シャブと宗教
最近何かと統一教会の話題が上がったり、献金が騒がれているが、自分に完全に関係ないとは言い切れない。
霊友会という宗教法人を知っているだろうか?信者数が昨年の集計で1,181,829人という、現在日本で3番目に信者数が多い宗教法人だ。
昔教団自体がコカインで一斉捜査されたことがある極めて僕向きな宗教団体だ。
何を隠そう自分の祖母がこの霊友会の信者で、小さい頃からいろんな施設や山奥にある巨大な修行施設とかに連れて行かれた。
両親は、全然そういった事柄に興味がないので宗教2世というわけではないのだが、両親の仕事が忙しく毎週末決まって祖母宅に預けられていたので、一般人よりは宗教の英才教育を受けた。保育園も仏教系だったのでなぜ完全な宗教人間にならなかったのかかなり謎だが、英才教育のおかげで宗教観だけはまともな人間に育った。
基本的に霊友会は、「毎日先祖のためにお経を唱えましょう。年会費は六千円で、特別な喜捨とかはいりません。」みたいな感じの宗教で、自分が行っている間も今振り返ってみても特段変なところはなく、一般人が寺の真似をしているコミュニティといった感じだった。結局宗教なので、なんらかの障害を持った方が多かったり、ヤクザが多かったりした。ただ、それだけで別にどうといったこともない。社会はそういうものだと3歳の時点でわかっていた。
東京都港区麻布台1丁目7−8。住所だけ見てもわかる一等地。ここに実は霊友会の本部「釈迦殿」がある。東京タワーや芝公園から程近い場所にあるので実は見たことがある人も多いと思う。
年に一回、この釈迦殿で決起集会みたいなのが行われる。日本全国から貸切バスで集合し、その日一日かけての決起集会である。クソでかである。(ちなみにこの施設の地下にはクソでっかい託児所があって、美人な保育士の信者が集会の間、親に連れてこられた子供の相手をしている。唯一あそこには戻りたい。)
3歳から10歳までほぼ毎年この集まりに参加していた。中身はといえば、みんなでお経を読んだり、霊友会に入ったらこういうふうに救われましたみたいな体験談を聞いたりする。
霊友会の教えは「先祖供養をすると救われますよ。お経を毎日あげて、善行をしましょうね。仏様はあなたのことを見てますよ。」という感じなので、普通にお盆のシーズンとかに勧誘されたらみんな疑いもなく入信すると思う。それくらい教義自体は自然だ。
ただ10歳の自分でも信じられない体験談をこの集会で聞いて、俺はこの宗教のことは信じないと思った。
その体験というのがタイトルにも出ている、「霊友会に入ってお経を唱えたらシャブを辞められました」という体験談だった。
クソみたいな地元で育ったおかげで、念仏唱えて助けに来た仏の力でシャブがやめられるわけがないことを僕は10歳で知っていた。
シャブを辞めたい人間はこの世にいっぱいいる。ヤクザ者が多いなら尚更だ。それこそ藁にも神にも縋る想いで辞めたいだろう。その人に対して、この宗教はシャブをやめられます!といって信者に聞かせることのとんでもなさがわかるだろうか?
僕は、この話を聞いた瞬間に、今までの英才教育が音を立てて崩れ、宗教はクソだ人間になってしまったのだ。やっぱりシャブは良くないね。
人が信じるものは様々で、実はその人も法華経に出会って行動を改めてシャブを本当に辞められたのかもしれない。
しかし、宗教は搾取構造を抜きにしては語りえないし、国家の運営をするにしても、シャブを辞めさせるのに必要なのは宗教でも喜捨でもなく、科学と合理的な福祉制度だ。
宗教は信じることが第一歩で、科学は疑うことが第一歩になる。それと同時に、大切な人が死んだ時に葬式をして区切りをつけたり、お経を上げて少し思い出して懐かしんだりすることが必要にもなる。
宗教こそシャブと一緒で手を出さないのが一番で、ハマって気づいた時には誰も相手にしてくれず、野垂れ死ぬだけだ。依存せずいいくらいの距離感で付き合うに越したことはない。
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