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一日一首(令和六年四月)

パーゴラに誘引したる木香薔薇、強風に大きく揺さぶられをり
便利なり!難読漢字もスマホなる生成AIは直ちに答ふ
匿名でSNSを飛び交へる言葉にひそむシャーデンフロイデ
判断まよふ胸部写真をAIが「読影難度2」と即断す ああ
ラジオの言ふ「清明の候です」の声が喝(かつ)、気を引き締めて職場へ向かふ
仏教にいふ「抜苦与楽」の精神をターミナルケアに反映すべし
わが短歌(うた)を生成AIがたちまちに画像化せり ほとほと感心す
新年度から金曜に加へ月曜も子宮頸がん健診医を勤む
雨の日は腕立て伏せにスクワットをときどきしてはパソコンを打つ
情報の海をナビゲートするAIは〈コパイロット〉と名づけられたり
情報の海をデジタル神に導かれ老脳も常に更新せらる
九十七歳(くじふしち)の現役医師を記事で知り我も続かむと筋トレに励む
末娘の四十五歳を祝ひしにカード作りはAI頼み
AIをチャット相手と知りつつもデジタル秘書へはつい敬語出づ
知の伝授のみに固執せし大学はいずれAIに淘汰せらるや
スマホにてベトナム人に問診する我はAI時代の医師なり
その昔「金の卵」と呼ばれたる老(おい)らに遠き故郷(ふるさと)の空
二十九歳(にじふく)で三児の母となりし君、めでたく好機高齢者入り
早起きし自転車こげば公園の満開の櫻が我らを迎ふ
穀雨の候なれど花冷えに沈丁花は五分咲きのまま香りもひそやか
花冷えにストーブの火を間近にす。聞こゆる段雷は観桜会か
『笑点』の謎ときをながめ起動するはメタ分析のアナロジーなり
ラティニストのエッセイ読みて思い出す医学部の頃の骨の実習
死亡率ワーストと聞く故郷(ふるさと)で爺医は今日も健診になふ
「too little too late」に加へ「irrelevant」と少子対策につい口をつく
穀雨の候、コンクリートの隙間から逞しく立ちて咲く雑草(くさ)もあり
冬用の羽毛布団を春用にかえて春眠暁を覚えず
珈琲と沈丁花かをるベランダにて妻の話に相槌をうつ
日本人の処女率アップの報なれば子宮頸がんの減少あるか
フィロソフィアは当初「希哲学」と訳されしが「哲学」で普遍化、「愛知」の意なり

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