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「なんどでも、リスタート」ラブライブ!スーパースター!! 2期3話感想
りえらちゃんの今期を象徴するのが「勝利する」というワード。勝つことだけがすべてじゃない、実力だけが本当の強さじゃないというのはありがちなテーマですが、そこにどう切り込んでいったかが面白くて感情がぐちゃめちゃになってました。大会を通じて変わるものも、変わらないものもある。そんな彼女たちの今後に期待しつつ、今週も感想やっていきまっせ。
新しいライバルに迫る
新ライバルとして颯爽とデビューを飾った中学生、ウィーン・マルガレーテ。音楽の都ウィーンと、ドイツ語圏にある名前の一つであるマルガレーテを合わせたドストレートな名前と裏腹に、「勝つのは強く願った者だけ」という普遍の真理を謳い上げ、高すぎる実力を示し代々木のフェスで文字通りの優勝をつかみ取りました。
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僕がその名前で真っ先に連想したのは、ヨーロッパ圏のラブライブ!大会こと「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」です。日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、各国代表を選んで競い合う歌の大会であり、大戦後のヨーロッパの継続的な平和を象徴する文化であり、そしてヨーロッパでは知らない人がいない超長寿番組であります。ここの出身者にはディスコ・ミュージックの代表格、そしてスウェーデンの有名人として真っ先に名前が挙がることも多い「ABBA」なんかがいますね。
ユーロビジョンがよくやり玉に挙げられているものの一つとして「大会で結果を出すために、みんながよく聞くようなポップスの楽曲を選び、その中で競いがち」というものがあります。正解のコモディティ化と言ってしまえばそれまでですが、私自身そこまでして名誉が欲しいのかなんて一時期は思ったことも。もちろんウィーンちゃんが繰り広げたステージはそういうのじゃなかったりしますが、この大会がヨーロッパの一体と明るいエンターテイメントの提供を目指して作られたのを見ると、ちょっとした寂しさも感じます。本当に勝利のために強く願うことだけ、そしてより正解に近い道を選ぶことだけがすべてなのか?と。
いざ大会に出たとき、何が変わるのか。何を信じるようになるのか。これからがひじょーに楽しみです。
Liellaのめざす「努力」
努力の過程を丁寧に見せることがシリーズの醍醐味になっているのは確かですが、今期のりえらちゃんは何度か触れている通りその中でもめちゃめちゃストイックです。それでも、何が何でもがむしゃらにがんばろうとはせず、休む時は適度に休み、みんなのことを気にかけながら前へ進んでいく。新しい時代の「努力像」ともいうべきものが見えているような気がします。
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大塚製薬の「休養」に関するページがめちゃんこ面白かったので共有。運動した後の筋肉を作る時間をどう過ごすか、というものについてプロテインでお馴染みDNSと並んで非常に有意義なページの一つです。ここで今回のお話にある「余白の部分」として、果たしてダンスやボイストレーニングなどの映像を、彼女たちは休養中に見ているのか?というものがあったりします。
可可ちゃんとかは研究熱心そう(主にサニパ)だったり、かのんちゃんが普段歌うためにどんな技術を鍛えるための「何か」をしているのか、だったり考えるのは楽しいものですね。年月が進み、部活においてより効果的な強化が求められるようになったからこその余白として、いいきっかけになったと思います。
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支持は名声につながるか?
圧倒的な結果じゃなくても、「スーパースター」になることはできる。その発言はひとえに、結ヶ丘のスクールアイドルが「歴史ある伝統」というプレッシャーもなく、ただ名前を広めるだけの存在ではなく、間違いなく結ヶ丘に通う彼女たちの誇りになり、そして支持を受けているということの裏返しになります。ただし、すべての支持が広く肯定的な名声につながることは、そうなかなかないでしょう。ちょっと前まで大統領であった男がそれを証明していますね。
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ここで一つ。尊敬する方の今回のお話の感想に「蔓延しているとされるシニシズムに対してどうするべきか?のシリーズとしての答え」といったものがありました。シニシズム、つまり冷笑というバズワードめいたものは定義がありすぎて困るレベルでいろんなものがありフワッとした定義です。ただし、現代の日本の「意見」を形作る上で避けては通れないものになってきていると思います。一人一人の持つ正義が統一され、「正しい方向」へと突き進んでいくのがこの影の持つ力です。
例えば。全然話題は違いますが…今度の万博について、万博の再定義を任されたとして全力で取り組むのか、オリンピックの二の舞になるし金の無駄だ、と最初から仮定するか、というのは恐らく周りの環境がどうだったかによって違うと思います。今回の万博に熱を込めて「なにか」を作っている方が身近にいらっしゃったので僕自身は好意的に見ていますが、そうでなかったら「彼ら」と同じくネットでええやんとなっていたでしょう。
(僕は開閉会式については文化的な意義を後から再検証すべきだと思っています。そしてリークされた幻の案も含めてどちらも大好きです。)
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Liella!のみんなが恵まれていたのは、始まったばかりの高校で唯一「すでに」結果を残した存在であったこと、それがどんな結果であっても好意的に捉えられ、それが彼女たち同士で信じる力になっていることです。2話で恋ちゃんが「信じましょう」と言ってたのを覚えているでしょうか?これが今期のもう一つのテーマになると思っています。勝つのは強く願った者だけ、というのではなく「肯定的なことを信じ続けた者が、良い方向へ未来を変えること」だと。
リベンジでは、なく
リスタートという言葉には、何度でもやり直せるという意味が込められているのはみなさんもご存知の通りなんですが、これをあえてリベンジとしなかったのは、負けたことによるネガティブな気持ちが、彼女たちの中に全くないことが示されているからだと感じます。
勝つ、という言葉に躍らされがちですが、そこに向かってがむしゃらに進んでゆくだけではうまくいかないのが現代という世の中だと思います。それを彼女たちなりに考えていった結果として、どんなことがあっても強い負の気持ちに付けいられることなく前に進んでゆくこと、これを彼女たちはあのステージで伝えたかったのではないでしょうか。
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しかしながらそれにはステージに立つ者と応援する者同士のように「肯定、信頼し合える存在」が必要です。リバプールのサポーターがクロップ監督の就任によって「疑う者」から「信じる者」に変わったように、その肯定に対する「強力な論拠」が必要になってきます。リバプールにとっては前からハメる強烈なプレッシング戦術であり、Liella!にとっては「大会でまだ何も結果を残していない」という思い込みがぶっ飛んだ在校生との出来事こそ、これにあたります。だからいつまでも前を向いていられるのです。
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遊びのようで、遊びじゃない。
これが、ラブライブ!です。