ロストロイヤルシナリオ「双眼の行方」
このシナリオは将来的に同人誌に再録予定です。詳細データについては省略しています。
また、無償公開の「投げ銭」方式を採用しています。記事末尾よりお気持ちをいただけると助かります。
○ トレーラー
貴公に問う。汝、秩序を治める者か。
貴公に問う。汝、騒動を鎮める者か。
貴公に問う。汝、人命の重きを知る者か。
貴公に問う。汝、人命の儚きを嘆く者か。
小さな村に産まれた1人の赤子
歓迎されるべきその命の炎は小さく揺れている
「異色の瞳は魔族に通じ、その瞳は滅びをもたらす」
賽は投げられた――
ロストロイヤル エピソード1
「双眼の行方」
全ては主の御心のままに、栄光あれ。
○ NPC
キャンペーンの展開上、名前を伝えておく必要があるNPCは下記の通りです。その他、村の中では展開に応じて追放派や擁護派の村民を登場させてください。
単発セッションとして行う場合、ヤレフは魔族襲撃の際に死亡したり逃亡したという扱いにしてシナリオに登場させなくても構いません。
・ヤコブ
1週間前に生まれたオッドアイの子供。父親はヤレフ、母親はアリス。
・アリス
ヤコブの母親であり、エレナの姉。
結婚前はエレナとともに宿屋の看板娘として働いていたが、ヤレフと結婚後村の一軒家に移り住んだ。
ヤコブを産み、騒動が起きた後はエレナに匿われるようにして宿屋の2階で暮らしている。
村の騒動の原因が自分にあることを常に気にしており、それがヤコブにとって良くないことである場合には村の外に出ていくことも厭わない覚悟を持っている。
・エレナ(擁護派)
1階が酒場、2階が宿という形態を持つ宿屋を1人で切り盛りしている人間族の女性。21〜22歳程度。
ハキハキとした明るい声で喋り、忙しくても明るく響くその笑い声で酒場の雰囲気をまとめている。
自分と姉のアリスが育ったロカ村を大事に思っており、追放派の村人に対しても「村の言い伝えを重んじることはわかる」「考え方が違うだけで悪い人ではない」という一定の理解を示す。
ヤコブの母親、アリスは実の姉である。アリスおよびヤコブには村に残ってもらいたいと思っているが、自分が大きな声で主張することで村が完全に二分することを恐れ大々的に言うことを躊躇っている。
2階の宿屋の一室にアリス親子を匿っているうえ、そのことを大多数の住民に隠している。
・ヤレフ
アリスの夫。
ロカ村を護衛するための騎士派遣が滞るようになったことで結成された自衛団に所属していた。
アリスが身籠って間もなく派遣された魔族討伐の際に、血の付いた衣服の一部を残して行方不明となった。
○ シナリオ用語
・追放派
ヤコブを村から追い出すことを目的とする住民グループ
・擁護派
ヤコブを村に残すことを目的とする住民グループ
・自衛団
警護のために近くの王国から派遣されている騎士が不在となっている間結成される村の自衛団。若い村の男たちが協力して自警に当たっている。
数ヶ月前に発生した予期せぬ魔族軍の襲撃の際に初めて出動したが、抵抗むなしく帰還率は50%程度であった。その殆どは魔族軍に連れ去られたり殺されたりしたと推測されている。
○ 導入
国を失い逃避行を続ける中で、幻視を受けた騎士団一行は山あいにある小さな村「ロカ村」に身を隠すことにした。
ロカ村は小さいながらも村民同士が手を取り合って生活しているのどかな村である。
騎士団一行が宿屋に向かうと、男同士が言い合う声が聞こえてくる。
「あんな子どもいつまで村に置いておくんだ、この村を壊すつもりか!」
「子どもに罪はない、いつまで古い風習を信じるつもりだ!」
騎士の誰かが男たち声をかけたり時間が経過したりした場合、なし崩し的にその場は解散となり擁護派の男だけが残る。
宿場全体には不穏な空気が広がり、残った男もヤケ気味に酒をあおる。
PCが男や酒場を切り盛りしている女性(エレナ)に話を聞くことでロカ村の現状を教えてくれる。
シナリオ用語欄やNPC欄を参考にして、PCに下記の状況を伝えること。
・騎士団が村に着くちょうど1週間前、ロカ村では右目が朱、左目が翠色というオッドアイの子供が産まれた。
・ロカ村ではオッドアイの子供は不吉の予兆という言い伝えがあり、大層忌み嫌われている。
・この小さな村は今「村を守るために産まれてきたばかりの子供とその母親を村から追放するべき」という追放派と、「たかが風信のためにせっかく産まれてきた子供を追放する必要はない」という庇護派に二分しかねない一触即発の状況となっている。
一通りPCに現状を説明し終わったら、エレナの案内で騎士団は2階の宿屋部分に案内される。
階段を上ると2階が幾つかの部屋に別れた宿屋となっており、騎士団には何部屋かにわけて泊まるように案内される。
案内を終えると、エレナは言いにくそうに騎士団に話しかける。
「村の人たちには秘密なのですが、皆さんには伝えておかなければいけないと思いますので説明します」
「先ほど話に上がっていた親子は、廊下突き当りの一番奥の部屋に泊まっています」
「そして、その子……オッドアイの男の子を産んだのは、私の姉なんです」
○ ハンドアウト
命題A
「親子を助けるため、村人を説得する」
理由:古い迷信のために人命を無碍にすることは断じて許されない。
理由:産まれてくる子供はこの村の未来そのものだ。
予感:不明。
命題B
「村人の不安を解消するため、親子を追放する」
理由:この村にいる限り、親子に対して疑惑の目が向けられることは避けられない。
理由:古いしきたりにとらわれる村に居続ける必要はない。
予感:不明。
○ シーン表
シーン表
1:問題の親子の家が見える。
2:人々が集まって何かを話しているようだ。
3:村の外れの草原に一輪の白亜の花が咲いている。
4:人々が何か話し合っている。
5:風が吹き抜け、土埃が舞う。
6:雲行きが怪しくなってきた。
アリスリアクション表
1:うつむき、何かを考えている
2:子供をあやしている
3:遠くを見つめている
4:泣き出しそうな目でじっと見つめる
5:目を閉じ、眠っているように見える
6:深くため息をつく
ヤコブリアクション表
1:すやすやと寝息を立てている
2:手を伸ばし、何かをつかもうとしている
3:あぶ、あぶと何かを話している
4:今にも泣き出しそうな顔をしている
5:怒ったように手足を振り回している
6:遠くを見つめ、じっとしている
魔将:ウェルター(魔人)
オッドアイの魔人。
リアクション表
1:色の違う両目がキラリと光る
2:ニヤリと笑い、八重歯が光る
3:右足を軽く引きずっている
4:腕を組み、仁王立ちしている
5:挑発的な目で騎士団を見つめる
6:誰かを探しているようだ
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