薪ストーブは薪が命
田渕義雄さんに憧れ、薪ストーブを使いだして、三十年ほどになる。
丈夫で長持ちが一番と、ドイツ製の薪ストーブにした。
鋳物製の舶来ストーブは、二階建て50坪の家をほんわりと暖めた。
二十年ほど使って、若きギタービルダーの新築祝いに引っ越した。
いまでは、若きギタービルダーの猫たちを、ほんわりと暖めている。
薪ストーブに慣れてしまうと、灯油ストーブでは寒いし寂しいので、小樽のストーブ屋さんの、小さな鉄板ストーブを置いている。
薪ストーブは、灯油と違い、電話一本で運んでくれないし、ポリタン持って買いに行けない。
三十年前は、今のように薪の駅とか、薪を売るところなど皆無で、自分で調達しないといけなかった。
何とか見つけた薪炭屋さん。おじいさん一人で、伐採から巻き割り、束にするまでを、商売としていた。100束で約一トン、5万円だった。
薪が欲しいのと、フライフィッシングの休憩所も欲しいので、退職を機に、遠野に住宅を借りた。田渕義雄さんの寒山の家とは大違いの、ボロボロな古い家だが、広大な森林付きだから、薪には困らない。薪割は気持ちいい。疲れるが、スパンと割れたときは最高だ。
チェンソーを使って、木を倒すのはもっと快感だ。間伐にもなり一石二鳥。
こうして、薪ストーブ暮らしは、いまだに続いている。
「夜に火をいじると寝小便するぞ」と言われたが、やっぱりやめられない。
多くのキャンパーは冬寂しいだろうが、薪ストーブがあれば、冬こそ毎日キャンプみたいなもんだ。