「微分の効果」
多くの人にとって、仕事とストレスは密接な関係にあり、仕事上のストレスから如何にして自分の心身の健康を保つかは、文字通り死活問題かと思いますが、私なりに効果を実感した考え方があります。
それは、「ストレス度は微分係数で捉える」ということです。
私はこれまで、ストレス度というのは、想定される様々な要因を含めて算出されるものだと思っていました。
例えて言うなら、
y=ax-bという関数があるとしたら、ストレス要因というのはb の大きさであり、yの値がマイナスになればなるほどストレス度は高いというイメージだったのです。
ここでいう、bという項目は人間関係だったり、仕事量や、仕事内容といった環境的要因と考え、aは自分自身のあり方、xは努力量と考えてみます。
私はこれまで職場に行く時に、「今日はあれもこれもしなければならない、大変な1日になる」と考えたり、仕事中にも今やっている仕事をしながらも、その後にやるべき仕事や想定されるトラブルのことを考えて余計に焦ってしまうなど、bの大きさのみに注意を向けすぎて勝手にストレス度を高めていたのです。
ですが、仕事をしている真っ最中の自分のあり方のみに注意を向けるように意識を切り替えると、これはまさに微分の考えになるのですが、問題になるのは、a(自分自身のあり方)の値のみになってきます。
急ぎの仕事を処理中に他の仕事が舞い込んできても、
「大事なことは一つずつ適確に丁寧に処理することだ」
とあり方を高めることに意識を向けることができるので、
我を見失わずにパニックを防げるようになります。
そうなると、「これまではパニックになっていたのに、そうならずに処理できた」という自信になり、安心する領域を増やすことができます。
aの値、つまりあり方というのは、その瞬間で何を思うかで自在に変化するものです。
y=ax-bという関数において、bの値の大きさに引っ張られると不安と混乱に陥りやすくなりますが、微分の考えに切り替えると、すべてはaの値をどう設定しているかが問題になってくるわけです。
公務員時代、次から次へと書類を裁かねばならない多忙な職場にいましたが、この事を意識したお陰で、不思議と脳の負担が軽くなり、スムーズに処理することができ、嬉しい驚きを感じたことがあります。
よく、「「今ここ」を意識することが大事」だと言われますが、「今ここ」とは、「微分係数を意識すること」ではないかと思います。
この考えは、私を窮地から救ってくれたものですが、他の誰かのお役に立てれば嬉しいです。