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【健康の選択#4】やせる選択!(ナッジ:5選)一人で無理なくできる行動経済学ダイエット

ダイエットを続けるのって難しいですよね。でも、「ナッジ理論」を使えば、自然と健康的な選択ができるようになります。ナッジ理論とは、無意識のうちに人々の行動を良い方向に導く方法。今回は、一人でも無理なく取り入れられるナッジ理論を使ったダイエットのコツをご紹介します!


ナッジ理論とは?

ナッジ理論は、行動経済学者リチャード・セイラーと法律学者キャス・サンスティーンによって提唱された概念です。この理論は、個人の選択を誘導する微細な変化を通じて、人々の行動を改善することを目指しています(Thaler & Sunstein, 2008)。例えば、健康的な食生活を促進するための環境設計が含まれます。

1 食べ物の配置を工夫する

健康的な食べ物を目立つ場所に配置し、不健康な食べ物を見えにくい場所に置くことで、選択の確率を変えることができます。このアプローチは「デフォルト効果」とも関連しています。デフォルト効果とは、デフォルトの選択肢が人々の行動に強い影響を与えるというものです。

冷蔵庫の目線の高さに野菜や果物を置き、お菓子は棚の奥にしまう。これにより、自然と健康的な食品を選びやすくなります。

エビデンス

研究では、学校のカフェテリアで果物を目立つ場所に置いた結果、果物の消費が増えたことが示されています(Hakim & Meissen, 2013)(School Nutrition Association, 2013)。他の研究でも、食品の配置が選択に与える影響が確認されています(Wansink et al., 2013)。

2 小さなプレートを使う

プレートのサイズが大きいと、同じ量の食べ物でも少なく見えるため、多くの食べ物を盛りがちです。小さなプレートを使うことで、少量の食事でも満足感を得やすくなります。この効果は「サイズの錯覚」とも呼ばれています。

夕食を取るときに小さなプレートを使用する。これにより、自然と摂取量を減らすことができます。

エビデンス

研究によると、プレートのサイズを小さくすることで摂取カロリーが減少することが確認されています(Wansink, 2010)。他の研究でも、ポーションのサイズが食事量に与える影響が示されています(Rolls et al., 2004)。

レストランでのプレートサイズ:レストランで小さなプレートを提供することで、客の摂取カロリーが減少した事例もあります(Van Ittersum & Wansink, 2012)。

パーティーでの食器の使用:パーティーで小さなプレートとスプーンを使用することで、食べ過ぎを防ぐことができると示されています(Wansink & van Ittersum, 2013)。

3 飲み物の選択を改善する

甘い飲み物を減らし、水や無糖のお茶などの健康的な選択肢を増やすことが重要です。ナッジ理論では、飲み物の選択肢を見直すことで、摂取カロリーを減らすことができるとされています。

冷蔵庫の前に水のボトルを置き、ソフトドリンクは目に見えない場所にしまう。職場でも、ウォータークーラーを目立つ場所に設置することで、社員が自然と水を選ぶように促します。

エビデンス

研究では、職場にウォータークーラーを設置することで、ソフトドリンクの消費が減少し、水の消費が増えたことが示されています(Vercammen et al., 2018)。さらに、飲み物の選択肢が健康行動に与える影響についての研究も数多くあります(Bleich et al., 2014)。

学校での水分摂取:学校での水の提供を増やすことで、生徒のソフトドリンクの消費が減少し、水の消費が増えた事例があります(Patel et al., 2011)。

4 健康的なスナックを準備する

小腹が空いたときに手軽に食べられる健康的なスナックを準備しておくことで、不健康なジャンクフードの消費を抑えることができます。これもナッジの一つであり、簡単に取り入れられます。

デスクや車の中にナッツやドライフルーツなどの健康的なスナックを置いておく。これにより、間食の際に健康的な選択をしやすくなります。

エビデンス

研究では、健康的なスナックを手の届く場所に置くことで、不健康なスナックの消費を減らすことができると示されています(Schwartz et al., 2017)。また、職場や学校でのスナックの選択が健康に与える影響についても多くの研究が行われています(Larson & Story, 2009)。

家庭でのスナックの準備:家庭内で健康的なスナックを常備することで、家族全体の食習慣が改善された事例もあります(Fulkerson et al., 2008)。

5 食事のリマインダーを設定する

定期的なリマインダーを設定することで、食事のタイミングを管理し、過食を防ぐことができます。これは、日常生活の中で自然に健康的な習慣を身につけるためのナッジです。

スマートフォンのアラームを設定して、食事のタイミングを知らせる。これにより、規則正しい食生活を維持しやすくなります。

エビデンス

研究では、食事のタイミングを管理することで、過食を防ぎ、健康的な体重管理に寄与することが示されています(Hill et al., 2012)。また、テクノロジーを利用した食事リマインダーが健康行動に与える影響についての研究もあります(Patrick et al., 2009)。

アプリでのリマインダー:スマートフォンアプリを使用して食事リマインダーを設定することで、ユーザーの健康行動が改善された事例があります(Spring et al., 2013)。

まとめ

ナッジ理論を使えば、一人でも無理なくダイエットを続けることができます。小さな工夫を取り入れるだけで、健康的な選択を自然とできるようになります。今回ご紹介した5つのナッジをぜひ試してみてください。これらの方法は、無理なく続けられるので、長期的な健康維持にも役立ちます。

参考文献

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Bucher, T., Collins, C., Rollo, M. E., McCaffrey, T. A., De Vlieger, N., Van der Bend, D., ... & Perez-Cueto, F. J. A. (2016). Nudging consumers towards healthier choices: a systematic review of positional influences on food choice. British Journal of Nutrition, 115(12), 2252-2263.

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