住まいの「快適性」と「健康」との深い関係
光熱費削減や、ヒートショック・熱中症予防の観点から、寒さ・暑さの温度差を感じない快適に暮らせる高断熱住宅の必要性がうたわれています。
書籍『人生を変える住まいと健康のリノベーション』では、住宅の断熱性能を向上させると健康にどうつながっていくのか、「熱環境リフォーム」の提案者 甲斐徹郎さんと、「熱環境×健康長寿」の研究者 星旦二さんが解説しています。
3章は、予防医学のエキスパートである星先生による、調査研究データに基づいた「住まいと健康長寿との知られざる関係」のお話です。
3章 住まいの「快適性」と「健康」との深い関係
前の章で、寒さを解消すれば住まいの快適性が向上し、健康にも寄与することをお伝えしてきましたが、そのための熱環境リフォームにはそれなりに大きな費用がかかります。必要性を理解していたとしても、すぐに実践する人は少ないかもしれません。
しかし、熱環境リフォームはセカンドステージ世代にとって今すぐにでも実践すべき最優先事項。なぜなら、住環境と健康の関係について研究をされている星先生によれば「健康の基本は身体を冷やさないこと」で、つまりは「健康長寿」の基本だからです。
3章では、暖かい家に住むことで改善される病気のひとつである糖尿病の話や、温度較差の大きい住宅が身体に大きなダメージをもたらすこと、また、アレルギーの話にも触れていきます。
さらに、星先生は住環境整備で疾病の「ゼロ次予防」について解説します。
予防医学の分野では、疾病予防を一次から三次までの3段階で考えるのが一般的で、生活習慣の見直しなどで病気の発生そのものを防ぐことを一次予防、早期発見・早期治療を二次予防、再発防止を三次予防といいます。先生はこれらに加え、屋内外の住環境整備などにより疾病を本質的に予防する「ゼロ次予防」を提唱されています。
室温による健康障害について研究が進んでいる英国の例とくらべ、日本が脳梗塞などの脳血管疾病に関する対策は、減塩などの食生活改善や運動努力といった個人レベルの一次予防と、健康診断による早期発見や血圧測定という二次予防に限られています。しかし根本的な対策として、屋内の温度較差を解消して家を暖かくするための高断熱住宅の普及促進という流れが非常に重要です。
3章のポイント
免疫力を高める腸内細菌の重要性が明らかになっている。腸内細菌の働きを活性化させるために重要なのが身体を冷やさないことであり、そのためには家全体を暖かくすることが極めて有効である
家の中での温度較差は、急激な血圧変動を起こし生死に関わる。交通事故死者数の4倍以上の人が風呂やトイレでの急激な温度変化が原因で亡くなっている
日本のこれまでの疾病予防対策は、生活習慣を見直すことと健康診断による早期発見と早期治療だが、それに加え住まいの熱環境の改善こそがより本質的な疾病のゼロ次予防につながる
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