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桜の季節15

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  庄之助が[江戸彼岸]と書いたノートを見つめながら一雄は庄之助にお礼を言った。

「ありがとう!おじいちゃん!」

「確かな、ちゃんとした広い場所に生えて入れば1000年も花を咲かせるそうじゃよ。」

「え~!1000年も?」

一雄は流石に1000年は信じられないと言った表情をしている。

「ハハハ、明日調べるんじゃろ?」

「うん。」

「そうしたら嘘か本当かわかるじゃろう。」

「うん、調べたらおじいちゃんにも教えてあげるね。」

「ああ……。楽しみにしとるよ。」

  明日にはもう……、そんな事はとても一雄には言えない。庄之助は明るく振る舞ってみせるしかなかった。庄之助は話を逸らすかの様にお茶を啜った次の瞬間。

「ブー!ゴホゴホ!」

  啜ったお茶を豪快に吹き出す庄之助。

「うわ!おじいちゃん大丈夫!」

「いや、ゴホゴホ。すまん、すまん。」

「僕タオル持ってくるね!」

  一雄はタオルを貰いに母のいる台所へと走っていった。庄之助の視線の先には壁から顔だけを覗かせて入るスレイブの頭があった。庄之助はその奇妙な光景を見てお茶を吹き出した様だ。

「この部屋でしたか、お邪魔します。」

  そう言いながらスレイブは壁をすり抜け部屋へと入ってきた。

「お前さんなぁー。」

「すいません、いきなり。」

「すいませんじゃないわい、あんな所から顔だけ出てたらびっくりするじゃろうが!もう少しで心臓が飛び出る所じゃたわい!」

「本当にすいません、一軒一軒確認しながら探してたものですから。」

  庄之助は大きく深呼吸して落ち着かせた。

「で?一体なんの用じゃ?」

「実は、大事なお話しがありまして。」

  そう言いながらスレイブは庄之助へと近づいた。庄之助はスレイブを無視するように背を向け自分が吐き出したテーブルのお茶を拭き取っていた。

つづく

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