証券会社の案件営業で成果を出すための虎の巻
こんにちは。お金の相談のマーケットプレイスである"お金の健康診断"を運営する株式会社400Fで代表をしております中村です。
私たちはお金に悩んでいる方とお金の専門家をつなぐプラットフォームを運営していることから金融営業の方の相談を受けることが多いです。そういった中で営業サークルというものを運営しており、その中でオンラインメンターとして私が3ヶ月間コミットして案件営業で成果を出すためのサポートを行っております。
2020年9月からスタートしておりちょうど半年ほどが経過しました。これまで6人の証券営業の方のメンターを行ってきました。メンターしたのは、新入社員、入社3年目、6年目、富裕層営業をしている中堅社員など様々なメンバーでしたが、みんな一貫して「お客様の役に立つ案件営業を行いたい」というものでした。
案件営業とは、お客様の課題をベースにしてソリューションを提供して証券の売買だけではないビジネスを行うことです。ある意味証券営業にとっては理想の姿なのですが、これを実行することは様々な要因で難しく多くの方が悩んでいます。
今回オンラインメンターをして案件営業でしっかり成果を出すためのフレームワークを構築してメンターしたことで、それぞれが多くの案件を生み出すことができました。代表的な案件としては以下のよう感じですが、数千万円クラスの案件はほぼ毎週何か決まっているような感じになっています。
- 自社株承継のための株特外しで不動産20億円の案件
- 相続対策で2億円の保険契約
- 航空機リースで2.5億円の契約
- 超優良企業からの投資一任契約で通期の予算達成
- 超優良企業から4億円の資金導入(株式買付)
- 自社株マネジメントのコンサルティング契約の締結
このような案件営業は何かものすごく特別なことをしたかというとそうではなく、案件営業に必要な行動パターンをフレームワークとして確立して実行してもらっただけになります。そのため、もし証券営業で案件営業をやりたいけどできないと悩んでいる方はこちらのnoteをご覧いただければ基本的には理想の案件営業を実施できると思います。以下ではそのような案件営業で成果を出すための私の考え方を解説していきます。
理想の案件営業を実現するにはOKRと案件シートの作成からスタート
💡理想の姿を描こう
案件営業を実現するためには「将来自分がどのような営業パーソンになっていたいか」を強く認識することが大事です。収益や預かり資産のことなどを目標にすると手段が目的化することと、もっと大事であるお客様のことを考えてビジネスを実現するという世界観からどんどん外れていってしまいます。
そのため、案件営業で成果を出したい場合にはまずは自分が理想とする営業パーソンのイメージをはっきりと持つことにしましょう。
💡可視化するためのOKRシートを作成しよう
その理想の姿を描くにはOKRシートを活用することが良いです。OKRについては私のnoteでも何度の取り上げているので別途確認いただければと思いますが、こちらの書籍が参考になります。
OKRシートについては以下のようなテンプレートを活用します。右上に(オンラインメンターの場合は3ヶ月後の)OKRを書きます。O(Objective)はどのような営業になっていたいかを具体的に書きます。そしてKR(Key Results)ではそれを達成するために必要な定量的な目標を書きます。
そしてその目標を達成するためにやるべき今後4週間の行動を左下にブレイクダウンして書き起こし、そのうち今週やるべきことを左上に書きます。そしてその取組に対する自分の状態を右下に毎週書いていきます。
💡成果を出すまでのスリーステップ「準備」「学習」「成果」を意識しよう
この準備ができたら次は(オンラインメンターでは3ヶ月の期間で)成果を出すための順路を確認します。何よりも大事なのはまず「準備」をすることです。準備もできていないのに営業することは極めて無謀なことであるため、自社並びに提携企業などを通したサービス/プロダクトラインナップの理解、そして顧客理解を徹底的に深めます。この準備ができていなければ営業に出ることをやめましょう。結果を出したくて焦る気持ちもあると思いますが、準備ができていない中で営業をするくらいなら営業をしないほうがましです。
次に営業の成果とは自分でコントロールはできずお客様の意思決定によるものです。たとえ自分が完璧な準備をしたと思っていてもお客様には合わなかったということもあります。そのため、準備ができたらとにかくお客様への営業量を増やして自分の仮説が正しいかどうかの効果検証を行います。これが「学習」の期間です。学習期間においては提案がダメだったとしても問題はなく、「なぜ提案がお客様に響かなかったのか」「自分の準備したことは万全であったのか」などをしっかりと振り返れば良いだけです。
そして準備ができて学習したらあとは成果を出していくという流れになります。この順番は絶対に遵守すべきことであり、焦って営業をしても良い成果は出せないためしっかりと準備と学習をすることをお勧めします。
💡投資対効果を最大化するために対象先のランク付をやろう
具体的な準備でまず重要なことは対象先のランク付になります。生身の人間が営業する限りにおいて、全てのお客様に同等のリソースを注ぐことは難しいです。そのため、どのお客様に対して優先的に営業を行うのかをはっきりさせないといけません。
また営業とは投下資本(時間や労力)に対して最大のリターンを出すべきです。そのためランク付を行う際には自分の投下資本(労力や時間)に対してリターンがどの程度期待できるのかをベースに決めます。
私はTier1-3の三段階で分類することをお勧めしておりTier1は「そのお客様とお取引ができたら自分の理想とする営業ができて成果面でも十分なほど結果がでる」Tier2は「Tier1ほどではないけどそのカテゴリーのお客様とお取引ができたら自分の理想の営業を行えて結果も出る」Tier3はTier1-2には入らないが案件が想定できる中で是非お取引を行いたいお客様です。
なお比率としてはTier1=15%, Tier2=35%, Tier3=50%くらいであると考えます。
💡ランク付ができたら案件シートの作成をしよう
お客様のランク付ができたら、いよいよ準備の最大の肝となる案件シートの作成を行います。
案件シートはお客様の名前(法人名)、抱えていると想定される課題(その背景となるファクトは別途用意しておく)、それに対応するソリューション、キーパーソン(窓口)、意思決定者、意思決定プロセス、所属ネットワーク、見込み収益、実現時期などを記載します。
なお、これを書くためにはお客様のあらゆる情報(有価証券報告書、帝国データバンク、会社HP、代表者のSNSやブログ)をまずは全て読み込むことから始めます。そしてお分かりの通りそれを読み込んだ上で、お客様が抱えている課題を抽出するための仮説力が大事です。この仮説力を養うためには①まずは社内のイントラネットなどにある情報を全てみる、②証券アナリスト、プライベートバンカー、FPの資格などの勉強を行う、③関連する書籍を読み込む、ということがあげられます。
また、ソリューションは突然降って湧いてくることはありません。お客様の課題を踏まえた上で自社のサービス/プロダクトをしっかりと把握しておき、その上でお客様にフィットしそうな案件を考えることが大事です。
そして、忘れてはいけないのは案件営業においては社長にだけ営業をすれば良いというものではありません。財務担当はもちろんのこと、案件によっては総務や営業の方ともお話することがあるかもしれません。そのため社内のキーマンの情報を収集するのと同時に全館営業を行います。なお、全館営業の良いところは毎回異なるメンバーに営業することで同一会社に対して毎週営業を異なるメンバーに行えるようになるため1社に対する単純接触回数が増加します。
また、大事なことは案件獲得による収益とその見込み時期を書くことです。案件が成立することによる収益予測ができないということはどのようなビジネスを行おうとしているのか全く把握していないのと同じです。そのため課題把握を行いそれに対するソリューションを考え、そのソリューションがどの程度の収益をもたらすのかもしっかりと書き込みます。また案件営業はのんびりやっていいものではありません。いつまでにその案件を成立させるのかを書き込みます。この日付については最初はイメージがわかないかもしれませんが、案件営業を繰り返すうちに徐々に慣れていき、会社規模(お会いする人の多さ)や案件内容によってどのくらいで成立するかを概ね正確に予測できるようになっていきます。
💡案件は1社あたり10個以上を想定しよう
案件シートを書く際には1社あたり10個以上の案件を必ず書き出してください。特に法人の場合抱えている課題が数個ということはありません。自社株、不動産、人事、財務経理、営業などにおいて様々な課題を抱えていることが常です。
また、表面的に思いつける案件というのは一般的に他社も想定している案件であり、すでにアプローチされている可能性があります。そのため、王道の案件(自社株承継など)に加えて他にその法人にアプローチする手段はないかと必死に考えることによって突破口を開くことができます。
例えば、オンラインメンターを行っている中で、これまで王道提案をしていても全く反応がよくなかった法人に対して、自社のグループ会社で行っている金融とは少し毛色の異なるコンサルティングの案件を紹介したところオーナーに大変関心を持ってもらいコンサルティング契約を締結し、さらにはその流れで王道の提案についても色々と進めることができた、という事例がありました。
💡法人相手の場合には類似/競合/取引先上場企業のIR資料を読み込もう
準備の最後は企業情報の収集です。法人営業においては対象企業の絶対評価ではなく相対評価をすることがポイントです。相対比較をする際にはなるべく多くの情報があったほうが良いため類似/競合/取引先の上場企業のIR資料を活用します。
上場企業のIR資料は市場環境や自社の状況などを詳細にまとめています。そのため、それらの資料を活用して対象企業の状況がどのようなものであるのかを把握/仮説を立てておき、実際に社長などとお会いできた際にはその話題を振ることによって社長と同じ目線で物事をお話しできるようにします。
抑えるべきポイントは、業界の動向、個別企業のコーポレートアクション、過去からの業績推移、過去1年間のニュースなどから対象企業にとって参考となるような情報があるのかどうかを確認します。
案件営業を成功させるには行動計画と慎重さが大事
上記の準備ができたら次は学習期間のための行動を行います。ただし、闇雲に行動をすることは案件営業においては無意味であり、しっかりと計画をもった行動予定を組み立てることが大事です。
💡金曜日の夜には翌週のスケジュールが確定している状態を作り出そう
何よりも大事なことは週が始まる日にはその週に自分が何をするのかということが把握できており、さらにスケジュールを見ることによって自分の営業イメージができることです。
営業において朝起きた時点でその日の行動計画が立てられていないのはもはや結果が出ないことを宣言しているようなものです。特に案件営業は付け焼き刃でできるものは何一つないため、事前の行動計画ができていなければ成約に結びつく可能性は極めて低くなります。
そのため必ず金曜日の夜には翌週のスケジュールを確定させておくことが大事です。また、スケジュールは全てカレンダーに詳細に書き出します。アポイントが取れているところだけをスケジュールに書くのではなく、空いている時間についても「この時間はTier1企業に電話営業をXX件する」「この時間は案件整理のために集中する」「この時間はDMなどをXX件用意する」といったように自分の行うべき行動をしっかりと書き込みます。書き込むことによって自分が行動することにコミットができてついつい忙しくて行動することを忘れていたということを防げます。このちょっとした違いが積み重なって大きな差となります。
💡1社あたりの接触窓口を増やすことによって高頻度でTier1-2のお客様にアプローチできるようにしよう
案件営業を行うためには、対象企業の誰か一人(主に社長)だけに営業をしておけば良いということはありません。大きな案件をやればやるほど対象企業の意思決定には様々な関係者が登場するはずです。もし自分がそれらの関係者と会えていないならば、自分の提案を裏側で議論されているだけになります。
この時にそれぞれの関係者がこちら側の提案をどのような思惑や考えで受け止めているのかがわからなければ、うまくいきそうだった案件が突然ダメになるということがあります。
そのため、それぞれの案件に関連する方々には全て営業を行い、自分の提案に対する考え方やその企業が抱えている課題に対するその担当者の考えなどをしっかり聞き出します。
これらの行動をすることで1社あたりの接触先が増えることとなり、対象企業への営業がマンネリ化することがありません。また1社あたり10個の案件を考えていることによってそれぞれに担当ラインが異なることもあり、その会社のあらゆる部署に結果として顔を出すことになり、その会社の方々に名前などを覚えてもらえるようになるという利点もあります。また各担当者から様々な情報や悩みをヒアリングすることで会社全体の状況を把握できるようにもなります。
案件営業においては大事なのは対象とする企業の全体像を掴んで、物事を進めるときの手触り感を持っておくことが大事です。営業をしているときになんとなく成約に至ることがあります。それはそれで良いのですが、大きな成果を出すためには自分のやっていることが社内でどのように議論されているのかなどを把握できるようにしておき、事前にリスクなどを察知して対応策を打てるようにするくらいにその会社に入り込んでいないといけません。
💡資料を持参する際には、連続性を持たせよう
案件営業で非常に大事なことは提案や面談に連続性を持たせることです。対象企業の社長や担当者はこちらが提案している内容をずっと考えているわけではないため、前回の提案内容などについてすでに忘れている場合もあります。そうなると前回議論した内容を再度議論することになってしまったりすることもあり非効率な営業をすることが増えてしまいます。
そこで、資料を作成する際には、「前回の振り返り」「お客様からの指摘事項や理解いただいたポイント」そして「本日の議題」について書くことで議論がブレることを防ぎます。
非常に大事なのは前回何を話ししてどの論点については解決したのかとしっかりと先方に伝えることが大事です。金融営業はモノのように目に見えるわけではないのでその時々の解釈で議論が発散することが多くなります。それらを防ぐ意味でも資料の準備は非常に大事です。
💡資料についてはお客様に3回断られることを想定してカウンターオファーのための資料も用意しておこう
案件営業は自分たちが立てた仮説通りに進むことは少ないです。そういった中でたった一つの提案などを持って営業することは非効率であり、結果として何回も訪問営業しないといけないリスクも生まれます。
そのため、自分たちの提案書を作成したら「もし自分がお客様だったらどのように断るか?」ということを考えておきます。そして断られた内容に対してどのようなカウンターオファーを出すかも事前に考えておきます。この作業を3回繰り返してお客様が断る理由をなくしていくというシミュレーションを行っておくことが大事です。
案件営業は慎重に慎重を重ねることによって、結果的に成約までのスピードを早めるということを行います。
💡本社や専門家チームと連携する場合には自分が中心となって動き、任せきりにしないでおこう
案件営業で起こりがちなミスは、営業方法や量を本社や専門家チームに任せっきりにしてしまうことです。これまでオンラインメンターをやってきた中でもこれによって案件営業の進捗が遅くなったり、営業量が少ないといった事例を多く見てきました。
本社や専門家の方はもちろん優れた知識やノウハウを持っていることが多いです。しかし、同時に多くの案件を同時並行で進めているケースがほとんどです。
そういった中で目の前のお客様のことについて必死に考えてやり方なども細部にわたって拘って実行できるとは限りません。どうしても一人のお客様に対するリソース配分は少なくなっていきます。
そのためお客様との案件をどのように進めるか、どのような議論にするべきか、何を提案するべきかといったことは担当者である自分が全て考えないといけません。これができないと案件営業を本当にやっているとは言えません。
お客様の担当者として次のアポイントをいつに設定するか、その時はどのような話をする予定なのでどのような資料が必要なのか、そのアポイントでの落とし所と次回の日程のすり合わせ、そして何よりもどのような案件で成約を目指すのか、といったこと全てを自分がリードします。たとえ本社の方が目上であったり、社内で認知度の高い方であっても一歩引くことなく担当者としての責任を持ってリードしなければなりません。
なお、本社の方や専門家と対等に渡り合うために自らの知識向上をすることは絶対的に必要なことです。なんの自己研鑽もしていないのに偉そうにすることは言語道断です。自らのレベルも必死に引き上げる中でそういった専門家の方々と同レベルで話し合えるようにしていくのです。
💡自分の営業振り返りメモをつけよう
案件営業は毎回学びが非常に多いアポイントになります。そして人間の脳みそはそんなに全てを記憶できるとは限りません。また案件営業は同じようなパターンに出会す場面があります。その際に以前と同じミスを繰り返すことは致命的です。
そのため、案件営業を行ったたびに、お客様の反応、自分の提案の結果、結果から考える課題や今後も維持していくよかったところなどをしっかり書き出します(タブレット端末等のCRMにすぐに記録するというのが一番良いです)。そしてその日、もしくはその週の終わりにそのメモを見直しして翌日・翌週の案件営業で活かすことをしっかり見直して次回の面談に望みます。
これを繰り返すことによって営業力が洗練されていき、より少ない回数で案件を成約できるようになっていきます。
案件営業で生じる障害
案件営業は本質的に顧客にとっても会社にとっても自分にとっても良いことが多いです。しかし、世の中は不思議なもので案件営業をすんなりできるわけではないですし、周りからの支援が必ずあるとは限りません。ここでは案件営業の推進に失敗するパターンなどを解説します。
💡準備に時間をかけすぎないようにしよう
案件営業で一番失敗するパターンの一つは準備に時間をかけすぎることです。準備は大事だといっている中で矛盾しているように見えますが、準備することは非常に大事ですが、それ自体はなんのリターンも生み出しません。
また自分が仮説で立てたことが本当にお客様に響く内容なのかどうかもやってみないとわかりません。それなのに準備に時間をかけすぎてなかなか営業ができずに成果が出ないということがあります。
案件営業をやると心に誓ったら1ヶ月で全てをやり切る覚悟が必要です。また1ヶ月以内でやるための計画も立てておかないと結局ズルズルと間延びしてしまいます。準備はやると決めたら一気にやり切ってしまいましょう。
💡周囲からの嘲笑は無視しよう
オンラインメンターをやっていて非常に多い悩みがこの「周囲からの嘲笑」でした。案件営業の準備をしていたり、学習期間中に結果が出るまでは「そんなことやっても意味ない」「まずは目先の結果をしっかり出せよ」「自分たちの方が結果が出ている」など周りは言いたいことを平気で言ってきます。
そしてこの対応に対する唯一の対応策は「無視すること」です。周囲に対して自分は正しいと主張しても意味ないですし、準備段階において結果が出ていないことは事実です。
そのためその悔しさを自分の営業に全部振り向けるのと同時に、もっとも大事なことは「お客様に集中する」と言うことです。周りからなんと言われようと「お客様に評価される」ことの方が何倍も価値があります。
そのため案件営業をスタートして周りから揶揄されたとしても無視して自分が営業するお客様のことだけを考えていきましょう。
なお、注意点としてはその悔しさを負のエネルギーとして周りに発散させることは絶対にいけません。案件営業は自分一人ではできないことが多いため、結果としては周りの協力が必要になります。負のエネルギーを発散すると周りのサポートもなくなってしまい本当に困った時に助けてもらえません。失意泰然 得意淡然と言うのがまさに大事です。
💡理想的なことをやっていると勘違いして時間をかけすぎることはやめよう
案件営業はお客様にお役に立つと思います。それによって起こる弊害は「自分はお客様に役立つことをやっているし、案件営業は楽しい」と思っているものの成果が全く出ていないことです。
ビジネスをしている限りボランティアではないため、お客様のお役に立ちつつもビジネスを成立させなければなりません。そのためには自分の行動や過程に酔うのではなく、しっかりと結果を出さないといけません。
また過程に自惚れていてのんびりやっていると環境変化などによって案件が消滅することも多々あります。そのため、案件営業は迅速に行動しなければなりません。迅速に行動したとしても案件成立までに数ヶ月かかると言うことがあるのです。案件営業は数ヶ月かかるものなのではなく、結果として数ヶ月かかってしまうものなのです。
💡1社に対する接触人数を増やすようにしよう
上記で接触ラインを増やすことを指摘しましたが、オンラインメンターをやっていて思ったことは多くの方が1社に対してアプローチしている方が1名であることが多いです。
もちろんキーマンに営業することで成約できる可能性はありますが、大きな案件になればなるほど関係者は増えます。そしてその関係者が反対して案件が消滅することがあります。そのため、たとえ対象企業や社長との関係が良好であると思っている場合においても、各部署の担当役員や担当者との接触は必ず持つようにしましょう。
継続的な成果を出し続けるために
💡営業で最も素晴らしいのは継続的に成果を出し続けること
案件営業は一つ成約して終わりではありません。また、どんなに素晴らしい案件を成功させたとしても続けていかなければ意味がありません。営業の中には過去の栄光をいつまでもひきづっている人がいます。そういう人はいずれ落ちぶれていきます。
そのため非常に大変ではあるのですが営業では継続的に成果を出していくことが大事です。なお、この継続的に成果を出すと言うことはずっと必死にやっていくと言うことではなく、自分なりの仕組み化をすることでもあります。
営業方法、スケジュール設定・管理、本社/専門家との連携手法、お客様の集客手法などをフレームワークにしたり仕組み化することによって"良い意味で楽をする"と言うことを覚えることが大事です。営業というといつまでも泥臭いことをしないといけないというイメージがあります。もちろん淡々と努力をすることは大事ですが、泥臭さだけではなく自分の実力以上の成果が出せるようになる仕組み化をすることも大事な営業の仕事です。
💡案件営業で成功したところからの紹介を増やそう
案件営業において大事なことは、案件が途切れることなく毎月毎月新しい案件が決まることです。既存顧客との案件を10件想定してクロージングしていくことは大事ですが、それでもどうしても案件は尽きていくものです。
そういった中で新しい案件を成約するには新規顧客からの案件が大切になります。ただし、案件営業で成約を達成するような対象先を簡単に開拓することは難しいです。また通常の新規営業で行う訪問・DM・電話などによる営業は労力がかかる割にはそれほど開拓率はよくありません。
新規営業において投資対効果が良いのはやはり紹介になります。それは案件営業においても一緒です。既存顧客との案件が成約できたらお客様からは感謝されることが多いです。そうなった時にこそ紹介をお願いするべきです。そのためにもお客様の交友関係、所属ネットワーク、卒業大学などをしっかりと調べておき、自分が新規で取引したいお客様との関係性があるのか把握しておきます。もしお客様にその関係があればしっかりと紹介をお願いするべきです。
また、紹介営業をさらに効果的に行うのは特別なセミナーの開催です。社長が会いたい人を聞いて、その方を講師費用を支払ってでもお招きしてクローズドな勉強会を開催して、その場に社長と他の社長などをつれてきてもらうなどがあります。他にも大学と取引がある場合には大学の学長などに講演をしてもらいその場にその大学卒業の社長をお招きするなどということがあります。このような特別なセミナーは講師側も参加者側からも喜ばれることがあるため、効果的な紹介営業につながることが多いです。
💡悩んでいることや課題を共有できる壁打ち相手(メンター)を見つけよう
案件営業は闇雲に猪突猛進で営業をすれば良いというものではありません。そのため頭を使いながら営業をすることが多いです。そのため、単に商品販売営業をやっている時も悩むことが多いです。この悩みを自分一人で解決することも良いですが、やはりなんでも相談できて適切な指針を示してくれるメンターや相談相手がいると精神的にすごく楽になります。
そのため、社内外に自分が相談できる相手を探して悩んでいることを率直に相談していくようにしていくことをお勧めします。
💡「どうやったらこの困難な課題を解決できるか」という前向きな悩み方を常にしよう
案件営業は対象先が大きくなればなるほど案件成約が難しくなります。そのため成約までの時間もかかり焦りが生まれることもあります。そういった時に、妥協した営業をすると結果として大きなチャンスを逃すことになります。
そういう時には、前向きにこの困難を解決したらその先に大きな成果がある、と自分を鼓舞して前向きに取り組むしかありません。もちろん困難な案件を成約するためのプロセスをしっかり考えることは非常に大事ですが、それでも精神論的ではありますが、諦めない姿勢というのは何よりも大事です。
💡達成するべきはOKRだということを忘れないようにしよう
最後になりますが、案件営業は成果を出さなければ何も意味がありません。そしてその成果とは会社のための収益貢献ではなく、自らが立てたOKRになります。会社の目標を達成することは非常に大事ではありますが、それ以上に自分の人生であるため自分が理想とする姿を追求することが何よりも大事であり、それを目指すことで自分の人生が充実します。
たった一度の人生、自分が理想とする姿の営業を是非目指していきましょう。そしてそれは大手企業だからできないということは絶対にありえません。私は国内では最大手の証券会社でもっとも予算の高い部署の一つに所属していましたが、自分が理想とする営業を追求して案件営業でしっかりと目標も達成していきました。案件営業の法則がわかればあとは愚直にやるだけです。非常にシンプルではありますが、このやり抜く努力を行える人こそが大きな成果を達成できる人になるのだとつくづく思います。
まとめ
案件営業とは証券パーソンの理想像だと私は考えます。証券営業はお客様のニーズに合わせてあらゆる提案をすることが可能です。そのため案件営業を実現することで理想として全てのお客様と何らかのビジネスを成立させることが可能となります。
しかし案件営業を論理立てて説明したり、やり方を解説しているものというのは少ないかと感じていました。今回オンラインメンターを通して私自身も案件営業をフレームワーク化して自分が実務をやらなくても成果を出せる仕組みを作ることができたと思います。
証券営業では自分の予算と本当に理想としている姿のギャップに悩んでいる人は多いのではないでしょうか。そういった方々にこのnoteが少しでもお役に立てたら嬉しいなと思います。
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最後までご覧いただきありがとうございます。上記で書いたような案件営業について学ぶ場として営業サークルを運営しています。営業サークルでは、業界の未来予想図に関する議論、日々の営業活動やマネジメントの悩み相談などを行っております。まだご参加いただいていない方は、ぜひご加入をご検討くださいませ。