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劇団文学座 五十四の瞳観劇


芝居からまた多くのことを学ぶ

下関市民劇場2024年5月例会は劇団文学座の「五十四の瞳」でした。
鄭義信さん作で松本祐子さん演出(松本さんはこのあと11月の「獅子の見た夢」も演出)

戦後、間もないころの瀬戸内海の小さな島・西島。
この小さな島には日本人と朝鮮人が仲良く机を並べて共に学ぶ小学校「西島朝鮮初級学校」がありました。
1948年、占領軍が朝鮮学校の閉鎖を通達してきたのです。怒った日本人の吉田良平とホン・チャンス、オー・マンソクは抗議デモに参加するために兵庫に向かうのです。
その2年後、朝鮮戦争が勃発し祖国が分割されてしまうのですが‥。

例会案内より

この作品もなかなか歴史の授業では習わない貴重な芝居。1950年に朝鮮戦争がという事実は習うものの、ではその中身はということまでは深く学ばない。
生まれた時から大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が存在していた私からしたら、その国家が形成される前の情勢を知る非常にいい機会になりました。

実際に存在する西島での話。瀬戸内海の美しい情景が目に浮かぶが芝居の内容は朝鮮戦争へ向かう重さが漂う。
戦後日本人と朝鮮人が共に学ぶ小学校があったなんて今から思えばすごいことだと思う。
朝鮮戦争がなければ在日朝鮮人の人たちと今よりももっと身近なコミュニティが築けていたのだろうか。
下関はまだ身近な都市かもしれない。

芝居の中ではハングルでのセリフも多くあった。運営サークルのメンバーはハングルを勉強して理解しようとしていた。
例会の案内に簡単なハングルの説明があったが、観劇するにあたって非常に役に立った。
もっと今以上に隣国の文化についても歴史についても触れていこうと思うきっかけになる芝居であった。

2024年現在も南北は休戦状態で統一されていない。
その分断の前の状況を学べたことは本当に貴重な機会をいただいたと思っている。
これからどのように歴史として勉強していくかは私次第。
日本史に偏った学びはよくないのではないか。
改めてそこに気付かせてくれたという点でもこの芝居を観劇した意義は大きい。


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