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隈研吾の建築から見る、自然素材「竹」の魅力

現代の建築家の中でも自然素材に対する思いがより一層強い隈研吾。自然素材である竹を用いた建築事例がたくさんあります。隈氏は竹を矛盾に満ちた材料と評していますが、それだからこそ魅力的な空間をつくれるといいます。そんな隈氏が手がけた竹を用いた建築を紹介します。
(「和風住宅vol.21」(2016年7月発行)掲載)

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銀山温泉・藤屋(2006年山形県尾花沢市)
竹を使った繊細なスクリーンによって囲まれた空間。
(写真/Daici Ano)

竹は自然素材でありながら、幾何学的であり、「幾何学」対「自然」という相容れない両面をあわせもっています。また、乾燥すると簡単に割れてしまうため、建築を支える柱や梁にはむいていないことから、古来、竹は日本では室内装飾として、床柱に使われたり、壁面や窓を彩ってきました。

それは建築を支える材料としての使われ方ではなく、竹林に見るしなやかで繊細でかつ力強い竹の美しさとは違うものと感じた隈氏は、竹を装飾ではなく、建築を支える構造材として使うことに取り組みました。

直径15センチ前後の竹の節を取り除き、中にL字断面の鉄骨を2本入れてコンクリートを流し込んだ、いわゆるCFB(concrete filled bamboo)を柱に使った建築です。さらにグァドゥアという中南米産の割れない竹を、そのまま構造材として用いることにも挑戦しています。

竹は成長が非常に速いので、空気中の二酸化炭素を自らの体内に固定する力が強いそう。つまり建築材料として使えば炭素を固定化できるのだから、二酸化炭素を削減し、地球温暖化の抑制に寄与できることになります。装飾だけではなく、本格的に竹造建築が可能になれば、竹は地球環境に役立つ素材として認知され、日本の竹文化も新たなステップを踏み出すのでは、そんな期待を抱かせます。

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Great(Bamboo)Wall(2002年中国・北京)
中国、万里の長城に近い丘陵地に設計。
竹林で感じられる竹のしなやかな力強さを
建築の構造として表現するためにCFBを用いています。
(写真/Satoshi Asakawa)

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Cha Cha Moon(2009年イギリス・ロンドン)
ロンドンのnoodle bar。竹を用いた洞穴のよう。
直径60㎜の竹を120㎜ピッチで配置し、両端に鏡を設けることで、
竹を水平方向に成長するかのように見せています。
(写真/隈研吾建築都市設計事務所)

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伝統的な日本の格子の技法である「簀虫籠(すむしこ)」が
美しい銀山温泉・藤屋。
幅4㎜ほどに割いた竹を、隙間を開けながら簀子状に
並べて縦の桟木でおさえたもの。
(写真/Daici Ano)

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寿月堂(2008年フランス・パリ)。竹林のような空間。
中央には無垢で節のないヒノキの板を置き、
そこで日本の「自然」を味わうことができます。
(写真/andre' morin)

隈研吾建築都市設計事務所
https://kkaa.co.jp/

隈研吾設計の「竹」の建築事例が掲載された「和風住宅vol.21」(2016年7月発行)の特集は「その素晴らしさを次世代にも」。建築家や地域の設計事務所、工務店による和風住宅の住宅事例をたくさん掲載しています。ぜひご覧ください!

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