真 想
凍りつく息はどこまでも白く
僕たちの空を流れてゆく
素顔の君が
嘘を言った
彼女を欲望のまま
奥まで抱きしめた
彼女の
寂しさと悲しみの棘を
熔解できると信じて
僕は彼女のふくよかな肌に
唇を這わせた
泣きじゃくりたい心が
彼女の愛おしい心が
僕のなかに流れてくる
僕の涙をからだに全部抱きしめて
腕をまわして 僕を愛しむ
彼女がほしかった めくるめく彼女がほしい
からだを強張らせて 僕の名を呼んだ
僕は彼女の奥深くで 彼女の声を抱きしめた
今夜だけ ずるい女になっていい
どうして ひとりにするの
どうして いつも居てくれないの
どうして あなたは そんなにやさしいの
僕のずたずたになった 肩越しが濡れていた
彼女の心が届かないところにあった
僕は 僕は 彼女を壊してしまった
ふたりで並んで歩いた 果てしなく白い道を
息が限りなく白く 凍える
また次の年も ふたりで歩く白い道
あなたが凍えぬよう
あなたに似合うマフラーをあげる
凍りつく息はどこまでも白く
僕たちの空を流れてゆく
素顔の君が
嘘を言った
追伸
僕は知っていたよ
君の不器用すぎる愛を
だから 僕はこうして書き留めておくんだ
君の大切な大切な 真想を
君を愛したことを 色あせないように
#君に還るまで
#恋愛詩