流れる季節の真ん中で
あの日もこうしてバスに乗っていた。
季節の変わり目はどうも、寂しさというか、懐かしさというか、なんだか胸がいっぱいになる。
ふと、日の長さを感じる。
夕焼けが日に日に大きくなってくる。
------
子供のころは、何にでもなれた気がする。
お医者さんになりたかった。政治家にもなりたかった。音楽家にもなりたかった。
誰かの役に立つ人間、求められる存在になりたかったのだ。
桜のつぼみが膨らんでくる。
今、この季節の真ん中で。
私は何になりたいと思うのだろう。
今この瞬間も、子どもの頃と同じことを考えているんだろうな。
私は新たな世界の入口を探さなければいけない。
今の世界からは、いつか居なくなってしまうのかな。
もう漠然とした「いつか」ではなく、きっと来る未来。
もう少し、ここに居させてね