私の彼は優しすぎる。19-端麗。

彼は気づいている？

可愛い店員さんが乙女の顔になったこと。

態度が変わったこと。

あなたに短い恋をしたこと。

彼は相変わらず家具を撫でたり

照明を見上げたり

写真を撮ったり

いつかカフェをデザインしたいと言っていた

彼のインスタグラムには丁寧に白の背景で揃えられた

静寂なカフェの写真が並んでいて

彼の端麗な容姿を反映しているよう

そう言われてみれば

私たちの住まいも

いつの間にか

端麗な空間に変貌していった

最初はふたりが持っていた最小限を寄せ集めた

殺風景でアンバランスな空間だったけど

彼が徐々に買い足したり交換したり隠したりして

まとまりのある

それこそインスタに載ってそうな

スタイリッシュでシンプルで

美しい空間に生まれ変わっていった

生活感があまりなくて

私は彼が創り上げた『お城』に

「お邪魔させていただいている」感覚がどこかに常にあった

私たち

そもそも付き合っているのだろうか

わからなくなってきた。