桜の季節12
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なんとコインは両面同じ図柄だった。両面が同じ図柄になるように2枚のコインを合わせて1枚にしたものだった、初めにスレイブに見せたコインとは別物だったのだ。
「やっぱり!神木の精ともあろうものがイカサマですか?」
「うっ……。」
「こんなの何処で手に入れたんですか?」
「昔に庄ちゃんが私の上に忘れて行ったものです。」
観念したのか桜の精は初めのコインを着物から取り出した。スレイブは呆れた顔で。
「庄之助さん、一体こんなの何に使っていたんだろう……。」
「きっと私と同じ様な事に使っていたんじゃ。」
スレイブは咳払いをして桜の精を睨みつけた。
「す、すいません。」
スレイブは大きくため息をつき。
「いいでしょう、やってみましょう。」
「え!本当に?」
「ええ、賭けにも負けましたからね。そこまでする執念に負けました。」
「ありがとうございます!本当にありがとう!」
「2日!2日だけですからね。」
「ハイ!お願いします!」
桜の精は深々と頭を下げた。
「頭を上げて下さい。まだ、上手く行くとは限りませんから。」
桜の精はなんとも言えない表情をしている。
「そんな顔しないで下さい、全力は尽くします。」
「よろしくお願いします。」
「では、目を瞑って下さい。」
そう言ってスレイブは桜の精の頭へ手を伸ばした。桜の精はゆっくりと目を瞑った。すると、辺りを不思議な光が包むと桜の精は消えてしまった。同時に今まで満開だった桜の木はみるみる花を散らし枯れていった……。
つづく
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