保守政党・保守論壇はマクネアもビックリの「小売の輪理論」
保守層に蔓延する「小売の輪理論」
なんせ田舎育ちだから子供の頃、遊びに行く時は意味もなくホームセンターとか長崎屋やイトーヨーカ堂とか小売店に行っていました。ゲームコーナーやフードコートがあるから結構、楽しんだ記憶があります。今、考えたら何が面白いんだ?という気もしますけど。
最初はローカル小売だったのが、全国展開のスーパーが続々と進出します。すると少年三品とその一派は新しいところ、そのまた次に新しいところに行くわけです。新規の方がアトラクションがより充実していたり、新しいテナントが入ったりするから。すると子供ながらなんとなく察するのです。
「新しいスーパーの方が有利じゃないか」
と。これは田舎少年が感覚的に導き出した考えでしたが、実際にマーケティング理論の中で「小売の輪(wheel of retailing)」という用語がありました。
専門家からみると理解不足という指摘が入るかもしれませんが、流通業界において後発組有利というのは理論として存在しています。それでここ15年の保守政党、保守論壇を見ていると「小売の輪」とダブって見えてしまいます。ちょっと意味合いが違うけど後発有利という点で酷似してます。
気鋭の若手、新しいスタイルの批評家、活動家が出てはネット番組や論壇誌に取り上げられ一躍スターになります。ところが次のスターが登場したらまた殺到する。この繰り返しです。特にネット発スター論者の消費は非常に速くてデビュー当時と現在の毀誉褒貶は非常に激しいのではないでしょうか。
月光仮面の主題歌の一節のようです。
左はトピックス、右はヒーローモデル
現在、左派メディアや活動家あるいはアベガ―たちは「統一教会モード」。関係情報にご執心なようですが、あと2週間もしたら収まるでしょう。左派の特徴、特にここ十数年は話題のトピックスに飛びつく→ネットで騒ぐ→抗議デモ、この繰り返しです。
逆に右は先述した通り、特定のヒーローを求めています。さしづめ現在は参政党でしょう。それでちょっとnoteで関連記事を探っていたらこうした現象を端的に示す投稿がありました。
参政党支持に至るプロセスが絵に描いたというか方程式のように進んでいくんです。この方は奥さんがもとは護憲派ということですが
その後が面白い。
その後、倉山塾を解約され、奥さんは竹田恒泰さんのファンだったのもやめて参政党に傾倒していくんですけど
影響されやすっ!!! としか思えません。どうやらこのご夫婦は倉山満さんからはじまって最後は「神谷さん、なんか器がでかくなってる」ということで参政党の神谷宗幣さんに辿り着きました。
この方はKAZUYAさんや渡瀬裕哉さんといった名前も出していますが、不思議なんですよ。この方が心酔した諸氏は政治理念や主義主張に違いがありますかね。ルックス、話術、演出方法の違い程度?
例えばれいわ新選組は消費税撤廃とか奨学金チャラとか(実現不可能だとしても)曲がりなりにも政策目標はあります。ところがどうでしょう。参政党は「日本を取り戻す」とか「自分たちの政治を作る」といった単なる自己啓発です。
もちろん啓発によって政治に関心を持つのは結構だけど、しかしまあそれに多額の会費が必要なのか分かりません。おそらく数年後、この方が参政党に幻滅したと投稿しているのが目に浮かびます。保守版の「小売の輪理論」に当てはめれば必ずニューヒーローは登場するでしょう。
小売の輪理論から逃れるために
同じような論者の著作を買い、同じようなオンラインサロンに入り、同じような講演会に行く。おそらく参政党支持者はこういうタイプが多い気がします。政治もご自分の生活も変わったでしょうか。ずいぶん出費もしたと思いますが…。
論客ヒーローにご自分の思いを託しすぎではないでしょうか。圧倒的な存在の安倍元首相も改憲できなかったんですよ。それが神谷さんや倉山さんという特定個人が世を変えるなんてできると思います?
「次第に日本の保守言論界への失望」と言いますが私には言わせれば何を期待していたんですか?と言いたいぐらい。新しい玩具を求めているだけ、こういっては失礼だけども。
そこに気付かないとご自分が「小売の輪理論」の輪の中に居続けることになるでしょうね。