pin百物語『恐怖の文化祭』
時は平成、ルーズソックスが流行る前。
17才の秋、遊び仲間が通う女子高の文化祭に行った時の話です。
そこは私立の女子高で割りと賑やかに屋台が立ち並んでいた。
この日だけは男子も入校OK、血眼で女子を物色していました。
そんな風景を横目に同学年には興味が無かった私は構内を歩き、催し物を楽しんでいました。
…何となく視線を感じる？
ふと、以前から普段の立ち振舞いが男やなと言われたことを思い出した。
そういう立ち振舞いは女子高ではモテるよーなんて隣にいる友人に茶化されたのである。
でも、いや、まさかねぇ…
何気なく振り返ってみたりした。
すると視線も感じないし、変なヤツもいない。
歩き出すとまた視線を感じる…。
女子高に通う友人がその様子を見て…
友「きーつけや～😏」
私「なにがやねん💦」
もちろん意味は分かってるが、女子高の内情なんて知らない私には半信半疑なのである。
いわゆる、御姉様～的なやつが本当にあるのかと…？
兎にも角にも視線は気にしないようにブラブラし、私はふとトイレに行くと言い立ち止まった。
すると友人はトイレの横にある音楽室の催し物を見るため席を取るからと先に行った。
楽器を合わせてる音がトイレにも聞こえてくる…
音楽室とトイレの間に控え室が位置するのか、音がよく聞こえる。
そろそろ始まるのか、急ごう……
？！？！？！
ドーーーーン💥
腰に巻き付く手…？
後ろからタックル？された…？？？
いや、タックルというか離れない…
なんやコイツ？！
私「なんやねん、やんのか？」
女「あ、あの…っ」
首だけ横を向けて見た鏡に映し出されたのは、ここの女子高の制服と真面目そうな女の子…
が、背中にくっついてる…
私「なんやねん、離せや💢」
喧嘩を吹っ掛けられた訳では無さそう。
ぐぐぐぐっ…
どこにそんな力があるのか…
抱きついてる女子はそのままの体勢で個室に私を押し込んだ。
私「ちょ、マジでおまえほんまシバくで！」
状況が少しづつ読めてきた。
どうやらこの真面目そうな怪力？女子…
御姉様を求めるタイプの女子な模様…
ほんまにいたんか…
女「特別な人いますか？！」
私「いる男いる！」
女「じゃあキスしてくださいっっっっっ!！」
私「はぁぁ？？話聞いてた？？無理やし無理！」
女「キスしてくれたら離れます！満足しますから！」
(な、なんて身勝手な交渉…)
しかし、外に出ようにも鍵はかけられ狭い個室で身動きも取れず。
や、やるか…
やらないか…
どうする…
もしくは…力でねじ伏せるか…
いやーぁ、でもなぁそれはしたくないなぁ…
なんてちょっと優しさも出しては見たものの、この状況を打破するには…
何かしら、やるしかないのか…
(考えること数秒)
今ここで、一生無いと思っていた女同士のキスを…やるか？
しかも何か雰囲気的にこっちからしなきゃならんのか？！
よ、よーし…
身体を反転させ、10cmくらい低いであろう女子を見下ろしてみた。
…
いやぁ、やっぱ無理。
ここでもしちょっとでも可愛いとか思えたらいいんやけど、いや普通に可愛らしい女子やけどね、そういう可愛いじゃないのよなぁ…
やはり私の対象は女子ではない!！
思わぬ悟りを拓いた。
ば、罰ゲームと思うか、相手が可愛い男の子と思…いやそれはアカンか。
意を決して両手で女子の頬を固定し、ギュウっと目を瞑って一瞬だけチュッとすりゃええわぃ！！
と、数をかぞえるように手順を踏んでいたら抱きついていた女子が両手を離し私の頬を固定してきた。
えっ、へ、へ、ぇ？！？
瞬間でパニックに陥った私に対し、女子は手順をすっ飛ばして…
ブッ……チュ～～～👄
( ・ ・ )…???
や、やられて…る？？
まだか…
な、長い…
実際にはどれくらいやったのか全く分からない。
とにかく長い…
この長いにはありとあらゆる女子の技巧が含まれているものとお考えください。
そしてこれだけはハッキリしてる。
この女…初めてじゃない…な。
むしろ、手練れ。
いろんな意味で頭が真っ白になった私は、一方的な情事を終えて満足した女子が出ていったにも関わらず…
まっっったく動けなかった。
人生で一番恐怖を感じた。
何が怖いって冷静になって思い出したところ、最中にシャッター音が聞こえたような気がしたのである。
と、撮られたんやろうか…
誰に？
両手は頬にあったぞ？？
てか、あれだけの時間…何で誰もトイレに来なかった？？
…
恐らく見張りがいて、頃合いを見計らってシャッターを切りに来たのだろう…
つまり…
ハメられた…orz
あれが世に出回らない事を切に願う…
この日を境に、私は女子高の文化祭に一切行かなくなったのは言うまでもない…
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