見出し画像

私の彼は優しすぎる。29-センサー。

彼女がいるのに合コンに行くのが

彼の正義に反していて

彼はごめん、と言ったのだろうけど

それには

自分がモテてしまう自覚も含まれていたと思う

世の中にはイケメンに目ざとい人たちがいて

(女性だけではない、

彼の先輩は男性だし)

彼が眠そうな目をしていても

髪をセットする時間がなくて

ぼわっとした髪型のまま外出しても

センサーのように

イケメンを掘り出し発見するのだ

そして私にはその能力が欠落してる

それだから職場の人に見つかるまで

彼とのうのうと付き合えていたのだ

彼はきっと

何度も

カフェで移動経路で職場で

希少価値のあるイケメンである自分を

認識したはず

こっちが恥ずかしくなるほど

高揚したカフェ店員の女の子を思い出す

彼はたぶん合コンでも

いつもと変わらずテンションも低いまま

おっとりにこやかに

やり過ごすだろう

優しくて気が利くから

グラスが空になる前に

次のドリンクの心配をしてあげたり

空調が暑くないか寒くないかも気にして

それをぼそっとひとりにやっと聴こえる小声で訊いて

訊かれた子はまるで秘密を共有したかのように

心ときめくだろう

行ってほしくないけど

行ってほしくない

けど

どうしようもない


いいなと思ったら応援しよう!

夏色 陣
気が向いた時にサポートよろしくお願いしますm(_ _)m