る際、その目的に合ったメンバーを選ぶことがとても大切なんです。

たとえば、課題解決や目標達成を重視するコミュニティに、親睦や交流を求める人が加わると目的がブレてしまいます。逆に、交流を目的としたコミュニティに成果を重視する人が入ると、雰囲気が悪くなることもあります。そこで、この診断テストを運営者がメンバー選びの判断基準として活用してもらえたらと思っています。

2つ目は、個人の視点です。自分が所属するコミュニティの特徴を知ることで、より良い関わり方を見つけてほしいと思っています。

私たちはコミュニティを16種類に分類していて、そのうち4つは良いコミュニティ、2つは一部リスクがあるコミュニティ、残り10種類はあまり良くないコミュニティと定義しています。つまり、16種類のうち10種類は悪いコミュニティなんです。

若林:そう聞くとちょっと怖いですね……(笑)

藤田:そうなんですよ(笑)

たとえば、一見楽しい「逃避型」のコミュニティは、短期的にはみんなで楽しくお酒を飲むなど、充実した時間を過ごしているように思えます。でも、1年後やその先を振り返ったときに「あの時間、結局何だったんだろう」と感じてしまうことが多いんです。

そんな後悔をしないように、自分が所属するコミュニティに感じている違和感を言語化したり、それが本当に自分に合った場所なのかを見極めるための判断材料として、この診断テストを活用してほしいです。ぜひ自己理解を深めるために使っていただけたら嬉しいです!

コミュニティ診断テストはこちら


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