ゼレンスキー(ウクライナ大統領)という男の背景を探る!

ウォロディミル・ゼレンスキー

G7で急遽日本にやってきたウクライナの大統領ゼレンスキー。
ウクライナ東部でロシアと戦うこの男は、そもそもどういった経緯で大統領となったのか。
メディアで知られているのは、元俳優であり、ドラマの中で大統領を演じたことでも有名な話だと思います。

しかし、2014年のマイダン革命以後の政治的な話も、彼の生い立ちも知らないことは多いでしょうか。

ここでは、Wikipediaを中心に関連する記事も取り上げて、彼の政治的な動きを考察していきます。


生い立ち

1978/1/25生まれ。
ソビエト連邦・ウクライナ社会主義共和国(現在のウクライナ)東部の主要都市クルィヴィーイ・リーフに生まれる。

父のオレクサンドル・ゼレンスキーはドネツク・ソヴィエト貿易研究所(ウクライナ語版)(現・ドネツク国立経済貿易大学)のクルイヴィーイ・リーフ校に勤務する研究者。
母はエンジニア。
祖父はナチスドイツと戦い、親戚はホロコーストで亡くなった。
旧ソ連時代からの伝統を持つロシアのバラエティー番組『KVN(ロシア語版)』にウクライナ代表のアマチュア芸人として出演。
ウクライナ東部出身のために母語はロシア語。

生まれたのは1978年ですから、まだソ連の支配下にあるウクライナです。
そのウクライナ東部で生まれ、父親も東部で働いている家庭で育っています。
祖父はナチスと戦ったようで、親戚はナチスのホロコーストで亡くなったとあります。
ウクライナでそういった家庭は多いのではないでしょうか。
社会に出ると芸人として活躍し、ロシアでの活動もあったということから、ロシアとの関係ではむしろ良好だといえます。


コメディアン

1997年、番組内でコメディ劇団「第95街区(ウクライナ語版)」を結成。
2003年、「第95街区」をコメディ映画・番組・舞台の制作会社へと再編し、より幅広い活躍をするようになった。
2006年、イギリスのダンス番組『ストリクトリー・カム・ダンシング(英語版)』のウクライナ版で本格的なブレイク。
2008年にはロシアのコメディ映画『Любовь в большом городе(ウクライナ語版)』に出演。
2012年、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが出演したことで話題になったウクライナ映画『ルジェフスキー対ナポレオン(ウクライナ語版)』でナポレオン役を演じている。
2015年、ウクライナのテレビ局「1+1」でゼレンスキーが一市民がふとしたことで一国の大統領になる主演俳優を演じた政治風刺ドラマ『国民の僕』(こくみんのしもべ)が放映された。
2016年、映画版として『国民の僕 第2部(ウクライナ語版)』が放送。
2017年に「国民の僕」の第2シーズン全24話が放映され、2019年に「国民の僕」の第3シーズンが放映された。
2016年には、バラエティ番組の舞台上で下半身の衣服を脱ぎ、自身の陰茎を用いてピアノを演奏する芸を披露した。
ゼレンスキーはオレンジ革命、マイダン革命などの自由主義革命に肯定的で、ロシア軍の軍事介入後は知名度を持つロシア語圏での反発を恐れず、ウクライナ軍に多額の寄付を行った。一方でロシア文化の弾圧には強く反対した。

1997年には劇団を結成し、コメディアンとして活動。
ウクライナはもちろん、イギリス、ロシアでも活躍。
マイダン革命では、ウクライナ軍に多額の寄付をしていますが、ロシア文化の弾圧には反対という立場から、ロシアを敵視しているわけではありませんでした。


政治活動

ドラマ『国民の僕』の流行を利用して、政党国民の僕を結党。
2019年の大統領選には過去最多となる44名の候補者が乱立しており、有力候補がオリガルヒ出身のペトロ・ポロシェンコ現大統領とユーリヤ・ティモシェンコ元首相という、ウクライナ政界の混沌を現した状態となった。
内政面では最優先に「反汚職」を掲げ、税金の浪費を止めることを公約している。
具体的には議員の免責特権廃止、選挙制度や裁判制度の改革、国民投票による直接民主主義の導入などを掲げている。
経済政策でも企業の脱税や賄賂を取り締まり、社会正義を回復させることが経済成長や国外からの投資に繋がると主張している。
税制面ではフラット・タックスの導入を検討している。
軍に関しては給与体系をNATOに準じた金額に改定する意向を示している
外交面では東部分離主義勢力(ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国)との戦闘について、軍事力での解決は非現実的であり、国内を疲弊させているとしている。既に占領されたクリミア問題については「現実的に考えればロシア側での政権交代を待つしかない」としている。こうした観点から分離主義勢力を支援するロシア連邦と協議し、戦争を終結させたいとしている。
同時に欧州を席巻するポピュリズム運動が選択する欧州懐疑主義の立場には立たず、マイダン革命以降の親欧米派としてEUやNATOとの交流を深める親欧米外交を志向している。
オリガルヒの専横に関しては自身が出演するテレビ局を保有し、選挙活動の支援を行なったとの報道もあるオリガルヒのイーホル・コロモイスキーとの関係をBBCに問われた際、「自分は誰かの傀儡ではない」とした上で「貴方は4000万名のウクライナ人が全て信念が無いと言いたいのですか?」と答えている。

内政面での公約は、ロシアとの戦争において自ら汚職に関与しているのであるから、社会正義とは名ばかりのパフォーマンスであることが分かる。

外交面では軍事力での解決は非現実的で、国内が疲弊すると評価しているので、ロシアの政権交代を待つという保守的な考えを持っていたようです。

マイダン革命以降は、親欧米派の志向に向かっていたようです。

選挙活動では、テレビ局のオーナーでもあるイーホル・コロモイスキーから支援を受けていたことから、コロモイスキー氏とは懇意にあるようです。


大統領就任

2019/5/20、大統領就任。
7/21に行われた最高議会選挙では、自身の新党「国民の僕」が過半数の議席を獲得する圧勝を果たした。
★ 支持率低下
しかし、ウクライナが抱える経済、汚職、紛争といった難問を解決できず、当初7割台だった支持率は右肩下がりで下落した。
★ 失地回復のため反露の民族派に方針転換
また、「ミンスク合意」で取り決められた親ロシア派の分離独立を認めずに「主戦論」を唱える民族派の猛反発に直面。
この状況に対処するため、自らも失地回復を唱えるように方針転換をした。
そのため、ロシアとの関係正常化はなくなった

ゼレンスキー氏の対ロシアに対する動きが変わったのは、東部の分離独立を認めない反露の民族派の猛反発以降です。

それまでロシアに対して攻撃的な姿勢は一切見せていない。
むしろ、軍事力で劣るウクライナの疲弊を心配していたぐらいです。

そうすると、当時にドンバス地域で親露派組織相手に暴れ回っていたのは、極右組織を中心とした勢力が独自で交戦していたともいえます。


反ロシア路線へ切り換え

★ミンスク合意反故
その後はミンスク合意の反故やNATO加入に対する西側諸国の支持取り付けに動いたが、2021/9月の訪米でも法律主義や経済の未熟さを理由に回答は得られなかった。こちらでも成果をあげることはできず、2021/10月には支持率は25%まで後退した。
★ 米国務省はオリガルヒ・イーホル・コロモイスキーを入国禁止
2021/3/5、アメリカ合衆国国務省はゼレンスキーの政治支援を行っていたウクライナのオリガルヒ・イーホル・コロモイスキーとその家族を知事時代の不正蓄財容疑で入国禁止処分とした。
★ ドローンで東部を攻撃
2021/10/26、東部の紛争地域で親ロシア派武装勢力への攻撃にトルコ製ドローン「バイラクタル TB2」を初めて使用。親ロ派の後ろ盾のロシアは27日、紛争をエスカレートさせる恐れがあると警告していたが、攻撃動画を公開し、欧米がウクライナに苦言を呈する中、ゼレンスキーは29日、「領土と主権を守っている」と強気の声明を出した。
年内に50機の購入計画に加え、2022/2/3にトルコ企業が開発した攻撃ドローンに関して、ウクライナでの生産を進めることでトルコ側と合意。
記者会見でゼレンスキーは「新たな(ドローン)技術は、ウクライナの防衛能力強化を意味する」と述べた。

ゼレンスキー大統領は、ここでようやくミンスク合意の反故に動き出す
2021/4/2、ゼレンスキー大統領はバイデン大統領と電話会談
米国がウクライナへの「揺るぎない支援」を約束という話であったようです。

バイデン氏、ウクライナに「揺るぎない支援」約束 ロシアの軍備増強受け
(2021/4/3)

ゼレンスキー大統領は、ウクライナ単独での交戦は無謀だとの認識もあってか、NATO加盟を西側に求めます
2021/9/1、バイデン大統領との会談にもこぎつけましたが、NATO加盟の回答は得られず、ただ、ウクライナに対する6000万ドルの安全保障支援パッケージを得ることが出来ました。

米露関係の焦点となるウクライナ(2021/9/20)

2021/10/26、ミンスク合意を反故にしトルコ製のドローンで東部の紛争地域を攻撃します。
ロシアは「紛争をエスカレートさせる恐れがある」と警告し、欧米がウクライナに苦言を呈する中、ゼレンスキーは29日、「領土と主権を守っている」と強気の声明を出す始末。
このドローン攻撃、実はミンスク2の強化合意書が2020/7月に結ばれたのですが、協定違反なのです。

つまり、アメリカはNATO加盟は出来ないが防衛に関する技術と資金は出すと援護し、ゼレンスキー大統領の反転攻勢となったのです。

そして、ロシアはこの動きに関して、戦闘のエスカレーションを懸念しての警告であり、紛争拡大を望んではいないように感じます。

むしろ、結果的に焚きつけているのはバイデンに他なりません。

ゼレンスキー氏のWikipediaに載ってはいませんが、2021/12月にロシアは和平交渉の場を持ちかけています。

なお、ゼレンスキーのWikipediaでは明記されていませんが、2021/6月に米露首脳会談がありました。



2022年のロシアのウクライナ侵攻以後

2022/2月にロシア軍がベラルーシとの合同軍事演習のためウクライナ国境付近に10万人規模の部隊を集結。
これに対し、米軍の増派部隊が東欧に到着し始めたことで、緊張が一層高まった。
ミンスク合意を取り付けたフランスの仲介も虚しく、ロシアは2/21にウクライナ親ロシア派実効支配地域の独立を承認。
24日にはウクライナへの侵攻を開始した。
同日、ゼレンスキーは「国民総動員令」に署名。18~60歳の男性の出国を禁止した。
2/25、ゼレンスキーは6分あまりのビデオ演説を公開。
自身が家族とともにキーウにとどまっていると述べ、キーウを逃れているとの観測を打ち消した。
2/26には大統領府の外で撮影したビデオ演説を公開。
「われわれはここにいる。国を守る」と述べ、あくまで首都にとどまり、ロシア軍と戦い続けると強調した。

ロシアが前年12月に提案した和平交渉も実現せず、ゼレンスキー大統領の東部への攻撃が止まない。
ロシアはベラルーシとの軍事演習と称してか否か、2/24に軍事作戦を決行します。

2/26には大統領府の外で撮影したビデオ演説を公開。
「われわれはここにいる。国を守る」と述べ、あくまで首都にとどまり、ロシア軍と戦い続けると強調したとあります。

プーチン大統領の西側への呼びかけがあったことは、別の投稿で載せようと思います。


記事

ロシアとウクライナが首脳会談、ウクライナ東部の停戦で合意 仏独仲介
(2019/12/10)

「ウクライナ大統領はビリオネア」とのデマ拡散 実際の資産額は?
(2022/4/24)



まとめ

彼の生い立ちから振り返ってみると、俳優としてブレイクしたのちの大統領選挙から大きく変わっています。

選挙戦当時からイーホル・コロモイスキーとメディアで繋がりがあり、選挙資金も得ていた模様。

ここではあまり触れませんが、イーホル・コロモイスキーはウクライナの富豪でもありますが、ウクライナの立ち位置は右翼に属していると考えられます。
政治的な利権も多く、国内外で敵も多いでしょう。

肝心のゼレンスキー大統領ですが、そんなコロモイスキーと懇意にあるなかで政治的な活躍は出来なかった前半ですが、2021にバイデン政権が誕生してから劇的に変わったように感じます。

記事にもあるように、彼は俳優でブレイクしたあとの資産は数十億円はあるでしょうか。

彼の過去を観察してみると、このロシアウクライナ戦争においては西側勢力の駒に過ぎないといった感想です。

なぜそう思うのか。
この戦争は、ロシアの侵略戦争という位置づけが西側の主張であり、日本もそのようなプロパガンダが前面に出ています。

しかし、ウクライナの農地売却ロシアの天然ガスの利権米国の投資ファンド、ウクライナに投じられる各国の税金の動きを考えると、グローバリストたちによる「侵略戦争を利用した搾取」ということが見えてきます。

それは、また別の投稿となりますが、個人的にいろいろと突っ込んで見ていくと、「巨大なマネーゲーム」のなかにあるということは理解できるようになるでしょう。

そして、その被害者は、戦争で亡くなった人と世界各国の国民です。
つまるところ、税金という形で搾取されています。

今日はここまでにします。

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