海外ミステリー本感想3「死の教訓上下巻」
ジェフリー・ディーヴァー著
死の教訓上下巻
講談社文庫
「すべての罪は沼地に眠る」の帯にジェフリー・ディーヴァー推薦と書いてあったので、次は彼の本をと思い手にしたのが本書。
丸善のカバーなので丸善博多店で購入したことがわかる。棚の一番下の場所にこの本があって思わず購入した記憶が鮮明に蘇った。
リンカーン・ライムシリーズで有名なジェフリー・ディーヴァーが、ライムシリーズの前に書いていたのがこの本。
読み始めたらやめられない彼の作品が登場する直前の、一気に花開く前の秀作が本書。
訳者があとがきで触れているようにまだディーヴァーのあの疾走感はこの作品では感じられない。細かい部分まできちんと描いてからの進行故だろうと思う。上巻の終盤以降に急加速して一気に下巻まで進んだのはさすがの筆致。もうすぐそこにディーヴァーの世界があるのを感じた。
リンカーン・ライムシリーズの1作目「ボーン・コレクター」はもうかなり前に読んだので、ここで紹介する予定は今のところないが、もし今まで読んだ海外ミステリーでいい作品10冊あげよということになれば、間違いなく「ボーン・コレクター」を私は推す!
俳優児玉清さんがディーヴァーの大ファンで、翻訳された本が出版されるのが待ちきれなくて原書を読んでいたのは有名な事実。
それほどディーヴァーの世界は中毒性があってやめられない。
この本はかなり前に刊行されているので書店ではもう入手出来ないかもしれない。どこかで見かけた時は手にしてもらえたらと思う。丸善博多店にこの本があったのは大きい店は棚にある程度在庫を置くからだと思う。丸善さんに感謝である。
リンカーン・ライムシリーズに慣れている読者には本書の進行はあれと思うかもしれない。何度も書くがディーヴァーの世界が大きく花開く前の作品だからと思って読んでほしい。この後に花開くことを予感させる断片はもう随所に見受けられるのだから。
どの作品もいいという作家はそんなにいない。ディーヴァーにはずれなしというのもこの作品が十分証明していると私は思う。