魚の社会のビジネス
ホンソメワケベラのビジネス
株価をチェックしていると、どれほど多くの会社が存在するのかが直感で理解でき、ビジネスの世界の複雑さを感じ取ることができます。
実は、魚の社会もビジネスの世界と似ている点があります。
例えば、多くの研究からホンソメワケベラのような"掃除"をする魚(サービスの提供者)と大型魚(顧客)の関係は一種の市場のようなものを作り上げていることがわかっています。
ホンソメワケベラは大型魚についている寄生虫や死んだ組織をクリーニングステーションと呼ばれる場所で"掃除"します。
ホンソメワケベラにとってはこれが食事になります。
しかし、大型魚はさまざまな問題に直面することになります。
それは、自分以外にも"掃除"を待っている顧客がいること、また健康な組織も食べてしまうような質の悪いサービスを提供するホンソメワケベラがいることです。
こういった質の悪いサービスに対して顧客である大型魚はリピーターにならないという対策をとります。
しかし、大型魚の中でも根魚は生息域が狭い為、回遊魚とは異なりクリーニングステーションを選ぶことができません。
すると、ホンソメワケベラは質の良いサービスを回遊魚に優先的に提供するようになります。
これは、まさに市場と同じではないでしょうか?
顧客が店を選べないような場合はサービスがあまり向上せず、顧客が複数の店を吟味できるような状況では店側はサービスの向上に努めるというようなことです。
一見魚とヒトは異なるように見えるかもしれませんが、ビジネスの仕組みなど、魚の生態から学べることも多いのかもしれません。
参考文献:
Bshary, R., & Schäffer, D. (2002). Choosy reef fish select cleaner fish that provide high-quality service. Animal Behaviour, 63(3), 557-564. doi:10.1006/anbe.2001.1923
Bshary, R., & Würth, M. (2001). Cleaner fish Labroides dimidiatus manipulate client reef fish by providing tactile stimulation. Proceedings. Biological sciences, 268(1475), 1495–1501. https://doi.org/10.1098/rspb.2001.1495