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【第19話】新たな刺客?
隆史(仮)と私、そして互いの兄弟犬を連れて遊ぶことが日課となった。
学校も一緒、習い事も一緒、放課後も一緒
互いが飼ってる犬は兄弟犬
今考えると、スゴいな…
よくお互いの存在が重くなかったよな。
小学生やから可能やったともいえる、ずっと一緒で何でも一緒。
冬がはじまるころには、人前で手を繋きつつ犬を散歩するなんてこともやってのけた。
とても幸せな日々だったことは間違いなく、疑問も不安も無い…永遠に続く日々だと思っていた。
以前にも触れたとおり、通っていた小学校は変則的なクラス替えが行われる。
4年生が終わり、またクラス替え。
5年と6年はセットなので最後のクラス替えとなるわけで…
でも、以前のような不安は無かった。
隆史とクラスが離れても、変わることは何もないという揺るぎない自信があった。
それは隆史も同じで、2人して5年生になることを楽しみにしていたし部活動も何にしようかと話し合っていた。
学校以外での時間を共有していたことは、私にとって大きな安心材料だったように思う。
が、しかし。
私の人生、安心に包まれる日々が長く続いた試しはない。
その先駆けとなったのが、この小学校最後のクラス替えによって出会う男(同級生)である。
それを予知するかのように、隆史と私はクラスが別々になった。
当然やけど、やり合った山之内(仮)ともクラスは別。
5年生になっても、クラスが離れた以外特に何も変わらなかった。
スイミングもそろばん教室も互いに続け、切磋琢磨しそこそこの実力も身に付けた。
隆史がいなくても、クラスで孤独になることはなかった。
ある程度の対人関係を築けるようになったものの、相も変わらず女子のキャッキャウフフは苦手。
部活動はサッカーを選んだ。
女は一人だけでも特に気にはしなかったけど…
PKは蹴らせてもらえなかった。
理由は女やからとか…クソが。
ーーーーキリトリーーーー
5年生で一度も蹴れなかったPK。
悔しいから6年生でもサッカーを選んだ。
試合で順番にPKを蹴る場面があり、最後の最後11人目の後攻に私の順番が回ってきた。
誰しも期待はしていなかった。
相手のキーパーは笑いながら棒人間のように立っているだけ。
ホイッスルと同時に私は右足でゴール左に向かって思いっきり蹴った。
笑っていたキーパーが青ざめた顔でボールを見た頃にはゴールネットに突き刺さっていた。
少しの沈黙のあと、ホイッスルが鳴り試合終了となった。
「ざまぁみろ!!!」
敵味方含めて21人の男共とコーチである先生に言ってやった。
球技ならなおさら、てめぇらには負けへんわ!
以降、卒業までPKはキッチリ蹴らせて頂きました。
ーーーーキリトリーーーー
最初の席替えで隣になったのは竜(仮)という男だった。
愛嬌のある笑顔や、口数が多いわけでもない。
気が合いそうにない奴やなと思った。
たぶんお互いに牽制し合いながら、同じことを思っていたはずである。
…なんか嫌な感じやなぁ
まぁ席が隣なくらい、すぐまた替わるし。
後日一切話すことも無かった竜と、意外な接点が出来てしまうことは、まだ知らない。
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水は怖い…
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