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「トイレ詰まった」検索しないで!若者ほど陥る高額請求の”わな”【時事ドットコム取材班】(2022年02月06日08時00分)

 自宅のトイレが詰まってしまい、慌てて修理業者を検索する人に「ちょっと待って!」ー。東京都下水道局が大学生向けにこんな注意喚起のイラストを制作し、話題となっている。2022年1月18日にツイッター上に投稿されると、絵柄のインパクトもあってすぐに拡散し、リツイート(転載)回数は1週間で4万5000回超に。しかし、なぜ若者がターゲットなのか。背景を取材してみると、高齢者よりも若者の方がトイレの修理費トラブルに巻き込まれている意外な実態と、悪質業者の間で広まる高額請求の手口が浮かび上がってきた。(時事ドットコム編集部 太田宇律

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「水回り修理500円から」

 千葉県内で1人暮らしをしていたある20代の女性は、休日の夜に賃貸アパートのトイレが詰まったことがきっかけで、高額請求トラブルに遭った。管理会社と連絡が取れず、困った女性はスマートフォンで修理業者を検索。上位に表示された「水回り修理500円~」と書かれたサイトを通じて修理を依頼した。アパートを訪れた業者は「圧力ポンプを使って詰まりを解消する」と言い、8000円の代金を提示してきたという。

東京都下水道局提供

 ところが、詰まりは解消しなかった。「便器を外しましょう」「衛生費が掛かります」「配管の洗浄が必要です」。業者は作業が進むたびに、さまざまな名目で1万円、2万円と代金を上乗せ。最後は「バキュームカーを呼ばなくてはならない。本当は100万円かかるが、自分はたまたま修理できる道具を持っているので、いま作業してしまった方がいい」と迫り、作業が終了すると総額20万円を請求してきた。「高額すぎる」と苦情を言っても、業者は「1万円なら値引きする」と答えるだけ。結局、女性は預金を下ろして19万円を支払った。

狙われる新生活

 東京都消費生活総合センターによると、こうしたトイレ修理に関する都内の相談件数は例年、200~300件前後で推移してきたが、2020年夏ごろを境に急増。20年度は前年度の3倍近い954件となり、相談内容の8割近くを高額な修理費請求が占めた。 国民生活センターによると、全国的にも同様の傾向がうかがえ、相談者の多くは前述の女性のケースとよく似た状況で料金トラブルに巻き込まれていたという。

 一体何が起きているのか。都消費生活総合センター消費生活専門課の高村淳子課長によると、トイレ修理をめぐる消費者相談は従来、「ポストに投函されていた業者のマグネット型広告を見て依頼したら、高額な料金を請求された」といった高齢者からのものが中心だった。

 しかし、20年夏ごろ、「検索サイトで上位に表示された格安業者を呼んだところ、料金をめぐるトラブルに巻き込まれた」「作業開始後、別の作業が必要だと言われ、高額な料金を上乗せされた」と訴える若者の声が急増。20年度にセンターに寄せられた相談は20代からが前年度比6.6倍になり、年代別でトップに立った。

取材を進めると、ある「広告の仕組み」が見えてきました。記事の後半では、この仕組みのほか、実際にトイレが詰まってしまった場合の対処法などを紹介します。

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