壮大なシリーズ
現在出版されている歴史書の中でずっと集めている2つのシリーズがあります。
吉川弘文館の『人物叢書』とミネルヴァ書房の「ミネルヴァ日本評伝選」
誰しも子供のころ偉人の伝記を読んだことがあると思いますが、その本格的なものがこの2つのシリーズだと言えます。
昭和60年(1985)5月の日本歴史学会代表者坂本太郎氏の『人物叢書』(新装版)刊行のことばによると
「歴史を動かすものは人間である。個人の伝記が明らかにされないで、歴史の叙述は完全であり得ない」
という信念のもとに、専門学者に執筆を依頼し、日本歴史学会が編集し、吉川弘文館が刊行した一大伝記集である。
(中略)既刊本は184冊であるが、まだ未刊である重要人物の伝記についても鋭意刊行を進める方針であり、その体裁も新形式をとることとした。
とあります。今は古書として生き続けている旧版の『人物叢書』があり、それをそのまま新装版に含めながらさらに今新たにシリーズが刊行されているのです。
「ミネルヴァ日本評伝選」の平成15年(2003)9月の刊行のことばでは
歴史を動かすものは人間であり、興趣に富んだ人間の動きを通じて、世の移り変わりを考えるのは、歴史に接する醍醐味である。
単に経歴の羅列にとどまらず、歴史を動かしてきたすぐれた個性をいきいきとよみがえらせたいと考える。そのためには、対象とした人物とじっくりと対話し、ときにはきびしく対決していくことも必要になるだろう。
(中略)狭義の歴史学の研究者だけでなく、多くの分野ですぐれた業績をあげている著者たちを迎えて刊行を開始する。
私が歴史を学んだ時に最初に購入した歴史の本が『人物叢書』の鑑真で、その本に入っていた葉書を購入した書店に持っていき、4冊注文したことが集め始める最初でした。
「ミネルヴァ日本評伝選」は京都に住んでいた頃「京極為兼」が出て驚いたことを今でも覚えています。『人物叢書』のようなでもけっして人物が全部かぶるわけではない評伝シリーズが始まったことは、歴史好きな人にとって有意義なことだと思いました。
『人物叢書』は2024年1月「高台院」で322冊目。
「ミネルヴァ日本評伝選」は2024年7月「安部公房」で256冊になりました。
『人物叢書』は年に1~3冊出版されるかどうかですが、「ミネルヴァ日本評伝選」は刊行シリーズが始まると毎月1冊出ます。ちなみに8月井伏鱒二、9月全斗煥の刊行予定!
どちらのシリーズも刊行予定が100冊以上決定しており壮大なシリーズには終わりが見えません。
楽しみですね。
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