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つくりやすい野菜のひとつ:スイートコーンはたねまき次第


はじめに

 これから春蒔き種子の購入時期。たねを蒔いて育てて収穫、さらに食べられるよろこびも加わるとなおいい。こどもたちといっしょにつくれればなおのこと。なかでも甘いスイートコーンは万人受けしそう(わたしは例外かも)。採れたての甘さは格別。栽培法を備忘録として残しておく。

きょうはそんな話。

家庭菜園むき

 やさいのなかでもスイートコーンの改良は究極までいってしまった感がある。もうこれ以上やるとすれば耐虫性などだろうか。その名がしめすとおりに糖度は極端なまでに高くなった。甘いやさいや果物などにあまり興味をしめさないほうだが、自分でつくりいちばん食べずにまわりのヒトにふるまってしまう。

 というのも収穫してすぐが食べどきで、時間がたつにつれて期待された糖度は失われていく。もちろんコーン自体が消費するため。

つくりやすい

 そのわりには一般の方がご家庭で育てても甘いものを作れる。採れてすぐに火をとおし(あるいはレンジでチンして)たべられるのは家庭菜園ならでは。コーンを食べる希望人数を数えながら収穫にむかい、家に持ち帰ると、ただちに湯を沸かしてゆでて食べてもらう。こどもたちはし~んと静かに食べていた。おいしいときは口にださずにひたすら食べると認識できた。

しかもつくりやすいとくれば申し分ない。多少コツがあるのでそこさえクリアできればほんとうに甘いものを得られる。比較のため甘くないむかしながらの品種も育てた経験にもとづいて栽培の方法にひとくふうくわえた。

栽培法

 まず種子をまく場所に、1平方メートルあたりたい肥を小さめのバケツ1杯と苦土石灰を150gほど入れて土に混ぜながらたがやす。

1~2週間ののちに元肥として1株につきたい肥2にぎり、化成肥料(もしくは有機配合肥料)を2にぎり、溶リンをひとにぎりくわえ土とよく混ぜる。溶リンは実ものを充実させるのに活躍する肥料。作物のなかでは肥料をほしがるほう。畝幅は以下のマルチの幅(70㎝ぐらい)に合わせる。

畝のかたちを整えマルチビニ-ルを張る。株間(株と株の間隔)は30㎝ほどの2条(2列)に植える。このぐらいの間隔で受粉しやすく実がよく入る。この間隔にすでに穴の開いた市販の「穴あきマルチ」が便利。マルチをひっぱりながらはしに土をかぶせておさえる。場合によっては土留めで留める。

まきどき

 種まきは中間地で4月中旬から5月中旬ごろ。暖地ならばかなりはやくてだいじょうぶ。5月末に雄花がたつぐらいでかまわない。スイートコーンの種子はしわしわで薬剤の色をつけてあるものもある。びんの底などでマルチの穴の土を2~3㎝ほど押さえ、水でよく湿らせる。さらにゆびで1関節ほどのくぼみを3つあけ、1粒ずつ種子をまく。

まき終えたら土をかぶせて、軽く押さえたあとにじょうろの口を上向きにしつつもう一度しずかに水をやる。水で土が流れないように注意する。発芽までは表面が乾燥しないように水やりをする。

たねまきの後

 種をまいて1か月ほどのちにひざの高さに。たびたびおこなう追肥をしやすくするためにマルチのビニールをとりのぞく。1平方メートルあたりひとにぎりの化成肥料(もしくは有機肥料)を追肥し、土を株の根元に寄せる。

このときおもいきり株もとを埋めてかまわない。これにより株の根の張りがとくなりしかも風で倒れにくくできる。スイートコーンの畑の周囲にしっかりした支柱を何本も立ててそのあいだにしっかりしたローブでひざ、腰、むね高さあたりで囲むのといい。さらに風雨による倒伏から守れる。ほぼ10日ごとに少量ずつ追肥と土寄せを行なう。

そののちの生育

 たねまきから2か月のちには雌花の穂がみつかる。株の先端には雄花の花芽が伸びはじめる。

在来種のとうもろこしの雄花


スイートコーンは1株に雌花(複数)と雄花が生じる。雌花にそれぞれ実がなる。

雄花から出る花粉が風で飛び散り、確実に雌花のひげを通じて受粉すると、きれいに実のならんだコーンができる。いかに花粉をまんべんなく散らすかがたいせつ。風がないときはかるくゆすっていく。

ここがポイント

 ところが受粉に必要な雄花には虫がつきやすい。そこから移動して雌花の実に入ったままになることがある。そこで受粉が十分できたタイミング、つまり雌花のひげがしおれたら、はさみで雄花を切りとり処分する。はたけに置いたままにしない。

スイートコーンは慣れないうちはひと株にひとつだけのこし、ほかはとってしまう。そのほうが味が安定する。そのほかはごくわかいうちにとり、「ヤングコーン」として食べてしまう。

収穫のタイミング

 雌花のひげが茶色くなるとそろそろ収獲。あまり収穫が遅れると実がかたくなりがち。朝早くに糖にかわったタイミング(甘いとき)に収穫し、すぐに調理するといい。火を通したあとは甘さは持続する。

株の大きさによってはふたつめも食べられることも。スイートコーンでない従来品種ならば追肥次第で3つめぐらいまでならせてふつうに食べられる。

おわりに

 追肥のタイミングと突風による倒伏(そのたびに土を寄せて立てる)、動物害をいかに防ぐかがポイントに加わる。動物たちはよく心得ていて収穫に最適のタイミングで持っていかれてしまう。動物とのいたちごっこがはじまる。柵でおおいネットをかけ、さらにそのまわりに電気柵などさまざまな対策を講じるが相手もなかなかで最後は力技ですべてを破壊されることも。


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