「技術進歩関数における不安定な変数」

日経の「スイッチ2050 わたしを待つミライ」を読む。

AIが人間の労働の大半を代替し、人間はその分好きなことをして暮らせるようになったり、再生医療やゲノム編集技術により、老いや病いの苦しみからも解放される世界。

30年後の未来予測であり、SFのような世界であるが、子供の頃に読んだ未来予測ストーリーと比べて、やけにリアリティを感じるのは何故だろう?

それは、現在でもその技術の幾つかは半ば実用段階に進んでおり、30年後の未来予測と言っても、それは単純に現在進められている技術開発の延長線上の話に過ぎないと思わせるものだからではないか。

そうであるならば、来るべき未来の社会にフィットできるよう、未来から逆算する形で現在の自分の身の振り方を考えておくことは大事ではないかと思った。

そして、私はこの未来予測の記事を読んでとても胸踊る感じがした。

それは、私が望む世界とは、個人が組織の価値観に縛られずに、今ほど経済的な不安を感じることなしに、思う存分やりたい事を追求できる世界であるからだ。

個の自由と秩序の安定の両者が担保された世界。

技術革新によってこの実現可能性が一気に高まるならばとても喜ばしいことである。

しかし、この未来予測は、あくまでも技術的側面だけを考えたものであるということには留意したい。

つまり、この未来予測は、世界情勢や地球環境が少なくとも現在レベルの持続可能性を保っているという前提のもとになされているということだ。

この30年間でどれだけ技術が進歩していくか。その進歩度合いを関数化したときに、大事な変数として、政治、文化、宗教、倫理など、秩序にも争いの種ともなる項目の影響度の大きさは考えておく必要がある。

技術的側面だけで考えると、この進歩関数は正比例あるいは指数関数的に増大していくことに疑いはないが、不安定さをもたらす「人間的要素」としてのこれら変数によって、もしかしたら、ジグザグな曲線だったり、突如0に急降下する描き方をするかもしれない。

だからこそ、進歩関数の不安定的変数としての「人間的要素」を安定的変数に整えるために、「感性」、「理性」、「知性」といった「人間性の3要素」を高めることを日常的に実践していく必要があると思う。

AIやフィンテックなどの革新的技術に振り回され、我を見失わないよう、この「人間性の3要素」を重視するあり方が必要だと思う。

これから求められる人材の筆頭として「AI技術者」が挙げられる。

コンピューターに疎く専門的技術を持たない私は、現代の労働市場においては価値をもたない存在だと思うが、逆にこのような世の中だからこそ、大事な役割を担う余地があるとも思っている。

それは、時間価値創造という理論によって、「感性」「理性」「知性」という「人間性の3要素」の高め方を追求し、その方法を提案していくこと。

技術革新が進めば、それだけ等閑になっていく分野があると思うが、その中には、普遍的価値を持つものもあるのではないか。

そういった分野が廃れないように、そして技術進歩関数の中における不安定的変数を安定化できるよう、私ができる事を追求していきたい。

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