28歳で初彼女ができた話 ③言葉より先に、溢れ出た想い

2019年になったはがりのある夜、ミハルの仕事が早く終わったためドライブに出かけた。運転はミハルだ。走ってみたいコースがあるから練習がてら付き合ってほしいという。僕はいつものように、二つ返事で誘いに乗った。

すると帰り道、ミハルはこんな相談を持ちかけてきた。
「私に好意を持ってる人がいる。この前一緒に食事に出かけたけど…楽しく感じない。タクミさんと一緒にいる時間が楽しすぎて」

タクミとは僕のことだ。この相談はつまり、ミハルの中で僕が一番であることを示していた。ミハルはちょっとギャルっぽいところがあるが、周りの目を引くような可愛い容姿だった。友達として仲良くしていた間も、もう彼氏がいるのかなと思ったほどだ。

僕も正直な気持ちが出た。
「ミハルさんを…そんな奴に取られなくないな。俺もこうして一緒にいる時間が何より大切になってるし…取られたくない」
まだ他人行儀が残って、お互いさん付けだ。でも意外と違和感もなく、仲良くなってもそう呼んでいた。ミハルの目には涙が溢れ、運転するミハルの横から僕はティッシュを差し出していた。

その日はミハルの運転だったので、家まで送ってくれた。いつもと違う、お互いドキドキした別れ際。ミハルが「じゃあね」と言った後、僕にハグをしてきた。高鳴る心臓。次の瞬間、僕はミハルの唇にキスをしていた。

人生初のキスだ。「好き」という言葉が出ないまま、僕は初めて一線を越えた。

その日の夜は心臓がバクバクで、次の日が仕事だというのにほとんど眠れなかった。

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