加藤介春未刊詩稿『夕焼』「悪魔創世」(一)『悪魔創世』の始めに
神さま
空のまんなかにさんらんとしてかがやく神さま
私が今高く高くさしあげようとする
まつくろい人間の手に
そのしづかなる動かざる変らざる
空のまんなかの光りを握らせて被下いませ
私は世界の未来を考へます
おそろしい人間の過去に仍つて
おそろしい未来のそのまた未来の
空々たる人間の世界を考へます
そうして神さま
そのおそろしさに堪へられずなりますと
私はまつくろいけだもののような手を
しづかなる空のまんなかの光へさしあげます
そのまつくろいけがれたる手は
盛んなる人間の意思で