Natural Leadership研修の振り返り。
どうして、馬と研修を?
元々、私が小日向素子さんの取り組みを発見したのは、このPodcast。「哲学」のカテゴリーに入っていて、面白そうで聴き始めた。
ニッチな研修プログラムにもかかわらず、俯瞰した内容の説明、かつボリュームも多くて、これだけでも結構いい勉強でした。
ただ、それと同時に「これ、体験してみたい」という気持ちが強くなった。
そこから、部下に相談して、「これ、行くとしたら、どう思う?」と聴いたら、「ちょっと私も調べてみます」と回答が来て、彼はグロービスの卒業生だったこともあり、周辺にインタビューしてもらったりして、感触もよく、「参加してみようか」と。
振り返りー社会人としての成長速度
我々が過ごしてきた社会人生活は、徐々に、かつ不可逆的に、複雑化してきた。
社会人になりたての頃は、毎日がシンプル、かつ時間の流れもゆっくりで、時間をかけて、一つ一つスキルを身につけていくことがあたり前だった。E-mailのドラフトを書いて、上司が赤ペンを入れてくれて、反復運動で覚えていく時代。
RPGで例えるなら、まずスライムを倒して、その後ゴブリンを倒して。新しい武器と防具を買い、呪文を覚え、順番にダンジョンを攻略していく、そんな感じ。小さな報酬と、ペナルティの繰り返し。
これが、徐々にスピードが上がり、ハードルも上がった。
英語は最初から書けてあたり前、上司ですら初めての経験に対してOJTという言葉で誤魔化す。結果として、配属ガチャという言葉が生まれるほど。職場の関係性も、Respectがない状態も散見されるようになった。
RPGに例えると、最初から複数のモンスターを相手にしたり、前作の操作系をチュートリアルなく覚えなくてはいけなかったり。最初に降り立つ場所で、結果が大きく変わったり。本来であれば、リーダーシップのあり方も、あるいは、上司部下の関係、キャリアの考え方など、プロセスがUpdateされねばならなかったのに、引き続き旧態然としたやり方で組織を運営してきた感じ(人事評価の仕組みも、コンピテンシーの考え方も)。
研修の中で、素子さんから「考えてることは全部伝わるよ」「感覚を感じて」という言葉をかけてもらう度に、そんな問題意識を再認識した。
これを素子さんは「Unlearning」と、言った。
そう、我々は、長年かけて学んできたやり方を忘れることを学び始めた。言葉よりも、感覚を優先することを。
それは、新しいことを一から学ぶよりも、もっと大変なことだ。
研修に馬を選んだ(馬ありきの研修プログラムではない)
この視点は、本当に面白い。
私はメーカーで日々新規事業の仕事をしているので、通常のパターンとして、既存の製品を使った新規事業を考えることもある(この場合、馬が好きだから、馬を起点に研修プログラムを考える、という話)。
ただ、素子さんは全く異なり、研修プログラムを考える中での最適解として、馬を選んだ。別に、茶道でも、なんでもよかったけど、馬が一番向いていると思った、と。素子さんが、馬を研修のパートナーとして選んだ理由として、こんなことをTakramの渡辺さんのPodastで話していた。
馬の良さは「人に懐かない」こと。
つまり餌を与えてくれる主人という権威の関係性はなく、その場その場の雰囲気、感覚で対応が異なる。
また、馬は「大きい」。それだけで畏怖の念を持ってしまうが、自分の意図が通じた際に、フィードバックも大きい。
僕らにも、同じような文脈でこんなことを教えてくれた。
「馬には、敵に遭遇した際、逃げるというOptionしかない。そのため、「逃げる」という行動に際しても、リーダーが入れ替わる。もっとも優れたリーダーが常に指揮を取るのではなく、地図に詳しい馬がいれば、その個体が、水飲み場を知っている馬がいれば、その個体が臨機応変にリーダーの役割を務める。ティール組織のように。
また、COASの馬は調教をしていない。馬は人間との関係性を育んでから、かなりの時間が経過しているので、調教の方法もかなり明確に仕組みになっている。調教すれば、通常の権威を持った関係性の中で人の言うことを聞いてくれる(軍馬や、競走馬のように)。それは、いわゆる感覚に基づくリーダーシップを体感するには、ちょっと邪魔になる。
帰ってから私の主観で、ビジネス的に感じたこと。それは、馬の「即時フィードバック」性。その場でフィードバックが返ってくる。この歳まで、さまざまな研修を受けてきたが、受けた瞬間にフィードバックがある(この場合、大きな挫折と、大きな報酬の両方が即時に発生する)、またこのフィードバックが体感を持って記憶に刻まれること。
お世辞ではなく、私はおそらくこの研修を、たった2日の研修を、いつまでも覚えていると思う。
相手と向き合うことに困難を覚える際には、必ず思い出す。
研修での学び
あまり具体的に書いても、と言うのもあるので、私の備忘録程度で。
①これは私の主観です、と自分のステレオタイプ、仮説がある場合にはコメントするようになった。
②自分の「強い」リーダーシップの発揮の強弱、程度をつけれる努力をしたいと思った。
③相手の話を聞く際に、「この後の受け答え」を準備するのではなく、「相手の雰囲気、身体的変化」などの「非言語表現」を観察する努力をする。
④同じお題に対しても、人の考えることは千差万別。そもそも、これが揃うことなどないとして、全員がそれでも一つになったと感じることができるビジョンを作れるようになりたい。
こんなところかな。
とてもいい学びだった。チームとしても、相互理解、相互依存性を見直すいい機会だったと感じた。
ここからおまけ。
食事のメニューもよく考えられていて、感動しました。