【ブランド紹介】 Jean Paul Gaultier ①基礎知識
こんにちは、自己満です。
記念すべき第一弾は私の好きなブランドの一つ「Jean Paul Gaultier」について
絶対に押さえておきたい基礎知識を。
Jean Paul Gaultierとは?
ブランドの始まりは1976年。ジャンポール・ゴルチエが自身の名を冠した「Jean Paul Gaultier」でプレタポルテデビュー。(headline images by Kristy Sparow)
2015年にはプレタポルテを撤退し、現在はフレグランスとオートクチュールラインのみ継続しています。
ファッション界の異端児:ジャンポール・ゴルチエ
1952年4月24日、ジャンポール・ゴルチエは会計士の両親の下、フランス・パリ郊外に生まれる。ファッションの専門教育を受けず、仕立て屋兼美容師の祖母から洋裁を教わり、数々のデザイナーやスタイリストにデザイン画を送り続けた結果、1970年(当時18歳)ピエール・カルダンの目に留まりメゾン入り。その後ジャック・エステル、ジャン パトゥで働き、クチュールの経験を積みました。
以後、ピエール・カルダンの店舗に戻り、独立してフリーランスに。
1976年には「Jean Paul Gaultier」の名でコレクションを発表し、1978年にオンワード樫山と提携し、本格的な活動を展開。2020年には「Jean Paul Gaultier」を引退し、映画や舞台の衣装を手がけるなどデザイナーとして別の活動を行なっています。
フランスの「ファッションオスカーアワード」受賞(1987年)や、フランスの芸術・文化分野のプレス関係者が選ぶ「クリスタルグローブアワード」最優秀ファッションデザイナー賞受賞(2006年と2011年)など、フランスで絶大な人気を誇り続け、ファッション界のオスカー賞と言われるアメリカファッション協議会の「CFDAファッションアワード」国際賞も受賞(2000年)するなど、まさに世界に名をはせています。
デビュー当時はなかなか理解されなかった彼の感性ですが、半世紀にわたってファッション界に新たな創造を与え続け、今でも全世界を魅了していることは間違いないです。彼こそが真の革新者。
「Jean Paul Gaultier」はなぜすごい?
1980年代を代表するブランドとなった「Jean Paul Gaultier」。
ファッションに関して疎い父が私の服を手に取り「あ〜ゴルチエね」と放った瞬間に、「Jean Paul Gaultier」の存在・影響がいかに大きかったかを実感しました。
このブランドの特徴といえば
性への探究心、型破りなファッション。
ファッションを通じてジェンダーや社会問題に対する想いを表現するゴルチエ。
彼の表現は多くの反感を買うこともありましたが、後にはそれをもゴルチエらしさとして定着させることに成功しています。これは安易にできることではないです。
そんな彼の斬新なアイデアをいくつか見てみましょう。
胸まで隠れるハイウエストのパンツ
メンズラインでスカートルックの提案
ヌード
代表作
上記の通り、型破りなファッションを提案し続けてきた「Jean Paul Gaultier」の代表作をご紹介します。
コーンブラ
1984年に初めて発表した”コーンブラ”。後にこれをリメイクし90年にはマドンナの衣装として再提案しています。一度見たら忘れないほどのインパクト、ゴルチエの性的探究心を感じる代表作の一つです。
タトゥースキン
まるで全身にタトゥーを入れたかのような "タトゥースキン”。
近年様々なブランドが取り入れているこのディティールですが、生みの親はゴルチエ。
ブレトンストライプ
積極的にデザインに取り入れられているブレトンストライプ。
ゴルチエ自身もよく着用していて、とても思い出深いデザインのよう。
「フィナンシャルタイムズ」のインタビューでもこう語っています。
この他にも玉虫バッグやサングラスなど数々の名作を残しています。
自己満がゴルチエを愛す理由
ゴルチエの素晴らしさが十分に伝わったところで、
ここからはネーム通り、完全に自己満の記事。笑
私が愛す理由を語ろうと思います。
リスペクトすべき発想力
なんと言っても一番はこれ。デザイン性はもちろん、スタイリング力もずば抜けていて、自己満の感性にドンピシャに訴えかけてくる、、、
ファッションの中でも様々なジャンルや感性がある中、ここまで共感できるものがあることは奇跡と言っても過言ではないです。
最近のコレクションで気に入ったルックを2つ紹介させてください。
11SSはこの手のルックが多かったのですが、その中でもこちらは特に心が動いたもの。まずこの素晴らしい異素材ミックス。レースやシフォンで透け感があったり、縄で縛りあげている様子は、センシティブと表現するには十分ですが、シルバーのアクセサリーやブーツで見事に種類の違うパンチを効かせ、セクシーさを超越するものを感じます。
こちらは化け物級のスタイリング力を発揮しているルック。レオパード、プリントT、水玉をこんなにも気持ちよくまとめ上げられるなんて、いやでも才能を実感します。それにしても、いかにもYUNG BLUDが好みそうなルックだ。笑
日本との密接なつながり
上でも少し触れましたが、1978年に「Jean Paul Gaultier」はオンワード樫山とパートナーシップを結んでいます。デビュー当時20代前半だったゴルチエは特段お金持ちというわけでもなく、3年目にはすでに資金が底をついていました。そこに現れた救世主がオンワード樫山というわけ。
そこからは展開が早く、1980年代に入る頃にはパリコレのトップデザイナーに。
やはり母国とのつながりが深いと嬉しいもので、プレタポルテやコレクションにも日本のディティールを取り入れてくれるもんだから、好きが止まらない、、、
ゴルチエが「Jean Paul Gaultier」を引退してからの新プロジェクトでも「sacai」のデザイナー阿部千登勢にクリエイティブを任せています。引退で落胆していた自己満ですが、このニュースを心の底から喜びました。
デザイナーの想い
プロフィールで少し触れていますが、現在服飾学生の私。デザイナー ゴルチエの想いに共感する部分が多いです。
「デザインは毎日目に入るものからインスピレーションを受ける。」「本当に大事なものはスマホのカメラから見ないで、自分の目で見ることが重要。」などがその一例です。
中でも強く共感したのが「ファッションは時代に沿って前向きに作らなければならない。」というもの。
情報過多に疲れることも多いだろう現代。現に私もファッションに関して考えて行き詰まることもあります。好きなものに対してさえもマイナスの感情を抱いてしまう自分への嫌悪感や苦痛。そんな感情や感覚も受け入れ愛することが、今までに自分に存在しなかった視野へとつながるのではないかと考えています。
これが解釈違いで、常にポジティブでなければいけないということなら、異なった考えということになりますが。笑
これに関してはいつかゴルチエ本人に直接聞きたいものですね。
いくら共感する部分があるとはいえど、違う生き方、経験をしてきた私が創造するものは全く違うものになるでしょう。だからファッションは楽しい。
最後に
ランウェイを愛すゴルチエですが、プレタポルテも手を抜かず、あくまでもリアルクローズとして、クラシックに基づいて表現し続けました。アバンギャルドと表現されがちですが、ゴルチエ自身はその表現を否定しており、あくまでもベーシックだと述べています。個人的には、一部の人々からすると前衛的や奇抜に感じるのは否めないため、間違った表現ではないと思いますが、、、
アイテムひとつひとつに存在感があるのはもちろん、スタイリング次第で大幅に印象が変わる面白さは好奇心を刺激されます。既存のセクシャリティとは違ったデザインや歴史的・民族的衣装、あらゆる要素をまとめあげる才能は他でもない、ゴルチエにしかできません。そんな彼が去った後、これからどのように表現していくのか、これからの「Jean Paul Gaultier」にも期待したいです。