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歴史書籍感想3「足利将軍事典」
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足利将軍事典
木下昌規・久水俊和編
戎光戒出版
過去に読んだ本の紹介を今日は2冊します。
まずは足利将軍事典。
2022年2月に戎光戒出版から刊行された足利将軍に関する非常に有益な本です。
内容は
第1部 歴代足利将軍の事績
第2部 足利将軍の一生
第3部 将軍の政務と生活
第4部 足利将軍子弟辞典
付録 足利将軍関連史料
と非常に充実しています。
本来こういう書物では歴代将軍の生涯について触れるだけで終わることが多いですが、第2・3部にあるように一生や政務と生活についても言及している。
具体的に記すと第2部では誕生・学問・元服・花押・御台と側室・信仰・出家・墓所・菩提寺などの話題が網羅されている。
第3部では将軍と室町殿(北山殿・東山殿)・御所・文書・裁判・ブレーン・天皇家との関係・公家との関係・所領・女房。文化など。
この本を見れば歴史史料を読み解く場合にわからない足利将軍に関する事項がすべてわかるようになっています。
歴代の足利将軍に関しては南北朝時代から室町時代と激動の時代だったからか、15代全員の名前を言える人はなかなかいないというぐらい認知度が低い。
そんな状況を打破するのにこの本は最適だと私は思います。歴代の足利将軍の事績に触れて南北朝時代から室町・戦国の世までの流れを感じて欲しいです。
個々の将軍に関しては人物叢書やミネルヴァ日本評伝選で刊行されている本も当然あります。
ただ人によっては幼くして亡くなっているから伝記や評伝が刊行されない将軍もいる。
この本をそういう隙間を見事に埋めてくれる良書なのです。
戎光戒出版は論文集も刊行している中世史の歴史書を精力的に刊行するいい出版社。
吉川弘文館やミネルヴァ書房・山川出版社などが出さないようないい本を継続的に刊行している。
これからもそのラインナップがさらに充実するように期待しています。