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走れ、モンスターたちよ、悲惨の明日に向かって

排気口新作公演『呼ぶにはとおく振り向くにはちかい』の観劇感想。 脚本・演出の菊地穂波氏が台本を近々に発売する予定であるそうなので、あらすじはそちらを見ていただくとして、こちらでは考察を行いたい。考察を論じる関係で少なからずネタバレが含まれるので注意されたい。 この演劇を見て僕が抱いた感想は、「倫理的な劇ですばらしい」というものだった。これは菊地氏に私が真っ先に直接伝えた感想である。 ここで僕が「倫理的」と評している理由は、第二次世界大戦の悲劇と平和の尊さやホモセクシュア

    • 悲劇の所在

      (注:この投稿は、劇団STRAYDOG主催「幸せになるために」の感想の覚書です。ネタバレを含みます。) のんべんくらりとしているうちに下北沢の公演分のチケットを逃し、辛うじて入手できた大阪公演のチケットを握りしめて夜行バスに飛び乗り、8月13日土曜の昼の部の公演を観劇してきた。年に多くても5回ほどしか演劇を見ない者としては、演劇をどう体験しどう評べきかについて毎度のことながら懊悩するのだが、この舞台は僕を一層深い沈潜に誘うものだった。備忘録なので粗削りな表現のままであること

      • 排気口「午睡荘園」を観て

        観劇直後に求められる感想メッセージの記入、いわゆる「アンケート」が苦手だ。好きな展開や心に刺さった台詞も全体を踏まえなければ正確にその魅力を説明することができない。腑に落ちなかった点や自分の感性に合わなかった点はなおさらだ。よしんば、客電が灯ったあとの数分間で、先刻見たばかりの劇の内容を克明かつ深々と反芻できたとしても、脚本・演出家、役者の皆様の一瞥に耐える文章を的確で簡潔な表現を捻り出すことは到底できない。そうして結局、ややもすれば長文になる予感だけを敏感に感じとりながら、