見出し画像

歴史書籍感想5 「北条時政」


ようやく読んだ

 ミネルヴァ日本評伝選  北条時政
    頼朝の妻の父、近日の珍物か
         野口実著

毎月刊行される『ミネルヴァ日本評伝選』をずっと買い続けているものの、昨年は1冊も読まなかったという衝撃的な事実が年末に判明!
本の売り上げに貢献しているからいいとか言っていてはダメな話で、2025年最初に読む本にこの本を選んだ。
よく使う本棚の画像の一番右にカバーがついて写っているのがこの本。
毎日何度もこの棚を見ながら部屋を移動しているのにずっと放置していたなんて本当にけしからんこと。


野口実先生の著作は今までに何冊も読んでそのたびに様々なことを教えていただいている。
ここまで事実を積み上げて実証するのかと毎回感銘を受け、少しでもその領域に近付ければいいなと思いながら勉強している毎日。
これからもまだまだ多くのことを教えていただきたい。


北条時政は源頼朝の妻政子の父で、鎌倉政権の初代執権になる人物である。頼朝の死後、梶原景時や比企氏を滅ぼすなど北条氏の権力を盤石にさせるために動いた政治家である。
3代将軍実朝に代わって平賀朝雅を将軍に擁立しようとしたことから、子の政子・義時兄弟によって後妻牧の方と共に引退に追い込まれた。

これが北条時政についてよく語られることである。
若い後妻に惑わされて老いた身ながら誤ったことをした人物とずっと言われてきた。
そんな話を細かく分析することによって本当の時政像を描き出したのが本書である。
私も北条時政は晩節を汚した政治家というイメージでしか思っていなかった。
子の政子や義時の印象があまりにも強いため、その父である時政の晩年の印象に引きずられていた。

本書を読んでの感想
北条時政は今まで言われたような田舎の小土豪ではなく、京都との関係を構築していた有能の人物であった。
人と人とのつながりを駆使した政治手腕は、頼朝の妻の父というだけでの起用ではなく、時政の能力を最大限に評価しての登用であった。
今まで言われてきた北条時政像を一度すべて取り払い、この本から得た知識でアップデートさせることが出来た。

専門的な本なので誰にでも受け入れていただける本ではないから感想もざっと書くことにした。
日本史とくに中世史を学ぶ方は是非読んで欲しい。
『ミネルヴァ日本評伝選』では「北条政子」「北条義時」「北条時頼」がすでに刊行されている。
これからもこの素晴らしい魅力にあふれたシリーズを刊行し続けていただけるよう、ミネルヴァ書房さんを全力で応援していきたいと思う。

いいなと思ったら応援しよう!