息子や娘による親殺し

エディプス・コンプレックスとエレクトラ・コンプレックス

息子は娘より親を殺す

エディプス・コンプレックスとは男児が母親に性的魅力を感じ、父親に対して敵意を抱くというものです。

反対に、エレクトラ・コンプレックスとは女児が父親に性的魅力を感じ、母親に対して敵意を抱くというものです。

これらの理論は心理学が誕生して間もない頃に提唱された言わば古典的な理論とも言えますが、進化心理学とは相反する部分がありそうです。

進化心理学的には性的嫉妬が親子間で普遍的に発達するわけはありません。

なぜなら、遺伝的距離の近い者同士の性的接触は遺伝子疾患などのリスクを上げる為、そのような形質(近親相姦)は淘汰されるからです。

1976年から1999年の24年間に渡るアメリカのデータによると、息子や娘による親殺しの内、息子が父親を殺したのは87%、娘が父親を殺したのは13%、息子が母親を殺したのは83.5%、娘が母親を殺したのは16.5%でした。

つまり、息子は父親と母親を娘よりも多く殺しますが、息子が父親と特に葛藤がある(エディプス・コンプレックス)ことや娘が母親と特に葛藤がある(エレクトラ・コンプレックス)ことはないわけです。

約79%〜約85%の犯罪は男性によって行われることを考えると、息子による親殺しの割合も特に高いわけではないのかもしれません。

参考文献:

Thornhill, Nancy Wilmsen. “The Evolutionary Significance of Incest Rules.” Ethology and Sociobiology, vol. 11, no. 2, 1990, pp. 113–129., doi:10.1016/0162-3095(90)90032-2.

Khlat, M., & Khoury, M. (1991). Inbreeding and diseases: demographic, genetic, and epidemiologic perspectives.Epidemiologic reviews,13, 28–41. https://doi.org/10.1093/oxfordjournals.epirev.a036072

Heide, K. M., & Petee, T. A. (2007). Parricide: An Empirical Analysis of 24 Years of U.S. Data. Journal of Interpersonal Violence, 22(11), 1382–1399. https://doi.org/10.1177/0886260507305526

A STUDY ON HOW MEN AND WOMEN ARE REPRESENTED IN ... (n.d.). Retrieved from https://www.heuni.fi/material/attachments/heuni/reports/Ast1S7Egx/Crime_and_gender_taitto.pdf