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【Design 3.0 の道標】デザインってなんだ?

近いうちに記事を書こうと思うが、私は
【Design 1.0】を「カタチのデザイン」、
【Design 2.0】を「価値のデザイン」、
【Design 3.0】を「創造性のデザイン」と定義している。

Design 3.0について書く前に、【Design 3.0の道標】シリーズでは、そこに至るまでのデザイン論を解説していきたいと思う。

今回は、そもそもの大前提として「デザインとは」的なところを書いてみた。

「デザイン」という言葉は、非常に多義性のあるものになってしまったと思われている。いまやあらゆる言葉に〇〇デザインといった形で使われるようになってしまったし、大企業の組織図を検索すれば「デザイン」という名のつく部署の数は両手の指では足りないくらいある。

その一方で世間一般的にはアーティスト的な見方をされることも少なくない。デザイナーを表現者やクリエイターと捉える考え方だ。

なので、いわゆるクリエイティブワークを指して「狭義のデザイン」、それ以外も含めて「広義のデザイン」なんて呼ぶ人もいる。私もそういう言い方をした方が通じやすい場面ではそういった表現を使うことがある。

しかし、これはやはり「デザイン」という単語について皆の解像度が低いからとしか思えない。

そこで、八重樫先生と安藤先生の著書「デザインマネジメント論」を見てみよう。この本は、非常に多岐にわたるデザイン論が簡潔にまとめられている良書だ。専門書としては薄く小さいのわりに、あまりにもデザインという単語が出てくるので、デザインアレルギーを持っている人は発狂してしまうかもしれない笑。アカデミックな視点からのデザイン理論、デザイン研究、デザイン科学といった分野が網羅されていて、自分達が「デザイン」という言葉をどの意味において使っているかがクリアになるかもしれない。いわばデザイン論の世界地図だ。もちろん、比較的新しいトランジション・デザイン等は含まれていないが、これからアカデミックにデザインを学びたい人には入り口としておススメである。

その本の中でデザイン研究はおおきく5つのディスコース(直訳すると「言説」とのことだが、「流儀」や「流派」のような意味で解釈している)があるとのことだ。

①問題解決行動としてのデザイン
「デザイン科学」と位置付けたシステマティックなアプローチを用いた、ハーバート・サイモンの人工物科学の研究

②省察的実践としてのデザイン
実践的な認識論の観点からデザインをとらえようとしたドナルド・A・ショーンによる省察的実践のデザイン理論の展開。

③リベラル・アーツとしてのデザイン
リチャード・ブキャナンに代表される。リベラル・アーツとしてのデザインの観点。

④思考法としてのデザイン
ナイジェル・クロスに代表される、思考方法としてのデザインの観点。

⑤意味の創造としてのデザイン
クラウス・クリッペンドルフによる意味の創造としてのデザインの観点。

八重樫文、安藤拓生著「デザインマネジメント論」より

ちょっと小難しい話になってしまったが、要は私のスタンスは①の問題解決行動として”デザイン”という単語を使いたいと思う。理由は簡単だ、自分が身に着けたデザインのチカラを誰かの役に立てる(問題解決に導く)ことを生業としているからだ。

私の専門の工業デザインは製品の外観という問題を良くして生活にフィットしやすいように解決することであるし、映像・グラフィック系のデザインは企業と消費者の間のコミュニケーションの問題を解決している。

問題解決行動という意味では、誰もがデザイナーといっても過言ではない。例えば、肥満という問題を抱えている人が食生活や運動習慣を変えるならそれはライフスタイルのデザインかもしれないし、そういった人向けに低カロリーで高たんぱくでおいしいチョップドサラダを提供する人はフードデザイナーかもしれない。だから、デザインという言葉が世の中にあふれて行ってしまうのだ。

「そんなことを言われても、結局デザインがなんなのかよくわからないよ!」と言われるかもしれないが、そんな人には次の記事を読んでいただきたい。

次回、「【Design 3.0の道標】ロジカル思考、デザイン思考、アート思考」

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#デザイン #デザイン論 #デザイン研究 #デザイン科学 #Design3 .0

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