「窓をひらく」J-STAGE抄録ピックアップ
1.「統合失調症」浜田芳人
本書のポイントが3点挙げられている。
①診断はICD-10で行い、外因性の精神疾患を鑑別する。外因性の精神疾患とは、脳器質性疾患、症状性精神病、薬物性精神障害である。
②治療目標は当事者が希望を抱き自分の能力を発揮して「自ら選択できる生き方personal recovery」を支援することである。
③薬物療法はSGAs(第二世代向精神薬)を低使用から適用量まで増量、漸減すること。リスペリドンについて自家薬龍中のものとすること。
統合失調症は、発生的に了解ができない。よって、単一の疾患ではなく症状である。遺伝的・生物学的要因と、環境的・心理社会的要因との重畳・相互作用であり、生物学的脆弱性に複合的な環境・ストレス要因が加わり、脳神経に発達・機能障害が生じている。
発生的に了解するとは、心因性あるいは身体的次元に還元できることである。
ここで、人間存在に固有な病である、とする解釈が述べられている。すなわち、生活史上の出来事、状況因を契機として生活発展の意味連続性の中断が生じたと考えることで、病態把握や治療に役立てることができる、とある。
経過は単純経過または波状経過がほとんどであり、再発率が高い。
自殺のリスクについては、幻覚・妄想に支配されたものと、体験症状が改善して内包力が戻った時期に生じる。
診断について、統合失調症は知識と意識は通常保たれる。そのため、臓器質性疾患、内分泌疾患としての精神病を排除する。次にストレス要因やライフイベントは誘因と考え、内因性としての統合失調症を考える方がいい。心因性の精神疾患を考えるのは最後でよい。
ここからは個人的に、このまとめによって得たことでありますが、過去にベンゾジアゼピンに類する向精神薬が、離脱作用の酷いことによって、回復の見込みは減少するのではないかと恐れたこと、その心配のある程度の改善があります。私には、子どものときの偏屈や鈍さがありますが、遺伝的要因としては、外交性がある方が治癒はうまくいくらしいです。素人判断では「意地悪遺伝子」を父母から継承しています。
「臓器気質性疾患」に関しては、腸が弱かったこと、母もそうですが、腸が悪いと、自分がお腹が痛いと、世界がお腹が痛いと感じがちな子どもでした。従って、遺伝的生物学的要因としては、脆弱な部類といえます。心理社会的要因としては、発症時に自宅のトイレが、家族の摂食障害により衛生的ではなかったこと、そこから「安全欲求」としてアパート暮らしを選択したこと、その選択について、家族の誰にも相談できなかった家庭環境であった、と私が主観として判断したこと、従って、主観の偏りがみられます。
また、アパート暮らし後の経過としては、「安全欲求」から「所属の欲求」に移る際に、多数の所属先を求めたこと、などがあります。
お読みくださりありがとうございました。
出典
月刊地域医学Vol.35 No5
著者 園田病院院長 浜田芳人氏