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着手までに難渋しがちな卒業論文をどこから書きはじめるか


はじめに

 この時期は卒論をまとめるのに余念のない学生さんにかぎらず、学者とよばれる方々も学術論文をせっせといそしんでいらっしゃるのでは。ほぼはじめて卒論を手がける大学4年生のみなさんたちにすこしでもお役に立てることがないか。

きょうはそんな話。

たいていの大学は

 4年生の卒論発表会、さまざま質疑応答を経験するだろう。それにつづく卒業論文の提出。こちらはこちらで提出しめきりに追われてまとめるのに四苦八苦するのがふつうかもしれない。なにしろひとつのテーマについて数十ページもの長さの文章を論理的に破綻させずにまとめ上げるなんてそんな機会はまずない。通常の講義の「A4で3ページまで」のレポートの宿題とはわけがちがう。

すでにテーマをあたえられてから半年なり、ひとによってはそれ以上の期間さまざまそれについて論文の内容について、先駆者の過去の関連論文や本について調べたり、その講座で可能な実験手技や手法でもって測定したり、観察したり、フィールドワークをこころみたり中間報告なりしてきたのでは。

資料の山

 たいていそれらの機会を通じて「なんらかの」資料、ノート、メモ、データ、サンプルなどがたまりにたまっているのでは。ヒトによってはやんごとなき「ご都合」により急なテーマ変更という4年生にとっていちばん聞きたくない言葉をつたえられ、もと来た道をたどらされる学生さんもすくなからずいるだろう。

それには運不運がつきまとい、かならずしもその方のここ数か月の行動とはむすびつかない場合もある。これも時の運として受け入れるしかないし、のこりすくない期間を精進して行動せねば目の前の卒業もあやうくなる。資料の山をみつめ、あるいは心細さに嘆いても仕方ない。まずは行動あるのみ。どこから手をつけるか。

あくまでも練習

 卒論とはいえあくまでもそれは演習のひとつ。大学院への進学を決めているヒトにはのちへの手がかりとしての練習にすぎない。大学によっては発表会の聴衆は身内の教授やそのほかのスタッフ、そしてゼミの院生や技術員の方にすぎない場合すらある。いや学科全体で大がかりにやるという大学もなかにはあるだろう。

とはいえ4年生たちにとり生まれてはじめて。コトに対処するにはさまざま不安がよぎるかも。同級生たちの進捗ぐあいなども気になるかと思うが、ここはまずは着手しやすいところからまとめていきたい。先輩たちが提出した過去の卒論がかならずゼミにはあるはず。それを参考にしつつ、ここではあくまでも理系の卒業論文についてふれるつもり。

まずは手がかりが得やすいというより、自分がやってきたことをただ順番にまとめる「材料」や「方法」からまとめるといい。ここは大多数の理系の卒論生であれば納得できるのでは。

あとのところは

 「方法」がまとまったらしめたもので、あとは「結果」。これもわりと容易だろう。実験や観察をすればかならずその結果が得られるから。実験などで得たデータをまとめて図表にしたのでは。その内容について観察される「事実」を中心に記す。ここはあくまでも客観的な記述が肝要。それに付随する「意見」はのちの考察へ。

ここまでくればペースがすこしずつ出てきたのでは。残るは「考察」や「緒言」、そして「要旨」。これらは着手しやすいところから。「緒言」(イントロダクション)については意外と難渋するかもしれない。この研究に着手するまでの経緯や着手するに至った流れを記す。そこで早いうちから参考文献や関連資料の収集とまとめをはじめておきたいところ。そしてEndNoteなどをつかって文書管理をおこなっていくといい。あとの編集でつけたすのが容易になる。

ここからがたいせつ

 「要旨」までできたら「略号表」などとともにそれらは目次のつぎあたりの論文のはじめあたりへもっていく。論文のおわりのほうには「参考文献」のリストをつける。このあたりまでできたら一度ならべて全体をながめて漏れやなにかがないか点検する。

ひととおり点検できたら担当の先生に下書き(案)としてみてもらう。ヒトによってはこの段階で膨大な訂正が待ちかまえているので、可能なかぎり「早めに」みてもらうといい。この時期の先生方は入試の業務などいつも以上にいそがしくつかまえにくいかもしれない。これもヒトによっては第2稿、…となってしまうかも。国語力はいかなるときにもたいせつ。

おわりに

 さらにのちにテーマをひきつぐ後輩たちのためにべんりなように「目次」、「謝辞」などをゼミの慣例にしたがい適宜つけくわえる。

いけない、いつもより文章が長くなってしまった。まだ触れたいことはあるがこのへんで。


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