愛 緑
差し出した手に
顔をうずめ
拾った葉っぱを 大事そうに抱えている
緑の香りがするね 心がじーんとする
彼女の唇が 僕の手のひらにふれた
離れたくないと なぞった
僕の瞳の奥に 彼女がいた
精一杯 芽吹かせて
僕を愛そうとして
栞にするんだ 今日を
だって ずっとずっと いっしょに
拾った葉っぱを 大事そうに抱えている
こらえ切れない 涙が流れたとき
彼女をつよく抱きしめた
彼女の白く細い指に しっかりと緑葉が包まれていた
かおり ただいま
彼女がいきていない森
僕は乾いた落ち葉の中に
跪き両腕をついた
ささくれた音をたてて
僕の心をすくった
栞にするっていったじゃないか
ずっとずっといっしょって いったじゃないか
色あせた葉は もどらない
落ちた葉は もどらない
このまま僕も 落ち葉に埋もれよう
なんだか とても疲れたんだ
手帳からこぼれた栞
淡い色をおびて 僕に変わりのない
ぬくもりをくれる
緑の かおり がいた 心がじーんとあたたかい
ささくれた心があふれる 精一杯の涙で
こんな僕を 君はまだ愛してくれている
どんなに乾こうとも どんなに朽ちても
君は いきている
精一杯 芽吹かせて
#君に還るまで
#恋愛詩