児発放デイ 東京都:障害福祉サービスの報酬改定等に関する緊急提案(2023/11/1)
東京都福祉局が、障害福祉サービスの報酬改定等に関する緊急提案を発表しました。令和3年度改定の時に続き、今回も緊急提案をした形になります。
緊急提案は、障害福祉サービスに対しての要望で20ページに及びます。提案内容を、児発と放デイに関わる部分のみ見ていきたいと思います。
障害福祉サービスの報酬改定等に関する緊急提案
東京都福祉局障害者施策推進部地域生活支援課が取りまとめた、緊急提案です。介護分野は10月10日に緊急提案が行われており、それを追う形での発表となっています。
児発や放デイ(障害児)の分野で見ると、
大都市圏への考慮と物価高騰の反映、人件費高騰へ配慮した恒久的な報酬形態、重心児・医ケア児・強度行動障害への報酬水準の向上、都型放デイのように意識が高い事業所を評価し報酬算定を望むものです。
提案1-1 大都市の実情等に応じた報酬の見直し
東京都としては、地域区分(10円~11.2円)が人件費のみで評価されている。(東京23区は1級地11.2円地域のため上限額となっている。)
現実は、物件費が高額であることから人件費以外も考慮していただきたい。
地域区分は、公務員の地域手当に準拠した地域区分に準拠し、一部は複数隣接ルールにより手厚くしている状況が現在です。
令和6年度から介護分野と同じ地域区分にすることが検討されており、実施されると考えられます。これは、複数隣接ルールを厳しくするもので、一部地域の単価引き下げが目的となっています。
現状は単価上限の引き上げは検討されていないため、東京都から提案された地域区分の評価見直しはなかなか厳しく捉えられると考えられます。
地域区分とは、報酬単位×地域区分=報酬額(円)を決める、1単位当りの単価になります。地域の情勢にあわせ地域区分の単価が変わるように設定されています。
提案1-2 物価高騰を反映した報酬の見直しについて
東京都としては、物価高騰について令和3年4月改定の現行報酬には反映されていないため、厳しい経営環境である事から報酬を適切に反映されたい。
これはごもっともですが、報酬改定検討チームの議論としては上がっていません。社会保障の改定(医療・介護・障害福祉サービスのトリプル改定)にあたり、物価高騰に対応という話は出ていましたので、検討されると思います。
検討チームの議論を聞いていると、本当に対応されるのか心配になるような厳しい議論がなされていますが、期待しております。
提案2 障害福祉サービス等における人材の確保・育成・定着について
東京都としては、最低賃金の上昇もあり人材獲得競争の激化により人材の流出が懸念される。また、処遇改善加算は経過的な取扱いであるため、基本報酬に組み込み恒久的な報酬増加により、人材の確保・定着と育成を計画的に事業者ができるようにしていただきたい。
処遇改善加算やその他加算が面倒で事務負担などが大きいのは同意します。障害福祉サービス分野のみならず社会保障分野全体として、人件費の高騰に対応していけるか、それだけの国民の理解が得られるかが課題と思いますが、どのようになっていくか期待しています。
提案3-5 障害児通所支援に係る報酬単価について
東京都としては、重症心身障害児、医療的ケア児、強度行動障害を有する児について、専門的知識や経験とともに高い支援技術を求められることから、事業所が増加していない。適切に評価した上でサービス提供の実態に即した報酬単価に改善すべきである。
重心児、医ケア児、強度行動障害については、報酬改定検討チームにおいて手厚く報酬を見直す方向性で検討が進んでいますので、この通りとなると考えられます。
提案4 放課後等デイサービスの報酬単価等について
東京都としては、経験豊富な職員の配置や、質の向上に取り組む事業所を国に先立ち支援(都型放課後等デイサービス)してきており、国も同様に報酬面で支援することを期待する。
令和3年度の報酬改定で、5年以上従事した保育士・児童指導員が専門的支援加算から外された(放デイ)のは混乱を招くなどサービスの質の影響が懸念された。再度評価を見直していただきたい。
都型放課後等デイサービス事業
放課後等デイサービスガイドラインに定める4つの要件を満たす個別支援計画の作成
基準人員及び加配職員に加え、経験を有するコア職員の配置
利用者の希望により19 時までサービスを提供する体制の確保
利用者の希望により送迎できる体制の確保
都型放課後等デイサービス事業を実施する事業所間の意見交換の実施
保護者による事業所評価の実施
第三者評価の受審
報酬改定検討チームにおいて、5領域(放デイは別領域になると考えられる)に基づいた個別支援計画書の徹底や、延長支援加算、事業所評価が検討されています。
サービスの質向上に取り組む事業所が適切に評価していただきたいところです。
著者として気になることは、「都型放課後等デイサービス」と主張されていますが、実施件数が何件あるのかぜひ公表いただき、実施が進んでいないのであれば原因を十分に検証いただいた上で、どのような取組みに効果があるか発表いただきたいと思います。
記事をお読みいただきありがとうございました。
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