毒があるから食べないで!
ミュラー型擬態とベイツ型擬態
擬態とは生物が体を周囲の環境や他の動植物に似せることを言います。
擬態にはさまざまな種類がありますが、今回は毒に関する擬態について考えてみましょう。
ここに毒を持つ2種類の生物(AとB)がいるとします。
2種類の生物の体の形や色は異なります。
仮に外敵がAという生物を避けるように学習したとしましょう。
すると、Bという生物を避けるようにはまだ学習していませんので、外敵はBを食べてしまいます。
そんな時、Bという生物の中からAという生物に似た個体が誕生すると、外敵はAという生物に似ているその個体を食べない為、その個体の形質(Aという生物に似ているという形質)が集団中に広がり、結果としてBという生物はAという生物に似るわけです。
これがミュラー型擬態です。
ミュラー型擬態では毒を持った異なる種が似ることで外敵が避ける対象を容易に学習できるというメリットがあります。
それとは別に、ベイツ型擬態というものもあります。
これは、毒を持たない生物が毒を持った生物に似ることによって、外敵から捕食されないようにする戦略です。
これらは進化の果てに身に付けた素晴らしい戦略ですが、注意しなければならないのはどちらの擬態も生物たちの意思によって身に付けられたのではなく、あくまでも生存に有利だった形質が受け継がれた結果、"偶然"進化しただけの話だということです。
進化に目的は無いというように、あくまでも偶然の結果なのです。
参考文献:
Lev-Yadun S. (2018). Müllerian and Batesian mimicry out, Darwinian and Wallacian mimicry in, for rewarding/rewardless flowers.Plant signaling & behavior,13(6), e1480846. https://doi.org/10.1080/15592324.2018.1480846